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06:ランボ来る


(不本意ながらの)航海を始めて2週間程。やっと島らしい島に辿り着いた。
島の名前はホルタイ島。その南側に位置するスラン町は酪農がさかんな穏やかな町…らしい。


「この島はボヴィーノファミリーっつーマフィアが仕切ってんだ。」
「リボーン、来たことあるの?」
「…昔ちょっとな。」


リボーンの情報によると、この町にはボヴィーノファミリーというマフィアが蔓延っているらしい。
マフィアか……海賊同様おっかない人たちだ。絶対に関わりたくない。


「だからな…」
「わ、わかった。あまり町には行かない方が…」
「ボヴィーノを潰すぞ。」
「はあああ!?」
「さすがっすリボーンさん!」


ちょ、真逆!私の意見と真逆!
何でわざわざマフィアなんて怖い人たちにたてつこうとするわけ!?


「ちょっ……ちょっと待ってえええ!!」


私の叫びも虚しく、リボーンと獄寺くんは意気揚々と町に向かっていってしまった。













「あーもう!どこ行っちゃったんだろう2人とも……」


結局ほっておくわけにもいかないから、船をしっかりとめてから私は二人を探しに行くことにした。船番は武に任せた。
早く見つけないと…!あの二人だったら本当にマフィア一つ潰しちゃうかもしれない…!
そんなことしたら新聞沙汰だよ…!


「うわああああん」
「?」


町に向かって森の中を走っていたら子供の泣き声が聞こえてきた。こんなところで泣き声なんて……迷子とかかな?
急いでいるところではあるけど……泣いてる子をほっておけるわけがない。
草木を掻き分けて泣き声のもとにいくと牛柄シャツの男の子がしゃがんで泣いていた。


「…どうしたの?」
「うわああ!?誰!?オバケ!?」
「ふふ、安心して、人間だから。」
「ほ、ほんとに…?」
「! 怪我してるの?」


普通の男の子で内心ほっとしつつ、よく見てみると腕をおさえていて、そこからけっこうな量の血が出ているのが見えた。


「だだだ大丈夫!?痛い!?」
「い、痛い…です…ううっ…」
「えーっと…とりあえず止血…布……えいっ」
「!」


ちゃんとした医療知識を備えてるわけではないけどとにかくまずは止血をしなきゃと思って、本来なら包帯を巻くところだけどもちろん今持ってるわけなくて、布なら何でもいいかと自分のはいていたロングスカートの生地を破いた。
その切れ端を傷口の少し上できつくしばって、今出ている血を拭っていく。


「あの、服…ごめんなさい…」
「いいのいいの。ひとまず応急処置ね。」
「ありがとうございます…」
「君は町の子?早くお医者さんに見せた方がいいよ。」
「……おれ、家出してきたんです…。」
「家出?何で?」
「………ぐすっ」


聞くと少年は涙ながらに語ってくれた。


「おれの父親はマフィアのボスで、おれはその息子だから、周りはみんなおれに跡を継がせようとしてくるんです。」
「マフィア……まさか、ボヴィーノファミリー…!?」


この町でマフィアといえば、さっき聞いたボヴィーノファミリーのことだ…!
絶対関わりたくないって思ってたのに早速マフィアのボスの息子に関わってしまった…!


「はい…。でもおれはマフィアのボスになんかなりたくないんです…!」
「………」
「本人の意思も聞かないで人生を決めるなんて横暴だ…」
「…うん、すごくわかるよその気持ち。」
「本当!?」


マフィアって聞くと怖くて残忍なイメージばっか先行してしまったけど……必ずしも全員がそうなわけではないんだな。少なくとも目の前のこの子は決して悪い子ではない。


「父親や屋敷の使用人のことは好きだけど、おれは人の上に立つような人間じゃない。争い事も嫌いだし…。」
「うんうん。」
「…だから、逃げてきたんです。」


境遇が似てるからかな……少年の話にはものすごく共感できた。逃げ出したくなる気持ち、すごくわかるよ。


「…あなたはこの町の人ですか?」
「えっと……旅の者…かな。」
「じゃっじゃあ!海を渡って来たんですか!?」
「え?ま、まあ…」
「す…すごい!お話を聞かせてください!!」


間違ったことは言ってないよね、うん。だって私海賊じゃないし。海を渡って別の島に来たんだから旅の者でいいよね。
それを聞いた途端少年の目がキラキラと輝いた。


「えっとね、私の住んでた島からここまで2週間かかったんだけどね…」


どうやら海の向こうの世界について憧れがあるみたい。
私も海に出たのは2週間前だけど、ものすごく大きな魚とか、荒れ狂う波とか、この2週間で経験したことは話した。


「すごいですね…。おれもいつかそんな旅をしてみたい……」
「……しないの?」
「それは……無理です…。おれにはそんな度胸ないし…」
「………」
「それに…なんだかんだ言って、おれはこの島が…ファミリーのみんなが好きなんです。」
「…そっか。」


なんだかんだ言いつつも、そのファミリーが大切なんだな。いい子だなあ。
まったく…こんないい子がいるファミリーを潰すなんてリボーンってば……


「………はっ!!」
「どうしたんですか?」
「たったたた大変!早く町に行かなきゃ!」
「え…?」


重大なことを思い出した!リボーンと獄寺くんはボヴィーノファミリーを潰すつもりだったんだ…!


「早く行かなきゃ!君のファミリーが壊滅させられちゃう!!」
「え……ええええ!?」





■■
ランボは12歳設定です。
クソガキからは卒業しましたがまだまだお子様です。





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