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03

翌日、サボは再び図書館を訪れていた。
この島の歴史に関しては大体調べ終えたのだが、どうしてもあの眼鏡の女性が気になったのだ。
しかしカウンターを見渡しても彼女の姿はない。
フラフラ歩いていると、一番隅の本棚で脚立に乗って本を戻しているのを見つけた。
その瞳は相変わらず丸眼鏡で隠されている。


「なぁ…」
「ひっ!?ぅわっ…!」
「!」


作業に集中していたせいか、いきなりかけられたサボの声に過剰に反応してしまい、バランスを崩して脚立がグラグラと揺れる。
倒れる―ー。
それがわかったサボは無意識に手を伸ばした。


「ッ、避けてください!!」


着地点に構えたところで言われてもそれは無理な相談だ。
それに、大した高さではないにしても一般人が受け身なしで落ちれば怪我は免れないだろう。
サボは彼女の言葉を無視して、しっかりとその体を腕の中におさめた。


ボフン!


その瞬間に立ち上がる煙。
そして不思議なことに、今しがた受け止めたはずの彼女の体の感触が消えた。


「…うさぎ?」


煙が晴れた時サボの目に映ったのは、小さな体に長い耳…そう、うさぎだった。
床には書物と、女性がさっきまで着ていた制服が散乱している。
さすがのサボも何が起こったのか、意味が全くわからなかった。


「おっと…!」
「どうしました!?」


うさぎがもがいてサボの腕から逃れてすぐ、図書館のスタッフが駆け付けた。


「本を戻そうとしたんだけど、バランス崩して落としちまった。」


サボは咄嗟に制服を背後に隠し、苦し紛れに誤魔化した。









結局その場はスタッフが片付けてくれるそうなので、サボは隠した制服を見られないようにして現場を抜けだした。
横目で追ったうさぎは確か、更に奥にある個室に逃げたはずだ。
その部屋はどうやら予約制の勉強ルームのようなもので、2畳くらいの狭いスペースに机と椅子がひとつだけ置いてあった。
しゃがんでみると、机の下の隅で丸くなっているモコモコした小動物を発見。


「…もしかして、メガネさん…?」
「!!」


うさぎに向けて声をかけると、小さい体をビクリと揺らし、まん丸の瞳でゆっくりサボを見る。
その瞳の色が、昨日見た彼女のものと重なる。


「ナマエと申します…。」
「!」





■■
…というわけで、ヒロインはうさぎさんです。
同世代の方はわかると思いますが、フルバから設定をお借りしてます。




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