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21

ボフン!


白い煙があがると、さっきまで犬がいた場所に少年が座り込んでいた。
茶色の癖毛にくりくりとした瞳…確かに牛の女性が話していた特徴と一致する。
少年はまだ警戒を解いてないらしく、怯えた表情で様子を窺っている。


「おいお前…」
「ひっ」
「ちょっとディル顔怖い!」
「何だとコラ。」
「ごめんね。私はウサギのエト族、ナマエっていうの。よろしくね。」
「……」


ずかずかと迫るディルに怯える少年に、ナマエが優しく声をかけた。


「…! 足、怪我してるの?」
「あ…さっき、転んだ…」
「私絆創膏持ってる!ちょっと待ってて…」


少女から逃げようとして転んだ時にできたのだろう。少年の膝からうっすら血が滲んでいた。
ナマエはポケットから絆創膏を取り出し、それを丁寧に少年の傷に貼ってあげた。


「よし!服は…どこにあるかわかる?」
「…多分、向こうにあると思う…。」
「ディル取ってきて。」
「何で俺が…」


ブツブツ言いながらも従うディル。
そして優しい笑顔を向けるナマエを見て、ようやく少年の軽快が解けたようだ。


「…ありがとう、ナマエ。」
「…うん!」


少年が小さくお礼を言った。









「ルミ姉!!」
「ロジー…!」


牛の女性のところへ行くと、その姿を見つけた途端ロジーは彼女に飛びついた。エト族同士なのでお互いに変身することはない。


「お二人とも、本当にありがとうございます…!」
「大したことしてねーよ。…マジで。」
「申し遅れました。私牛のエト族、ルミと申します。」
「犬の、ロジー…です。」
「兎のエト族、ナマエです。」
「虎のディルだ。」


こうしてここにエト族が4人集まった。
12人のうち4人…つまり3分の1がこの場にいるという事実に実感がわかなかったのは皆同じだろう。


「ナマエ!!」
「サボさん!コアラさん!」


その中にサボとコアラが合流した。
まさに有言実行。サボは即行で任務を終わらせてきたのだ。サボの後ろを歩くコアラは呆れ顔だ。


「…!」
「大丈夫、優しい人だよ。」


エト族ではない人間にロジーの表情が強張るが、ナマエが大丈夫だと安心させた。


「…もしかしてもう見つけたのか?」
「はい!ルミさんとロジーです。」
「革命軍のサボだ。エト族のことはナマエから聞いてる。」
「…で、あんた達も呪いを解こうとしてんだよな?」
「はい…。あの山の奥にエト族に詳しい方がいると教えて頂きました。」
「! あの山は山賊の住処って街の人が言ってたよ。」
「えっ…!」


ルミが手に入れた情報によるとエト族に詳しい人物が山の奥に住んでいるらしいが、コアラが聞いた話ではその山には山賊がはびこっているという。


「まあ…大したことねーだろ。」
「ああ。おれも一緒に行く。」


しかしディルとサボは山賊相手にも物怖じしない。実際この2人がいれば並大抵の敵は問題無いだろう。


「私は…きっと足手まといになってしまいますね…。」
「お、おれが行くよ…!」
「ナマエはどうする?」
「私も…行きたいです。」
「じゃあ私がルミさんのそばにいるよ。」


こうしてサボ、ナマエ、ディル、ロジーの4人で山賊の住処である山に向かうこととなった。






■■
ディル→19歳くらい、ルミ→28歳くらい、ロジー→10歳くらいのイメージで書いてます。
もうちょっと夢小説らしくしたいんですが…すみません。




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