OP | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



麦わらの一味


「ううん…」
「あ!起きたわチョッパー!」


目を覚ますと、オレンジ色の髪の毛の美人さんと目が合った。その隣には黒髪の美人さんもいる。
何だこれは。何でこんな美人さんお二人が私を見ているんだろうか。


「…ここは天国ですか…」
「は?」
「…ふふ、違うわよ。」


素直な疑問を述べたら黒髪の美人さんに笑われてしまった。
だってこんな綺麗な人2人がお出迎えなんて贅沢すぎるよ。天国じゃないとしたらどこ?地獄なわけない。


「お、おいおまえ、大丈夫か…?」
「!」


次に私の顔を覗き込んできたのは、青い鼻の……たぬきさん?


「もふもふ…」
「ぎゃーーー!?」


私は数秒凝視した後、布団の中から手を出してたぬきさんを布団の中に引きずり込んだ。
だってこの子、絶対気持ち良いもん。実際ほら、気持ち良いもん。
ああ、やっぱり動物って素敵。こんなにもふもふしてる。天国にも動物はいっぱいいるのかなあ。


「目ェ覚めたのか!?」
「大丈夫ですかお嬢さんっ!?」
「ほっ!?」


更にドタバタと男の人が2人現れた。鼻の長い人と、金髪の人だ。
………天国じゃない!?いや、彼らを見てわかるのって幾分失礼な気もするけど、天国じゃない!!
私は吃驚して飛び起きた。その隙にたぬきさんが私の腕からするりと抜けたけど今はそれどころじゃない。
キョロキョロと周りを見渡してみると全く知らない場所に、全く知らない人達。


「うるっさいわねアンタたち!」
「あなた、名前はなんていうの?」
「わ、私はナマエっていいます。」


オレンジ髪の美人さんに聞かれて自分の名前を答えた。
そりゃあいくら初対面でもこんな美人さんに聞かれたら何でも答えちゃいますよ私!


「あなた達が助けてくれたんですか!?」
「まぁ…結果的にはそうなるわね。」
「鳥捕まえたら人が引っ掛かってんだもんなー…びっくりしたぜ。」
「私もうダメかと思いました…。あの、助けていただいて本当にありがとうございます!」
「ご無事で何より!」


この人達………いい人だ…!!
わー、私生きてるんだ!この人達に助けてもらったんだ!!


「ところで何であんなことになってたんだ?」
「えーと、話せば長くなるんですが…」


鼻の長い人に聞かれた。
うーん、いったい何から話せばよいのやら…。とりあえず私は何者かだよね!
"鳥の足にぶら下がってた人"なんて認識はごめんだ!


「私、ある海賊団の雑用でして…」
「海賊!?あんた海賊なの!?」
「はい…」


うへへ、そんなはっきり海賊とか聞かれたら照れてしまいますよ美人さん…!


「いつものように洗濯物を干してたら、突然強い風が吹いて…。ジョズ隊長のパンツが飛ばされてしまったんです。
それを追い掛けたら船から飛び降りてて、海王類に食べられそうになったところで鳥とランデブーするはめになりました。えへへ。」

(なんていうか…)
(不憫…)
(壮絶だ…)
(ジョズ隊長って誰だ…)
(パンツ一枚のせいで…)


これまでのいきさつを私なりにわかりやすく説明したら、みなさんになんともいえない眼差しを向けられた。
うん……、なんとなくだけど……同情されてる気がする。あはは、私もまさかこんなことになるとは思わなかったです。


「あ、あの、あなた達は…」
「私達も海賊よ。」
「そうなんですか!?」


こ、こんな美人さん2人が、海賊…!?それに、あのたぬきさんも!?
…改めて海は広いと実感しました。


「おー!起きたのかおまえ!」
「…あれが船長。」


またドタバタと足音がしたと思ったら、頬をリスのように膨らませた男の人。
オレンジ髪の美人さんが言うには、あの人がこの船の船長さんらしい。
あの船長さん、せめて食べ終わってから来たらどうでしょうか…!そんな、片手にお肉まで持って……


「おまえ何で鳥にひっかかってたんだ?食うつもりだったのか?」
「んなわけあるかッ!」
「こいつはなァ、ある海賊団の雑用で洗濯中に飛んでった…ジョナサンだったか?」
「……」


ごくん、と飲み込んで、膨らんでいた船長さんの顔が普段通りになる。
麦わら帽子に、左目の下の刀傷………それに、この笑顔………


「ル、ルフィさん!!」
「ん?」


間違いない!!ルフィさんだ!!
エース隊長がよく話してくれた、弟さん……懸賞金3000万ベリーのモンキー・D・ルフィさん…!


「何だ、ルフィの知り合いか?」
「おれは知らねーぞ。」
「あ、あの、えーっと…とりあえず握手してください!」
「ししし、こいつ変なやつだなー。」


いつか会いたいとは思ってたけど、まさかこんなに早く会えるとは思わなくて……あわわ興奮してきた!
とりあえず握手を求めるとルフィさんは笑顔で私の手を握ってくれた。ぎゃーいい人だ!


「ということはここは麦わら海賊団!?」
「そうよ。」
「……」


この広い海で助けてもらえた上に、それがエース隊長の弟、ルフィさんの船だったなんて…!
天は私に味方をしている…!なんて運がいいんだろう!


「私、ナマエっていいます!エース隊長からルフィさんのお話はよく聞いてます!お会いできて光栄です!」
「おまえエースの友達か!?」
「友達というか…エース隊長にはお世話になっています。」


とりあえずルフィさんにも自己紹介だ!
そ、そんな私とエース隊長が友達だなんて…!仲良くはさせてもらってるけど、エース隊長は偉い人なんですよ!


「エースって……火拳のエース…?」
「知ってるのか?ロビン。」
「ええ。白ひげ海賊団の二番隊隊長よ。」
「「「な…ッ!?」」」
「そーかーエースは元気か?」
「はい!」
「ちょっと待った!!」
「どーしたナミ。」
「…ナマエ、あなた"ある海賊団の雑用"って言ったわよね…?」
「! まさか…」
「ルフィの兄貴に世話になってるってことは…」
「はい!白ひげ海賊団の雑用をやっています!」
「「「なにーー!?」」」
「おまえエースと同じ船に乗ってんのかー!」
「はい!」
「じゃつえーのか?」
「そんな滅相もない!私は雑用ですから!」
「ふーん。」


やっぱり「白ひげ海賊団」の名は世界中に轟いてるんだなあ……えへへ、私たかが雑用だけど、何だか嬉しいな。


「じゃあナマエちゃんは白ひげの海賊船とはぐれちまったってわけか…。」
「!!」


金髪のお兄さんが言って、はっとした。
そーいえば………そういうことになりますよね…!?
だってルフィさんの船っていうことは、ここはグランドラインの前半の海……オヤジ様の船は、新世界……
ルフィさんに会えた感動で忘れてたけど、私とんでもないことになってるんだった!


「そ、そそそーなんですよ!私凄まじく迷子ということになりますよね…!」
「よし!じゃーおれたちが届けてやる!」
「ほっ!?」


どうやって帰ればいいんだと頭で嘆いていたら、ルフィさんの言葉がすーっと頭を通っていった。


「なッ…ルフィ!白ひげのところに行くっていうの!?」
「おま、白ひげっつったら四皇だぞ!?めちゃくちゃ強いんだぞ!?」
「どーせいつかは会うことになるんだ。別にいーだろ。」
「…ふふ。」
「ルフィさん…!」
「…じゃ、決まりだな。」
「おう!ひげ舵いっぱいだ!」
「何だよひげ舵って!」
「ありがとうございます…!」


こんな鳥の足に引っかかってた様な人間を送り届けてくれるだなんて…!
あああ何ていい人なんですか!さすがエース隊長の弟さんだ…!


「でも白ひげ海賊団の船はとっくに新世界に入ってるはずよね。」
「「「……」」」
「じゃあおれらもそこに行けばいいんだな!」
「簡単に言うな!」


そ、そうなんですよね…。そこが問題なんですよね…。
私はいくら時間がかかっても構わない。
忘れられてたらちょっとショックだけど……それでも、絶対にまたあの船に乗せてもらいたい。私の居場所はあそこだから。
でも、ルフィさん達にはルフィさん達の冒険がある。それに他の海賊団の人間が船に乗るのも嫌だろうし…


「あ、あの!私、皆さんの航海の邪魔はしたくないです…!」
「邪魔?」
「せめて次の島まで乗せていただければ…」
「ずっと乗ってけばいいだろ?」
「!」
「ナマエ一人増えても全然邪魔じゃないし!」
「むしろ楽しくなるぞ!」
「当り前だ。遠慮なんかしなくていいんだぜ、ヒヨちゃん。」
「み、みなさん…!」


ここには神がいっぱいいるようです。……もしかして本当に天国なんじゃ……いやいやいや。


「じゃーナマエ、おれらの仲間になんねーか?」
「えええ!?」
「ばか!白ひげの仲間に手ェ出すな!」
「だってこいつなんか面白いし…」
「面白さが基準かよ!」
「えっと、正式に仲間っていうわけにはいきませんけど、私にできることなら全力でサポートさせてください!」


乗せてもらうからには、精一杯サポートしなければ!
洗濯とか、お掃除とか、料理…はできないから皿洗いとか、あと………洗濯とか!


「よーし!じゃあ今日は…宴だな!!」
「だな!」
「おいしい料理作るからねナマエちゃん。」
「…よろしくお願いします!」


麦わら海賊団に、お世話になることになりました!






next≫≫
≪≪prev