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14:突然の病気

「た、大変だ!ペンギンが…!!」








ペンギンが倒れた。
動揺したシャチの説明でわかったのはこれだけで、実際にペンギンの様子を見ても尋常ではない高熱だということ意外にはわからなかった。
原因も対策もわからない難病……そんなもの、ここグランドラインにはそこら辺に散らばっている。


「船長……」
「……わからねェ。」


ローと一緒に医務室に入ったナマエは不安げにローを見上げる。
ローの表情はいつもの余裕ある笑みを含んだものではなくて、眉間に皺を寄せ、額に汗が浮かんでいた。
その様子が事態の深刻さを示している。


「……ナマエ。」
「…!」
「ペンギンの処置はお前に任せる。」
「なっ…!?そ、そんないきなり…!」
「薬の知識ならお前の方が上だ。ペンギンを……助けてやってくれ。」
「!!」


いくらローが医者であるといっても、ローは外科医。
例えば風邪ぐらいの症状なら対処できても、それ以上の複雑な病気はなかなか難しい。
ローは真剣な表情でナマエを見つめ、ナマエもしっかりとした視線をローに返す。


「任せて!絶対、助けてみせる!!」








その日からナマエはペンギンにつきっきりで看病をした。
毎日解熱剤を与えるも、その効果は極めて小さい。41度の熱が40度に下がるくらいのものだったが、無いよりはマシだ。
3日間、朝から夜まで、ペンギンの呻き声が治まることはなかった。


「ペンギン……」


医務室にはいくつもの付箋がつけられた医学書が積み上げられていた。全てここ3日間でナマエが読んだものだ。
丁度この前上陸した島で買った医学書に、ペンギンの病気のことが書かれていた。
病名と病原菌についてはわかったものの、その病気は未だ治療法が明かされていない難病だという。


「う……」
「……大丈夫。絶対治すから…!」


ナマエは弱弱しくベッドの縁から落ちるペンギンの手を力強く握り締める。
静かに呟いた言葉は、まるで自分にも言い聞かせているようだった。








「………」


それから1週間。医務室のベッドに寝ていたペンギンがゆっくりと目を覚ました。
状況が飲み込めなくて記憶を巡らせれば激しい頭痛と燃え上がるような熱さを思い出したが、今の自分にそれはない。


「……ナマエ…」


ふと視線を落としてみるとナマエの頭がベッドに沈んでいた。
その手はぎゅっと、ペンギンの手を握っている。


「3日は動くなよ。」
「船長…」
「…礼ならナマエに言え。」
「ナマエが…?」
「ククク……治療法のない難病を治しやがった。たいした奴だ。」


そう言って寝ているナマエの頭にぽんと手を置いたローは、今までに見たことがないような笑みを浮かべていた。
いつもの笑みが余裕のある高慢な笑みだとすると、今の笑みはそれとは正反対の穏やかな笑みだった。


「ありがとな。」


礼を言ったペンギンがローと同じような笑みを浮かべていたことに、本人は気付いていない。








「ん………ペンギン!!」
「何だ?」


それから5時間程が経った後。ナマエががばっと頭を上げた。
ペンギンはベッドの中で上半身だけ起こして本を読んでいた。


「大丈夫!?熱は!?」
「すっかり大丈夫だ。ナマエが治してくれたんだってな。」
「よ……よかったあああ……」
「おいおい、泣くなよ。」
「だっで……っ!不治の病だっていうからっ、死んじゃうかと…!」
「船長やナマエを残して死ねねェな。」
「うわあああん!」


不治の病に侵された命を任されることは相当の負担だったことだろう。
いつもは意地っ張りで強気なナマエだが、ペンギンの無事を確認するとタガが外れたように泣き出した。


「……ありがとうナマエ。」








「……ありがとうペンギン。」
「ん?」
「毛布、かけてくれたんでしょ?病み上がりなのにごめん。」
「ああ……それ、おれじゃないぞ。」
「え?じゃあ誰が……」
「………さーな。」







■■
にじみ出るやっつけ感……すみません。




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