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07:三人目


ホルタイ島についた名前は、意図せず出会ったボヴィーノファミリーの御曹司ランボとともにファミリーのアジトへ急いでいた。


チュドーン

ドカーン


大きな屋敷に近づくにつれてどんどん大きくなってくる騒音。
名前は「遅かったか」とため息をついた。


「な…!?」
「ああ遅かった……早く行かないと…!」


ランボは自分のアジトから尋常ではない煙が出てるのを見て驚いた。


「ちょっ…あの中に行くんですか!?」
「だって止めないと!」
「で、でもあんな中に行ったら……」
「あなたの大切な人達なんでしょ!?」
「!!」


爆発音の中に飛び込むのを尻込みするランボの肩を名前が強く掴んだ。


「…だったら、守らなくちゃ。」
「…は、はい!!」


名前の力強い眼差しにランボはしっかりと頷いた。














「テメーらのボスはどこだって聞いてんだよ!ああ!?」
「獄寺くん!!」


屋敷の中に入ると、早速道中でファミリーの一員を締め上げている獄寺を見つけた。その様子はもはやただのヤンキーだ。


「10代目!もうすぐ落とせるんで、10代目は見ていてください!」
「そうじゃなくて!こんなこと今すぐやめて!!」
「え?」


名前の姿を見つけた途端、鬼のような形相がコロっと愛想の良いものに変わった。
名前に「やめて」と言われて反射的に獄寺は手を離した。締め上げられていた男は床に落とされ、ランボに駆け寄った。


「坊ちゃん!よくぞご無事で…!」
「じい!」
「早く逃げてください坊ちゃん…!あなたさえ生き延びれば…」
「おれだけ生き残っても意味ないよ!」
「いいえ、あなたは次期ボスなのだから…」
「みんなが死ぬくらいなら、ファミリーなんていらない!!」
「!」


敵の襲撃を受けた時、一番に優先すべきものはボス……マフィアにとって当たり前のことだった。しかしランボはそれを拒んだ。


「あのガキが次期ボス……消しときます?」
「だからダメって言ってるでしょ!……リボーンは?」
「リボーンさんならこいつらの頭潰しに行きました!」
「「えええ!?」」


すごくいい笑顔でとんでもないことを言う獄寺。
「頭」というのはつまりボヴィーノファミリーのボス……ランボの父親だ。


「い、行くよランボ!」
「はいっ…!」


名前は急いでランボの手を引いた。















「くっ……いきなり何のつもりだ…!」
「さあ。恨むならマフィアに生まれ…そしておれに狙われた、自分の運命を恨みな。」


屋敷の中で一番豪華な部屋の中にうずくまっているスーツの男に、銃口を向けているリボーン。
今まさにとどめをさす……というところに名前達が到着した。


「リボーン!!」
「お父さん!!」
「…名前か。」
「ランボ…!?」


慌ただしく部屋に入っていく2人をリボーンは顔だけ動かして冷静に確認した。
ランボは一目散に父親に駆け寄った。


「リボーンやめてよ!こんなこと…!」
「甘ェな。海賊ならこれくらい当然だぞ。」
「海賊…!?」
「だから私は海賊になんかならない!銃をおろして!」
「…止めてェなら力ずくで止めるんだな。」
「なっ……いいよ、やってやる…!」
「!」


名前がこれだけ言ってもリボーンは銃口を下げない。しかしここは名前も引き下がらない。
絶体絶命なこの状況に加え、自分の話を親身に聞いてくれた名前が海賊であることを知ってランボはパニック状態だった。


「う……うわああああん!!」


やがて、行き場のない不安が涙となって溢れ出てくる。


ゴロゴロ…

ピシャァアアン!!


「ひいっ…!」


ランボの鳴き声に呼応するかのように雷が屋敷に落ちた。
ものすごい音と閃光に名前は尻餅をついてしまった。


「な、何で…晴れてるのに…」


ここに来るまで雨の気配はなかった。しかし今窓の外を見ると、この屋敷の周りにだけ暗雲が立ち込めているではないか。


「うわああああん」
「もしかして…ランボ!?」


泣いてるランボを見て名前がそう直感した。
よく見るとランボの体は電気を帯びてるようだった。バチバチと電流が走ってるのが見える。


「ああ…力が暴走してしまった…!」
「おいおっさん、どういうことだ!?」
「…うちのランボはビリビリの実の能力者でね…。体に電気を帯びることができるんだが……大泣きするとその力が暴走して雷まで呼び寄せてしまうんだ。」


名前の直感は当たっていた。この雷はランボが影響しているらしい。
本来であれば体に電気を帯びる程度の能力。しかし大泣きしている今、誰にも暴走する能力を止めることはできない。


「ランボ!落ち着いて!お父さんは無事だから…」
「うわああああん!!」
「…っ、ランボ!!」
「!!」


泣き続けるランボを名前がぎゅっと抱きしめた。
ランボが帯びていた電気が亜未にも流れ込む。ビリビリと痺れる感覚を唇を噛んで我慢した。


「う、あ……」
「もう大丈夫だから…!みんな大丈夫…!!」
「…名前さん……」


すると名前の声が届いたランボが平静を取り戻していく。


「おお……」
「…ふふ、偉いね。」


やがて外に立ち込めていた暗雲もどこかへ行った。
泣き止んだランボの頭を亜未が優しく撫でると、ランボは嬉しそうに目を細めた。


「おいボヴィーノ。」
「ひっ…」
「リボーン…!」


しかしランボにとって状況が最悪なのは変わらない。ファミリーを壊滅させようとしてる男がまだ目の前にいるのだ。


「安心しろ。もう手は出さねェよ。」
「……」
「その代わり………こいつをもらっていく。」
「……は!?」


手を出さない代わりにと、リボーンが貰うと言って指差したのはランボだった。


「ふ…ふざけるな!」
「そうだよリボーン!」


突拍子も無いリボーンの言葉に簡単に頷けるわけがなかった。


「こいつには名前の仲間になってもらう。」
「! 名前さんの…」
「海賊に坊ちゃんを渡すくらいならこの命果てようとも…!」
「お…おれ…!!」
「「!」」
「行きたい…!」
「…坊ちゃん!?」


しかし、ランボが振り絞ったのは肯定の意志。
目を丸くする父親をしっかり見上げて、ランボは更に続けた。


「この人と一緒に…、世界を見たいんだ…!!」






■■
電気皮膚は悪魔の実の能力にしました。






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