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マルコ隊長




「マルコォ、こいつの面倒はお前が見ろ。」
「……わかったよい。」



ということで、私のお世話はマルコさんがしてくれるみたいです!
オヤジ様のところまで案内してくれたいい人です!わーい!
あれっ、マルコさん、心なしか「めんどくせー」って顔してません?











オヤジに新入りの面倒を頼まれたが……心底面倒くさい。
何故ならその新入りっつーのが戦闘なんてできない、むしろ一般人よりどんくさいようなただの女だからだ。
だって、投げられたビンをキャッチし損ねる程の運動神経だ……戦闘員なんて期待できねェだろい。
したがってこいつは隊に配属されず、雑用の枠に入ることになる。
とりあえず…雑用の奴らに紹介して、後は任せりゃいいか。



「今日から雑用させてもらいます!ナマエです!」
「じゃ、後は頼ん…」
「はぁ…はぁ……」
「女の子…」
「じゅるり…」
「っこいつの指揮はおれが執る。何か困ってたら助けてやれい。行くぞ。」
「あ、はい。よろしくお願いします!」



…任せられなかった。
だって、狼の巣に兎を一匹放り投げるようなもんだろい…。
あいつら目がやばかった。相当女に飢えてんな…。
確かにこの船の女っつったらナースぐらいしかいないが…雑用が気軽に話せる相手じゃねェからなァ。
…そうか、女同士、ナースに面倒みてもらえばいいじゃねェか。



「ってわけでこいつの事頼んだよい。」
「ええ、わかりました。」
「よ、よろしくお願いします…!」
「ふふ、可愛い。ナマエっていうの?」
「はい!そうです!」



…よし、なんか心なしか鼻の下が伸びてる気がするが……まあ大丈夫だろい。












そして1週間後。



「ほぶっ」
「ん?」



寝ぼけ眼で廊下を歩いていたら、曲がり角で腹に衝撃。
何かと思えばこの前の新入りだった。



「あ、おはようございますマルコ隊長!」
「…よぉ。」



にっこりと笑顔を向けてくる。
こんなガキみてェに笑うヤツ、この船にはいねェからなんか新鮮だな。
それにしても……おれはこれでも早起きしたつもりなんだけどねい。
コイツはもう一仕事終えたらしい。片手に空の洗剤ボトルが握られている。



「…どうだ、船には慣れたかい?」
「はい!みなさんとても良くしてくれます。」
「おいナマエー!飯食いに行こーぜ!」
「はい!」



10メートルくらい離れた先からナマエに声をかけたのは雑用のヤツだ。
1週間前女と聞いて鼻息を荒くしていたヤツが、もう普通に話しかけている。
…なんだ、心配いらなかったのかねい。



「あらナマエおはよう。マルコ隊長も。」
「おはようございますエリザさん!」
「よぉ。」
「ふふ、私があげた髪飾りつけてくれてるのね。」
「はい!すごく可愛いですこれ!」
「似合ってるわ。」
「ふあああありがとうございます!」



ナースとも仲良くやれてるみたいだし……



「おっ、ナマエじゃねーか!」
「サッチ隊長!」
「なんだァ?寝癖ついてるぞ。」
「うっ…どうしても直らなかったんです…!」
「はっはっは!まぁチャームポイントだと思えばいいじゃねーか!」



ん?サッチとも仲良くなったのか?



「ナマエ!」
「あ、イゾウ隊長。」
「どうした!?サッチとマルコに変なことされたのか!?」
「朝のご挨拶をしていました。」
「なんだそうか…。今から朝飯か?」
「はい、このボトルを片付けたら…」
「よしおれも一緒に行こう。」
「え、でも…」



なんかイゾウ、過保護だし……



「………あいつ、いつもあんなんか?」
「ん?おお。」



……新入りはおれが思っていたよりずっと大物なのかもしれない。







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