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03

さっき階段ですっ転んだから綺麗なナースさんに手当てしてもらおうきゃっほーと医務室の扉をあけたら、とんでもない光景を見てしまった。


「マ……マ……」
「なんだナマエ、ケガでもしたのかよい?」
「マルコの浮気者ぉぉおぉおおお!!!」
「はああああ!?」


何今の!何今の!?


「マママルコが綺麗なナースさんにいいいああああ!!」
「ちょっと待てえええええ!!!」
「マルコのアホー!実家に帰らせて頂きますーーー!!」












「……ってわけなんだよエース!!」
「うん、そりゃわかったから出てってくんねェか?」


私が一目散に駆け込んだのは親友(だと勝手に思ってる)エースの部屋。
ついさっきの衝撃的な出来事をありのままに話したらこの扱いだよコンチクショウ!それはあんまりだよエース!傷心中の私にかける言葉じゃないよそれ!


「エースの鬼……いや、ゴキブリ……」
「何でゴキブリに言い換えたんだよ。」
「私にとってゴキブリは最上級の悪者…」
「……ていうか出てってくんねェか?」
「はうあっ!!」


な、なんて奴なんだ…!!
傷心しきってる私に二度も「出てけ」だなんて…!あああゴキブリ以上に今のエースの酷さを形容する言葉が見つからない!


「だいたい、今更ひょっこり帰れないの!私家出したんだから!」
「……あのなァ…誰が家出だって?」
「え……エース大丈夫?きっと耳に何か大きなものがつまってるよ私が掃除してあげるね。」
「お前は頭の中に何か寄生してるのかもな。医者を勧めるぜ。」


失礼な!せっかく人が心配してやったというのに!まったくエースはつっけんどんすぎるよね。エースの彼女になる人は可哀相だなー。


「いいか?一つずついくからよーく聞け。」
「? うん。」


まるで子供に言い聞かすように言うエース。何だとコノヤロー、私より年下なくせして!っていうのは心の中にしまっておく。ふん、私は大人だからね!


「まず、これを家出とは呼ばねェ。」
「違いますー家出ですー。私ちゃんと宣言して来たもん。」
「ここはおれの部屋だ。お前は一体どこから家出したっつーんだ?」
「……だってしょうがないじゃーーん!!この船から降りたくなんてないし、ちょっと海に出ようにも私航海術なんて知らないし間違いなく死ぬし!!」


そうだよ、とりあえずマルコから身を隠せればそれでよかったんだよ!
そして話し相手も欲しかったからこういうときはだいたい暇そうなエースだよねってことでここに来たんだよ!


「はァ……2つめ。お前が見た衝撃的な光景っつーのだが……何の問題もないだろ。」
「なっ…!あんな破廉恥な行為を何でもないって…!!」
「髪の毛触ってただけだろ?」
「おうともよ!!」
「……それだけで浮気ってお前…」
「だって、手つきがいやらしかった!私だってあの手でいろんなところ撫で回されたいわ!!」
「お前ウブなのかそうじゃないかわかんねェ奴だな…。」


だってだって、扉を開けた瞬間マルコが綺麗なナースさんの髪の毛を触ってたんだよ?これほど衝撃的な光景がありますか!いいえありません!!


「そんで最後だがな……これが致命的だ。」
「?」
「お前とマルコは恋人でも何でもねェ。」
「……いいえ恋人デス。私の頭の中ではもうあんなことやこんなことまで済ませてマス。」
「そもそも"浮気"っつーのがおかしいんだよ。マルコがどこでどんな女に手を出そうが、お前にゃ関係ねェ話だ。」
「この鬼畜テンガロンヤローーー!!」
「ほぶっ」


エースの顔面に思いっきり枕を投げつけてやった。へへん、ざまーみろ!
私だって、まだマルコと恋人じゃないことくらいわかってるよ!だから日々マルコに愛の言葉を叫んでがんばってるっていうのに…
それに、マルコもマルコだよ!私のマルコへの愛を知ったうえで綺麗なナースさんと……あああああ!
もうイライラする!今なら何しても「むしゃくしゃしてたから」で許されるような気がする!


「もう怒った!お父さんのひげ、金色に染めてくる!!」
「はっ倒すぞ。」


最後にはこの暴力発言!全国の女の子たちよ!この男だけはやめときなさいよ!!恋人にするならやっぱりマルコだよマルコ!あっ、でもマルコは私のだからダメだよ!


コンコン


「何だー?」
「エース、ナマエが来なかったかい?」
「!!」


こんな時に誰かと思ったら、扉の向こうからマルコの声…!!


「開けるぞ…」
「マルコーーー!!」


扉が開いたと同時に、マルコのたくましい色気むんむんな胸板に飛び込む私。だがしかしその腹筋を味わう前にがしっとつかまれてしまう私の頭。
ふふふっでも残念だったわね!私はマルコに頭つかまれるだけでも幸せなのよ!!


「聞いてよマルコ!エースってば酷いんだよ!鬼畜も鬼畜!ゴキブリ以上!」
「……迷惑かけたな、エース。」
「まったくだ。」


マルコに頭をつかまれたままエースの部屋から引きずりだされた。あれ、私家出したのになー!


「も、もうっ、許してあげる!私こそごめんね、浮気くらい……いいの!最終的に私のところに来てくれればいいんだから!」
「………言っとくけど、ありゃ髪についたゴミを取ってただけだよい。」
「!!」


ゴミを取ってただけ…?そ、そんだけ…?なーーーんだ!私の勘違いだったわけか!
それに比べて私は今マルコに頭つかまれてて……え、これ私の方がレベル高くない?勝ってない?


「マルコ大好き!」
「…はいはい。」




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