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ハルタくん




「ひゃあっ!?」
「!?」



ある日の昼下がり、ナマエの悲鳴が聞こえておれは無意識に走り出した。










「ナマエ!!」
「ぎゃははは!ヒヨは鈍くせェなー!」



ナマエがいつもいる洗濯場の方へ出てみると……洗濯物の山を指差して笑うハルタの姿。
ナマエの姿は見えない。けど、絶対こっちからナマエの悲鳴が聞こえたんだ。



「なあハルタ、今ナマエの声が…」
「もー…ハルタくん!!」



見当たらなかったナマエが山積みの洗濯物の中から現れた。
深刻になるようなことは起きてないみたいだが……一体何があったんだ?



「今日という今日は許さないんだから…!」
「へー、どう許さないの?」
「え?えっと…うんと………でこぴん!」
「そんなの当たるわけないだろー。」
「や、やってみなきゃわかんないもん!覚悟ー!」



どうやらナマエはハルタに対して怒ってるみたいだ。
ナマエが人に対して怒るなんて珍しいな。…っつーか、そもそもタメ口が新鮮だ。ナマエは誰に対しても敬語なんだと思ってた。
頬を膨らましたナマエはでこぴんを構えながらハルタに突進しだした。



「よっと。」
「ふぎゃ!…ってエース隊長!?」
「…何してんだ、お前ら。」



…が、もちろん避けられてその先にいたおれに激突した。激突っつってもおれはそんな痛くねーけど。
ここで初めておれの存在に気づいたらしいナマエは顔を青くして身を引いた。



「ご、ごごごめんなさい!お怪我はありませんか!?」
「おう。」
「あるわけねーじゃん。」
「もとはと言えばハルタくんのせいだからね!」
「あ、そーいえばジョズに呼ばれてんだった。じゃーなー。」
「…ハルタくんのバカー!」



ナマエが大声で叫んだ。
それを聞いて周りの奴らは「またあいつらか」と笑う。え、ナマエとハルタっていつもこんなんなのか?










「ナマエとハルタ?…ああ、いつもあんなんだぜ。」



食堂にいたサッチに聞いてみたらそういうことらしい。
おれの視線の先ではハルタがナマエにちょっかい出してて、それをナマエが怒っている。
…おれにとってはすごく新鮮な光景だ。



「随分仲いいんだな。」
「ははっ、そー見えるか?まー同い年だしな。親しみやすいんだろ。」
「ふーん…。そーいやナマエが敬語使ってないの初めて聞いたな。」
「ああ、多分この船じゃハルタと…あとミランだけだな。」
「ミラン?」
「ナマエより少し前に入った新人ナースだよ!これがまたスタイル良くて…」
「ふーん。」



サッチ得意のナース談義は適当に流して、またナマエとハルタを眺める。
まあ、仲がいいのはいいことだよな。でもなんつーか……ちょっとスッキリしねーというか……何でだ?








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