OP | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



女の子の日


「き、きた…」



今月も予定通りに訪れたそれに、私は溜息をついた。












「あいたたた…」



生理が来ました。
お腹を押さえて廊下をよたよた歩く私はなかなか怪しいかもしれないけど、今はそんなこと気にしてる暇はない!
一刻も早く医務室に行って、ナプキンをもらわなきゃいけない。
いつもなら女部屋にストックがたくさんあるんだけど、運悪く残り一つで、最後の一つを使った人が補充するっていう暗黙のルールがあるのです。
ああそれにしてもお腹痛いな。私、量は少ないけど生理痛が酷いタイプなんだよなあ。
医務室ってこんな遠かったっけ。ちょっと休もうかな…



「よォナマエ。」
「ーーーッ!?」



廊下に座り込もうとした私の肩を、後ろから叩かれた。
瞬間、私は座るどころじゃなくなってこれでもかというほど背筋を伸ばした。



「何そんな驚いてんだ?」
「い、や、そんな、私驚いてないですあはは…」
「驚いてるだろ。」



振り返るとエース隊長の姿。ああ、今日も笑顔が素敵です。
でも輝いて見えないのは今私がそれどころじゃないからだ、きっと。
エース隊長とお話するのは好きだけど、ちょっと今だけはダメなんです…!
だからといって無視するなんてできないし、えーとどうしよう…。



「まさか…」
「!」
「つまみ食いか?だったらおれがコツ教えてやるよ。」
「そんなことしませんよ!あ、いや、この前したけど…」



一瞬心臓飛び出るかと思うほど吃驚した。
女に生まれたからにはしょうがない自然現象だけど、それを男の人に面と向かって言われるのはやっぱり恥ずかしい。
つまみ食いとはまた、エース隊長らしい。正直エース隊長の「コツ」、ものすごく知りたいけど今は我慢…!
なんとか会話を切り上げて医務室に急がなければ!



「じゃあ何だ?お前挙動不審だぞ?」
「大丈夫です怪しい者じゃないんで!」
「知ってるって。」



ぷはは、と笑うエース隊長。ああ、やっぱり笑顔が素敵です。じゃなくて!
思ったようにうまく言葉が出なくて挙動不審になる私に、いよいよエース隊長は不思議そうな目を向けた。
あああなんか逃げにくくなってきた…!医務室まであとどのくらいかな…



「誰かに用があるのか?」
「ま、まあ…ちょっとナースさんに…」
「ナース?…調子悪いのか!?」
「ほっ?」



がしっと私の両肩を掴むエース隊長。顔は真剣そのものだ。
もしかしなくても心配してくれてる…?
う、嬉しいけどエース隊長、今の衝撃で腹がやばいです私!



「そういやァ顔色悪いじゃねーか!」
「あ、はは、まあ…」
「バカヤローそういう事は早く言え!」



エース隊長、そんなに慌てなくていいのに…と思ったら、私の体が急にふわっと浮いた。
エース隊長に横抱きされてるんだと気付くのに数秒かかった。



「えええ!エース隊長!私1人で行けます!」
「嘘つけ!立ってるのもつらそうじゃねーか!」
「はわわわ…」



いやまあそれは確かにそうなんですけど、私この体勢もなかなかキツくて…!
お腹は痛いし、ちょ、漏れちゃわないかすごく気になるし、エース隊長の筋肉近いし……あああ何この状況!



「で、どこが悪いんだ?」
「……」
「なッ…ナマエ!?」



私はいろんなショックで気絶していた。










「ぎゃー!」



がばっと起き上がると、ピンクのカーテン。私の手は純白のシーツを握っていた。
ここ…、医務室だ。そして私はベッドの上。



「あら起きた?」
「…エリザさん!」



ピンクのカーテンがシャーっと開くと、入ってきたのはナースのエリザさん。
美人さんなのに気さくで話しやすくて色々とお世話になっていて…私のお姉さん的存在です。今日もナース服がよく似合ってらっしゃいます。



「はい、薬。ナプキンはあるの?」



エリザさんはベッドの横に薬と水が乗ったお盆を置いてくれた。
何も言わなくてもわかってくれるとは…流石ですエリザさん!



「ありがとうございます!ナプキン欲しいです!」
「わかったわ。」



色々大変だったけど、何とか使命を果たせたようです。
…ん?そういえば……ここが医務室ってことは、ここまで運んでくれたのは多分おそらく……



「…あ!あの、エース隊長は…」
「大丈夫、すぐ追い出したから。」
「……」



にっこり、天使のような微笑みなんだけど、あの、どことなく怖いと思ってしまうのは私だけでしょうか。
とりあえず薬を飲んだらエース隊長に「大丈夫です」って言っとこう。







next≫≫
≪≪prev