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Follow your conscience.


こてん。


「!?」


やばい。非常に、やばい。


「お、おい……ナマエ…?」


いつものように洗濯物を干し終わったナマエと日陰に座って喋っていた。
サッチのひげの話とかイゾウの化粧の話とかいろいろしてたが最後に「いい天気だなー」と話したっきりおれもナマエもうとうとしてきて……ついにナマエがおれにもたれかかってきた。
おれのさっきまで閉じようとしていた瞼が一気に開いた。そして眠気も吹っ飛んだ。
いや…やばいって。この状況はめちゃくちゃやばい。
ナマエの柔らかい髪の毛がおれの右肩にあたってくすぐったい。
少し風が吹けば、ナマエのいい匂いがおれの鼻に入ってくる。
ナマエの頬から熱が伝わってきて、更に小さな呼吸も聞こえる。


「ん……」
「!?」


やばい。更にやばいことになった。
ナマエの手が床についていたおれの手に触れて、思わず身じろいだらナマエの頭が肩からずり落ちた。
おれの膝とぶつかる前に咄嗟に左手でナマエの頭を支えたのはいいが……ここからどうすればいいんだ…!?
こんな中途半端な体勢、ナマエにとってもおれにとってもきつい。
かといってすっかり横になった体を起き上がらせたらナマエが起きちまうかもしれねェ。


「………」


…となると、膝の上に乗せるしかねェだろ…!
いや、別に下心とかはなくて、これが最善の方法だからだ!
あぐらをかいていた足を真っすぐ伸ばしてから、ゆっくりナマエの頭をそこに下ろした。
よかった、起きてない。


「………」


しかしやばいことに変わりは無い。いや、むしろ現状は悪化した。
髪の毛の感触はズボンのおかげで遮られたが、頬の熱は布越しにしっかり伝わってくるし、吐息もかすかに感じる。
それに……なんだ、その……太ももっていうのがやばい。
健全な男だったら誰しも思うはずだ。しかも、相手は好きな女なんだ。…考えねェ方がおかしい。


「うむむ…」
「!?」


そんなことを思っていたらナマエがもぞもぞと動きだした。頭の位置をずらしたり、腕の位置を変えたり。
どうやら寝るためのベストポジションを探しているらしい。
あーもうこっちはナマエが動く度に気が気じゃねェってのにこいつは…!


「!」


そして最終的に落ち着いたナマエのベストポジションにおれはまた心臓を打ち抜かれる。
……仰向けになりやがった…!つまり、下を見ればナマエの寝顔が丸見えだ。
あああ何だよこれ!何でこんなことになってんだよ!何でナマエ寝てんだよ!



「………」


視線をあちこちに泳がせてみても、最終的に行き着くのはやっぱりナマエの寝顔で…。
こっちの気も知らないで気持ち良さそうに寝てる。今日は気温的にも丁度良くて絶好の昼ね日和だ。
それなのに何でおれは汗なんかかいてんだ?


「………」


だってやべェんだもん、ナマエの寝顔。
穏やかに閉じられた目とか、くしゃくしゃになった前髪とか……薄く開いた、唇…とか。
本当わざとやってんじゃないかって思うくらい、ピンポイントにおれのツボをおさえてきやがる。
ああ、いい加減やばいなおれ…かっこわりィ。


「………」
「……ふふ…」
「!」


眉間に散らばった前髪をよけてやれば、ナマエは口元を緩めて笑った。
起きたのかと思って驚いたがどうやら違うみたいだ。夢でも見てんだろう。


「……ナマエ…」


なあ、今見てる夢におれの姿はあるのか?
…そんなことを思ってる自分に「らしくない」と首を振った。乙女か、おれは。


「…自分だけ寝やがって。」
「んむー……」


少し憎しみをこめて頬をつつくと、ナマエは不機嫌そうに眉にしわをよせた。へへ、ざまァみろ。












Follow your conscience.

( 良心に従え )



「おいビスタ!こっち来てみろよ!」
「何だサッチ。」
「エースが悶えてる。」
「ホントだ。写真撮ってやろうぜ。」





■■
Follow your conscience.=良心に従え




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