16:雲雀再び
「六道骸、いる?」
「あちゃー…タイミング悪いですね。しばらくいないみたいですよ。」
「……」
六道くんが野暮用とやらで不在の中、いつぞやの学ランのイケメン……雲雀さんが再び訪ねてきた。
しばらく不在の旨を伝えると雲雀さんはムスっと不機嫌になった。
「えーと…せっかく来たんだし、お茶でも飲んでいきます?」
言ってから思ったけど、息子の友達が訪ねてきたときのおかんか。心の中でツッコミを入れといた。
「あ、お菓子もありますよ。」
「…君はここで何してるの。」
「宿題やったり漫画読んだりしてます。」
「…そう。」
意外にも雲雀さんはソファに腰をおろした。もう少しここで私とお喋りしてくれるってことでいいのかな。とりあえずお茶の準備をしよう。コーヒーは柿本くん達に不評だったからやめた。
「六道くんとはお友達……ではないんですよねすみません。」
「次そんなくだらないこと言ったら咬み殺すよ。」
友達と言った次の瞬間、雲雀さんの手にはトンファーが握られていた。一体それどこから出したんですか。
なるほど。六道くんが前に言ってたことはあながち間違ってはいないみたいだ。
「でも友達じゃないのにどうして会いに来るんですか?」
「昔の借りを返しに。」
「?」
六道くんと雲雀さんが犬猿の仲だということはわかった。そんなに嫌ってるなら顔を合わせなきゃいいのに。理由を聞いてもよくわからなかったけど、なんとなく深くは聞いちゃいけないような気がしたからやめといた。
「あ、六道くんの電話番号ならこの前聞いたからわかりますよ。」
「そんなの知りたくもないよ虫唾が走る。」
「え、ええー…」
いつ来るかわからないここに足を運ぶより、事前に連絡をとった方が全然効率が良いと思うんですけど…。電話番号も聞きたくないとかどんだけ嫌ってるんですか。
「これ。」
「え?」
「僕の連絡先。六道骸が戻ってきたら連絡して。」
「……え?」
「君、名前は?」
「あ、名字です。」
「じゃあよろしく。」
「いや……」
私を介さず、直接やってくれませんか。
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間に挟ませたかった。
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