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61:禁弾

「クフフ。まだ僕にはやるべきことがありましてね。地獄の底から舞い戻ってきましたよ。」


意識を取り戻したビアンキの右目には骸と同じ「六」の数字が刻まれていた。ビアンキの話し方も雰囲気も、さっきまで対峙していた骸のものと一致する。
しかし骸自身は確かに銃で自害し床に倒れている。この言い様だと、一回死んで魂だけがビアンキの体に入ったと思わせられる。そんなオカルトな話、信じられないのが普通だが状況は間違いなくその仮説と一致する。


「10代目、ここはオレに任せてください!」
「で、でも…!」
「臨・兵・闘・者!!」
「ええ!?」


名前を庇って前に出た獄寺が、どこで知識を得たのかわからない魔除けの印を組みだした。こんな状況でふざけているように見えてしまうが、獄寺本人は至って真剣だ。


「う…うう…!」
「効いてる!?」


しかしこれが効いてるのか、ビアンキに憑いた骸は苦しみだして倒れてしまった。とは言っても骸の演技という可能性もある。
名前は恐る恐る倒れて動かなくなったビアンキに近づいた。


「ビ…ビアンキ…?」
「…おれ、やりましょうか?」
「獄寺く……骸!!」


背後に立つ獄寺に違和感を感じた名前は間一髪で向けられた刃物をかわすことができた。


「ほう、まぐれではないようですね。初めてですよ、憑依した僕を一目で見抜いた人間は……。君は面白いですね。」


獄寺の右目にも「六」の数字が浮かび上がる。名前が直感した通り、今度は獄寺の体に乗り移ったようだ。


「ど、どうなってるの…!?」
「…間違いねェな。自殺と見せかけて撃ったのは…憑依弾。」
「憑依弾…?」
「……。」


リボーンはこの不思議な状況の原因に心当たりがあるようだ。


「憑依弾は禁弾のはずだ。どこで手に入れやがった。」
「クフフフ、気付きましたか。これが特殊弾による憑依だと…。」


"憑依弾"とは、その名の通り他人の肉体にとりついて自在に操ることができるという特殊弾。
少し前にとある海賊団が開発をしたのだが、あまりにも人道に反していたため世界政府によって弾も製法も葬られたはずだった。


「マインドコントロールの比ではありませんよ。操るのではなく乗っ取るのです。つまりこの体は――…僕のものだ。」
「や……やめて!!」


骸の言う通り憑依弾の効力によって乗っ取られた体は骸に支配されることとなり抗う術がない。
それを実証してみせるために、骸が獄寺の体を自身で傷つけてみせた。
おそらくこの弾を使ってランチア程の男を陥れたのだろう。


「さあ次は君に憑依する盤ですよ、ボンゴレ10代目。」
「え……私!?」
「若き海賊団の船長を手中に納めてから僕の復讐は始まる…。」
「復讐…?」


骸が名前達を狙った本当の理由……それはボンゴレ海賊団10代目の体を乗っ取ることだった。


「奴の剣に気をつけろ。」
「え!?」
「あの剣で傷つけられると憑依を許すことになるぞ。」
「!」


リボーンが洞察したことはどうやら当たっているようだ。
最初に憑依したビアンキはあの刃物でフゥ太に腹部を刺されていたし、獄寺はそのビアンキによって頬を刃物がかすめていた。


「もっとも僕はこの行為を"契約する"と言っていますがね。」
「あ…!」


再びビアンキに憑依した骸が倒れてる雲雀を刃物で傷つけ、そのまま雲雀に憑依をした。


「そんな…ッ!?」
「おや…」


雲雀の体で名前に攻撃しようとするが、その前に倒れこんでしまった。


「この体は使いものになりませんね。これで戦っていたとは恐ろしい男だ、雲雀恭弥……。」
「雲雀さん!」


どうやら雲雀の体自体が既に動けるような状態ではないようだ。
骸が中から抜けるとそのまま雲雀は倒れてしまった。


「気をつけろよ。また獄寺かビアンキに憑依するぞ。」
「そんな……獄寺くんに……え!?ビアンキにも…!?」


バキッ


「え…!?」
「…奴らもか。」


次はビアンキと獄寺、どちらに憑依するのかと思ったがなんと2人共が立ち上がった。
更には雲雀に倒されたはずの金髪の男と眼鏡の男までもがこの部屋に入ってきた。


「同時に四人…!?」


骸が憑依した4人に挟まれる名前とリボーン。状況は最悪だ。







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