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はっきりした



それは、ある日の宴の時だった。








久しぶりの宴だっていうのに、おれは全然楽しくなかった。てすりによりかかって一人でちびちび酒を飲む。
少し離れたところでは、ナマエがクルー達に囲まれて楽しそうにしていた。
最近、ナマエは色んな奴から話し掛けられるようになった。
まァ…あんな面白いやつ、ほっとく方が無理だ。そりゃわかるけど……なんか気にくわねェ。



「よォエース、何いじけてんだ?」
「…いじけてねェよ。」



…サッチだ。
珍しくまだ潰れてない。けど、サッチはちょっと酒が入ったくらいが一番めんどくさい。
ニヤニヤしておれに近づいてきた。…ああ、逃げ遅れた。



「何見てたんだ?」
「別に…」
「ナマエのやつ、随分馴染んできたな。」
「……」



ほら、わかってるくせに聞いてくる。
しかも考えてたことまで読んでやがる……おれそんなにガン見してたか?



「…いいことじゃねェか。」
「だったら何でそんな顔してんだ?」
「……」
「ナマエが他のやつと仲良くすんのが嫌なんだろ?」



何も言い返せなくなる。図星だったからだ。
ニヤニヤするサッチの顔を見て更にイライラする。何だよ、言いたいことがあるならはっきり言えよ。



「エース、お前そろそろはっきりしろよい。」
「は…?」



はっきりしろと思ったのはおれの方なのに、いきなり現れたマルコに言われてしまった。
一体おれに何をはっきりしろと言うんだ?



「…お前、ナマエのことどう思ってんだよい。」
「どうって…そりゃ仲間だ。」
「ちげェよ。」
「何でだよ?ナマエは仲間じゃねェっつーのか!?」
「「…はあ。」」



こっちは真剣だってのに、二人同時にため息をつかれた。
なんていうか、呆れられてる。



「じゃあエース。お前にとってもナマエは妹分なのか?」
「ああ。」
「いーや違うな。お前はそれ以上に思ってる。」
「それ以上…?バカ言うな、ナマエが姉?おれの方が年上だぞ。」
「「アホか!!」」



今度は2人同時につっこまれる。何なんだよこいつら。



「いいか…お前がナマエを妹としか思ってねェなら、何でアレがムカつくんだ?」



アレ、と言ってマルコが指さした先には酔っ払ったクルーに肩を組まれてるナマエの姿。
それを見た瞬間体が熱くなった。無意識に肩に炎を揺らしていた。



「ただの妹なら別にムカつかねェよなァ?」
「つまりお前は、ナマエに惚れてんだよい。」



おれはマルコの言葉を最後まで聞かずに、ナマエのところにズカズカと歩いていった。



「ナマエは可愛いなーーー」
「えっやだなァ照れちゃいます。」
「おいおいお前ロリコンかァ!?」
「なんかそんな気がしてきた!おいナマエチューしようぜー」
「あぎゃー何言ってるんですか!」
「がははは、この反応がいいんだよなーごふっ!?」
「!?」
「お前ら、悪酔いしすぎだ。」
「エ、エースさん…!」
「エース隊長!」



ナマエに頬をすり寄せていたヒゲ面のクルーを後ろから蹴ってやった。加減はしたが、痛いところを狙った。
そいつは驚いて後ろを振り返り、ナマエから離れた。おれはその間に割って入って座り込む。



「…あ!エース隊長、お酌しますね!!」
「…おう。」



ナマエが笑顔で酒ビンを出してきたので、おれもジョッキを差し出して応える。
しかし何故か、ナマエの笑顔を直視できない。こう、改めて意識すると、顔が熱くなってきた。
いやいやおかしい。だって今までは別に普通だったじゃねェか。ナマエと話す時、こんな緊張はしなかった。



「…エース隊長、注ぎ終わりましたよ?」
「あ、ああ……悪ィな。」



不思議そうにおれを見つめてくる顔も、すごく可愛いと思う。
そんなことを考えてるなんてナマエに知られたくなくて、おれはまた顔をそらした。
おれは………どうやらもう、取り返しがつかないらしい。






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