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06

「信じられねェ!本当にエト族なんていたんだな!」
「ああ!ただのガセだと思ったら…運がいいぜ!」
「エト族の相場ってどんくらいだ?」
「億はいくだろ。」
「ひゃはは!遊んで暮らせるなァ!」


ガハハハ、という男たちの笑い声をナマエは檻の隅で膝を抱えて聞いていた。


(油断した…)


サボに変身を見られた日の翌日、新聞の勧誘に扮した人攫いチームに誘拐されてしまった。
気絶して目が覚めた時には手錠と足枷が繋がれていた。男に担がれた時兎に変身したため衣服は身に纏っていない。
男たちが話していた通り、もしも動物に変身できるエト族が人間オークションに出されればその相場は億を超える。
オークションで売られたが最後、一生奴隷として暮らすことになるだろう。瞳のコレクターに売られたら目玉だけくり抜かれて殺されてしまうということも十分あり得る。
これから待ち受けている光のない未来に、ナマエはぎゅっと膝を抱える手に力を入れた。


「おい、本当にヤるのかよ?」
「いいだろ。外傷さえつけなきゃ質は落ちねーよ。」
「でも兎になっちまうんじゃ…」
「なーに、やり方はいろいろあるさ。」


遠くに聞こえていた男たちの声がだんだん近づいてくる。会話からしてよからぬことを考えているのはナマエにもわかった。


「…!」


恐る恐る背後を見てみると、酒で顔を赤くした男たちが3人、気味の悪い笑みを浮かべて檻の中に入ってきた。
思わず後ずさろうとも、これ以上の逃げ場はない。


「やっ…!」
「へへへ、かわいそうに。そんな身体じゃ男に抱いてもらったこともないだろ?」
「快感を教えてやるぜェ…」


あっけなく腕を掴まれ、仰向けに倒される。男たちの毛むくじゃらの腕がナマエの体に向かって伸ばされた。


ドゴォ!


ナマエがぎゅっと目を瞑ったところで爆音が響く。
これにはアルコールの入った男たちも動きを止め、慌てて檻から出ていった。


「…人攫いチームで間違いないな。」
「な、何だテメーは!?」


ナマエが涙で滲む視界の端にとらえたのは昨日出会った、サボという青年だった。







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