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ヨンジと貧乏女

「ヨンジ様、おはようございます!」
「…よぉ。」


イチジが連れてきた女は毎朝庭の花壇の手入れをしている。2日前に知ったことだ。
イチジ専属の給仕なら庭の手入れなんて管轄外だろう。昨日そのことについて聞いたら「好きだからやってる」と答えた。変な奴だ。
だが興味はある。兄弟の中でも特に冷酷で無慈悲なイチジが大事に扱う女だ……きっと何か特別なことがあるに違いない。


「お前は何故兄についてきた?」
「私の国は長い間戦争をしていました。その戦争にイチジ様は終止符を打ってくださった…!けれど、私の国には十分な報酬がなかったようで…。」
「…お前自身が報酬として渡されたっつーことか?」
「はい。」


それはつまり自分の国に売られたっつーことか。
まあ報酬として女をもらうことはないわけじゃない。だがこんな女、報酬としての価値なんてないだろう。何故イチジはこいつ一人で妥協した?


「国を救っていただいたご恩…私なんかの身一つで見合うなんて思っておりません。だから私に出来ることを全力でお手伝いさせて頂く所存でございます!」
「…おい、私のシャツに水がかかった。」
「はっ!?も、申し訳ございません…!」


女が勢いよくガッツポーズを作った拍子に持っていたジョウロから水がこぼれた。稀に見るアホだ。


「お脱ぎください!洗濯します!」
「いい、捨てる。」
「ええ!?勿体無いです!洗濯すればまた使えます!」
「汚れた服は二度と着ない。」


くそ、朝から最悪だ。
普通なら顔面潰してやりたいところだが…こいつはイチジのお気に入り。安易に手を出したらイチジに何をされるかわからない。


「じゃ、じゃあ私が頂きます…!」
「は?男物のシャツなんて貰ってどうする。」
「端切れで雑巾を作ったり…あ、お人形なんかも作れるんですよ。」
「やめろみすぼらしい!」
「だったら洗濯しますので…!」
「あーわかった!早く洗濯してこい!」
「かしこまりました!」
「おい脱がすな!自分で脱げる!」






■■
このやりとりをイチジに見られていて、この後軽くしばかれるヨンジ様。






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