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13:逃げ足は速い

「もう島に降りる時はつなぎ着ない!」


先日降りた島で海兵に追われた教訓を活かして、ナマエが心に決めたことだった。








「そーいえばよ、ナマエって戦えんの?」


冒頭のナマエの決意を聞いたシャチがそんなことを聞いてきた。
シャチやナマエを始めに、大半のクルーは甲板の床をデッキブラシでゴシゴシと磨いている。
ちなみに船長のローはというと、甲板の隅で横たわるベポを背もたれ代わりに悠々と本を読んでいる。
ナマエはそんなローの姿を見てグチグチ言うものの、つっかかることはなくなった。シャチにとっては十分ありがたいことだ。


「戦えるわけないじゃん!私女!一般人!」
「いやー、でも逃げ足の速さは一級だよな。」
「確かに!おれ達捕まえられなかったもんなー。」
「昨日の逃走劇もなかなかだったぜ。」


シャチの質問に対する答えはもちろんノー。ナマエはつい最近まで一般人だったのだ。
ただ薬草を取るため、度々森には入っていたため、運動神経は良いようだ。
ハートの海賊団のクルー達に追われた時も、昨日海兵に追われた時も、見事に逃げ切ってみせた。


「でも海賊やるからには少しぐらい鍛えなきゃな。」
「海賊じゃないし。」
「まーまー。この船は海賊船だからさ、戦闘は回避できねーぜ?」
「せめて軍曹ぐらいは倒せるようにしとけって。」
「だから私海賊じゃないし!」


……ただ、ナマエの心はあくまで一般人。海賊に追われるのも海兵に追われるのも真っ平ゴメンである。
しかし海賊船に乗っている以上、世間一般の目はナマエを海賊だと判断する。
これから先陸上だけでなく、海上でも海軍や他の海賊と戦闘になる可能性は十分あるのだ。


「ねェ船長!」
「……ああ。足手まといは邪魔だ。」
「!」


長い足を組み替えてニヤリと笑ったローに、ナマエは殺意が沸いたのを感じた。


「何あの言い方!勝手に人を乗せといてあの言い方!」
「わ、わかったから叫ぶな。船長に聞こえるだろーが!」


「足手まとい」という見下すような言葉が癪に障ったのか、ナマエはわかりやすく憤慨した。
もちろんナマエの暴言はしっかりとローの耳に届いているが、刀を抜く気配がない。取るに足らない、ということだ。


「あーもうむかついた!シャチ、私に体術教えてよ!」
「……なんつーかお前、単純だよなァ。」


…ナマエは呆れる程に単純だった。







「でも運動とかめんどくさい…。手っ取り早く強くなる方法とかないの?」
「ナメてんのかお前。」
「ああ、悪魔の実でも食えば?」
「ナメてんの?あんなの食べるのなんてキチガイだけだよ。」
「(船長が能力者だってことはもう少し黙っておこう。)」






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