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初めての後輩


こんにちは!
白ひげ海賊団の雑用になって早1年、ナマエです!
今日も今日とてお洗濯!だけどいつもと違うことが一つだけあります。


「あっ!ジョズ隊長のパンツが飛んじゃった!追い掛けようリック!」
「はあ?」


それはこの子、リックがいること!
リックは先週白ひげ海賊団に雑用として入ってきたばっかりの男の子。つまり、私の後輩!
マルコ隊長に「こいつにいろいろ教えてやれい。」って言われたもんで只今洗濯をレクチャー中であります!
いやはやいつも慣れてる仕事でも人に教えるとなるとなかなか緊張してしまうものですね!


「早く早く!ジョズ隊長のパンツが海の藻屑となってしまうよ!」
「なんでおれが人のパンツを…」


リックは自己紹介の時も「仲間になる気はない。隙を見つけてぶっ倒してやる」なんて言うほどやんちゃなところがあるけど、根はいい子なんです!
ほら、今もジョズ隊長のパンツに向かって走る私のあとをだるそうに歩いて…


「こ、こらー走るの!パンツがどうなってもいいの!?」
「うん。」
「あのねえ、ジョズ隊長はこの一枚を大事に大事に…ほぶ!?」


リックに顔を向けながら走ってたら何かにぶつかってしまった!
よそ見して走れば当然の結果だよね、反省…。


「よォナマエ、洗濯は順調か?」
「エース隊長!」
「!」


なんとぶつかってしまったのはエース隊長だった!
よかったー…いや、よくはないけどもしジョズ隊長だったら申し訳ないし私顔面潰れてたかも…。


「ほら。」
「…ジョズ隊長のパンツ!」


エース隊長の手には私が追い求めていたものが…!


「ありがとうございます!」
「気にすんな。それより今日おやつにシャーベットが出るらしいぜ。」
「ま、まじですか!」
「ああ。一緒に食おうぜ!」
「はっはい゛!?」


エース隊長と話していたら急に膝の力が抜けて後ろに倒れそうになったけど、なんとかこらえました!
だてに毎日洗濯物を運んで鍛えてないよ!
それはともかく、今のは巷で流行りの「ひざかっくん」というやつだ…!
いったい誰がこんなひどいことを…と後ろを振り向くと、しかめっ面をしたリックが立っていた。


「ななな何するの!」
「サボってんじゃねーよばーか!」
「べ、別にサボったわけじゃ…」
「洗濯途中だろ!」
「リック!」


プイッと顔をそらして、リックは行ってしまった。
でもそうだよね…私は今リックに洗濯を教えるという使命があるのに……いや断じてサボってはいないけど!
だってエース隊長とお喋りするの楽しいんだもんなあ。


「じゃ、じゃあエース隊長、パンツありがとうございました!」
「…おう!」


とりあえず今はリックの言うとおり、洗濯に集中しよう!
エース隊長とはまたおやつの時間に会えるし!










「終わったー!」
「疲れたー…」


全部の洗濯物を干し終わって、私とリックは甲板の上に仰向けに倒れこんだ。
視界いっぱいに青空と、たった今干したばかりの洗濯物が広がった。
うん、今日もいい天気!取り込むときにはお日様のいいにおいがするんだろうな。


「達成感あるでしょ?」
「…アンタ…今までこれ全部、一人でやってたのか?」
「うん!」
「他にも雑用いるんだろ?」
「いるけど…みんなナースさんの手伝いとか、お皿洗いとか、自分の持ち場があるの。」
(一番めんどくさいの押しつけられたのか…。)


リックが私の仕事について質問してくるなんて…!
大仕事を終えて雑用という仕事に興味を見出してくれたのかな。だったらすごく嬉しいな。


「一口に雑用と言ってもいろいろあるのだよ!」
「…うざ。」
「なにをー!」


と思ったけど、そうでもなかったらしい。
いやでも私も雑用の分際で調子に乗りましたごめんなさい。


「…よし!じゃあ仕事も終わったし、食堂に行こう!」
「何で?」
「シャーベット食べるために決まってるよ!早く行こう!」


エース隊長が言っていたおやつのシャーベット!これのおかげでいつもより早く仕事を終えられたよね!
なんせこの船にはたくさん人が乗ってるから、コックさんたちは大忙し。
おやつが出るなんてことは1ヶ月に1回とか、滅多にないことなんです!


「…アンタは火拳と一緒に食べるんだろ。」
「うん!リックも一緒に食べよう!」
「…!」
「早くしないとなくなっちゃうよ!」
「…変なやつ…。」










食堂に辿りつくと、そこはもうすごい数の人で溢れ返っていた。
席は満席だし、厨房から入り口までながーい行列ができている。きっとみんなシャーベット狙いだ。
やっぱりおやつの競争率は高いなあ。


「うわあああ…」
「これじゃ残ってないんじゃねーの?」


確かに、この人数じゃ今から並んでももらえないかも。
いやでもまだ可能性がなくなったわけじゃない!ここは意地でも並ぶべきだ!


「おーいナマエ!リック!」
「この声は…エース隊長!」


と思って勝手に意気込んでたら、エース隊長の声。
人でごった返す食堂を見回すと、壁際のテーブルに座って手を振っているエース隊長を発見!


「ほら、おまえらの分だ。」
「ぎゃー!なんて優しいんですかエース隊長!神ですか!」
「神じゃねぇな。ほら、座れ。」
「ありがとうございます!」


行ってみると、なななななんとエース隊長の前には3つのシャーベットが…!
笑顔で私の好きなピーチ味のシャーベットを差し出してくれるエース隊長はやっぱり神様に見えました。
ちゃんとリックの分まであるところがもうなんというか、さすがエース隊長だ!


「今度の島には動物がたくさんいるらしいぜ。」
「! アルパカさんもいますか!?」
「さァ…いるかもな。」


動物の島……ということは、アルパカさん…!!
エース隊長がいるかもって言うんだから、いるかもしれない!
夢にまで見たアルパカさんに会えると思うと私今から待ち遠しくてしょうがないよ!


「あ、あとどれくらいでつくんですか?」
「明日にはつくそうだ。支度しとけよ。」
「はい!」


明日かー!意外とすぐで助かった。
今日は早めにお風呂はいって、準備をしてから寝ようそうしよう。


「リックにとっては初めての冒険だね!」
「…冒険?」
「そう、冒険!きっと楽しいよ!」
「……」


リックが船に乗ってからは初めての上陸だ!
楽しい思い出になってくれるといいな。







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