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07

こんにちは!最近白ひげ海賊団に入り、2番隊に配属されたフリスっていいます。


「へー、フリスってノースブルー出身なんだー。」
「はい!」


そしておれと一緒に酒樽を運んでくれてるのが2番隊隊員でおれの先輩の、ナマエさん。
ナマエさんは新入りのおれに色々教えてくれたり気さくに話しかけてくれる。一見して海賊だとは思えない程、優しくて、綺麗な人だ。ほら、今の笑顔なんて大体の人が見たらドキッとすると思う。


「ナマエさんは…」
「マルコ…!!」


しかし入隊してほんの数分でおれのナマエさんに対する第一印象が崩れ去った。


「マルコ大好きーーーっ!!」
「うるせェよい。」


……ナマエさんは、1番隊隊長のマルコさんが大好きだ。
そりゃあもう、姿を見つけては飛びつき、払いのけられて鼻血を垂らしても「えへへ」と気にしない程、マルコ隊長にゾッコンだ。
初めて見たときは唖然としたけど、今はもう日常の風景と化してしまった。慣れって怖い。


「ねえそーいえばさ、マルコの故郷ってどこ?」
「……それを聞いてどーすんだよい。」
「え、そりゃあさっ、いつかはけ…結婚するんだし……ご両親に挨拶ぶぉ!?」
「ふざけんな。」


頬を赤らめてもじもじするナマエさんは大体の人が見たら「可愛い」と思うだろう。
それなのにマルコさんはうんざりとした顔でさっき払いのけた時に転がった酒樽をナマエさんの顔面に押し付けた。…女の人として扱ってないような気がする。
それでもニコニコしてるナマエさんは…本当にマルコさんのことが好きなんだなァ…。


「あ、ちなみにオヤジの了解はもらってるから大丈夫だよ!」
「肝心のおれが了解してねェ。」


ナマエさんにこれだけアピールされても顔色一つ変えないなんて…。おれだったら、イエスって即答するのになァ。こんな綺麗な人にここまで愛されるなんて、マルコさんが羨ましすぎる。


「お待たせ、フリス!」
「…あ、はい。」


今日はいつもより早くマルコ隊長との絡みが終わって、鼻を赤くしたナマエさんがおれのところに戻ってきた。
多分、おれとの仕事の途中だったからだと思う。ナマエさんは優しい人だから。


「あの、ナマエさん…」
「ん?」
「いつからマルコさんのことが好きなんですか?」


結構前から気になっていたことを思い切って聞いてみた。


「んーと…私が白ひげ海賊団に入ってすぐだから……1年前からかな!」


まるでそのことを自慢するかのように、胸を張ってナマエさんは答えた。
1年間もずっと一途にマルコさんのことを想って、現状がコレだなんて…。
おれはナマエさんが可哀相でたまらない。こんな綺麗な人に振り向かないなんて、マルコさんの気が知れない。おれだったら、ナマエさんの事、ナマエさんがマルコさんを想うのと同じくらい想えるのに。
そんな事を考えたところでナマエさんの気持ちが変わるわけないなんてわかっているけど。


「最初は敵だったんだけどね。人生何が起こるかわからないよねー。」


その後おれはエースさんが助けてくれるまでずっと、マルコさんの魅力について語られた。
もう二度とナマエさんにマルコさんの話題は出さないと心に決めた。











「エースさん、おれはナマエさんが心配でしょうがないです。」


その日の夜の宴の時、おれは一緒に飲んでたエースさんにそんなことを零していた。
理由を聞かれたから、おれが今日思った事をそのまま話すと、プハハと笑われて「何だお前ナマエの事が好きなのか?」と聞かれて、おれは言葉を濁してしまった。


「やめとけやめとけ、マルコに燃やされるぞ。」
「え…?」


何でおれがマルコ隊長に燃やされるんだろうか。
不思議に思ってエースさんを見たら、ニッと意味深に笑ってある一角を親指でさした。


「あはははっ2番歌いまーーーす!!」


そこにはすっかり酔っ払って上機嫌なナマエさんの姿。
2番隊の人と肩を組んで、上手とは言えないけど元気な声で歌っている。すごく楽しそうだ。
だけど、それがいったいどうしたんだろう。もう一回エースさんを見たら「まァ見てろ」と言われたから、とりあえず見とく。


「おいどうしたナマエ!声がちっさくなってきたぞ!」
「わたしは眠くなりましたーーーまくらまくら…」
「え!?ナマエさん!?」


さっきまで意気揚々としていた声がだんだんと萎んでいって、ナマエさんは瞼を重たそうに目をこすった。そして一番近くに座っていたおれの同期の膝に頭を置いて寝る体勢に入ってしまった。
何度も言うがナマエさんは綺麗な人なんだ。おれの同期、サムが顔を真っ赤にして焦り始めるのは当たり前だ。おれだったらもっと挙動不審になる自信がある。


「何してんだよい。」
「ふあっマルコ!ちゅーしてーーー」
「ふざけんな。」


そこに現れたマルコ隊長は、サムの膝を枕にするナマエさんの首根っこを掴んでひょいと持ち上げた。
ナマエさんはマルコ隊長に向かって手を広げるがそれ以上は近づけない。


「悪かったな新入り。」
「い、いえ…!」
「マルコーマルコー」
「……寝るなら部屋にしろい。」
「うんマルコと一緒に寝る!」
「アホ。部屋の鍵持ってるな?」
「うい!」
「吐くなよい。」
「うい!」


そしてそのまま、マルコ隊長はナマエさんを担いで船内へ行ってしまった。


「……アイツは素直じゃねェんだよ。」
「……」


呆れたように笑うエースさんの目は、暖かくマルコ隊長の後姿を見つめていた。
それはつまり、マルコ隊長は別にナマエさんのことが嫌いなわけじゃなくて、むしろ……


「……マルコからナマエを奪うか?」
「いえ!よかったです。」


マルコ隊長と一緒にいる時のナマエさんの笑顔が、一番綺麗だから。





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