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60:憑依

「お……終わった……。」


雲雀さんが骸を倒してくれたおかげで全てが終わった……そう思うと一気に力が抜けてしまった。
やっぱり雲雀さん強いなあ。あんなに強かった骸をあっという間に倒しちゃったんだもん。正直2人の攻防戦、速すぎて何も見えなかった。


ばたっ


「雲雀さん大丈夫ですか!?」


雲雀さんにお礼を言おうと思ったら、雲雀さんまでその場に倒れてしまった。


「こいつ途中から無意識で戦ってたぞ。よほど一度負けたのが悔しかったんだな。」
「す、すごい…。」


そうだよね……普通の人だったらこんな酷い怪我を負ってたら動けるはずもないんだ。
雲雀さんも獄寺くんも……こんなになるんだったら私が船長なんだって、言ってくれてよかったのに…。


「早くみんなを病院に連れていかなきゃ…!あっ、病院とかあるのかな!?」
「東の方にあったぞ。」
「よかった…」


雲雀さんはもちろん、倒れているビアンキとフゥ太も途中で別れた武も、早く病院に連れていってあげたい。


「骸……死んでないよね…?」
「ああ、気を失ってるだけだな。」
「……」
「…まさかこいつまで助けようなんて言うつもりじゃねェだろうな。」
「ち、違うけど……」


もちろん骸がしてきたことは許せることではない。
でも、海兵でもない骸が海賊を狙う理由がなんとなく気になった。


「クフフ……ご心配なく。」
「!!」
「ッ、てめー!!」


気絶していたはずの骸が起き上がった。手には拳銃を持っている。
獄寺くんが咄嗟に私を庇ってくれたけど……何だろう、攻撃の意志を感じない…。


「なぜなら生存者はいなくなるからです。」
「え…!?」
「…また会いましょう。」


骸は手に持った銃をおもむろに自分の頭に突きつけ、私が事態を理解する前に何の躊躇もなく引き金を引いた。


ズガン!


気付いた時には骸が頭から血を流して倒れていた。


「なんで…、こんなこと…!」
「捕まるくらいなら死んだ方がマシってヤツかもな。」


やるせない終わり方に胸が痛む。そしてそれ以上に……なんだろう、変な感じがする…。


「ついに骸を倒したのね。」
「アネキ!」
「ビアンキ!大丈夫なの?」
「無理すんなよ。」


よかった、ビアンキの意識が戻ったみたい。


「肩貸してくれない…」
「しょーがねーなー…今日だけだからな。」
「っ、獄寺くん行っちゃダメ!!」
「え?」


座り込むビアンキに獄寺くんが近づくと、何故かすごく嫌な感じがして咄嗟に叫んでしまった。
みんなに不思議そうな顔をされる。な、何言ってるんだろう私…。


「これくらいのケガ大丈夫っスよ。」
「でも……」
「すまないわね隼人。」
「ほら……!?」
「あ…!!」


獄寺くんがビアンキに手を差し伸べると、ビアンキはあろうことか獄寺くんに刃物を向けた。骸が使っていた武器の先端部分だ。


「なっ、何しやがんだ!!」
「!」


やっぱり、何かがおかしい…!ビアンキがこんなことするはずない。


「何やってんだビアンキ。しっかりしろ、刺したのは弟だぞ。」
「私なんてことを…したのかしら!」


ガッ


「ああっ!」


今度は心配して近づいたリボーンにまで…!リボーンは軽い身のこなしでかわした。
大好きなリボーンを攻撃するとなるといよいっよありえない。


「まさか…マインドコントロール……!?」
「ちげーな。何かに憑かれてるみてーだ。」


確かにフゥ太の時とは違って、今のビアンキにはしっかり自我がある。
でもこれはビアンキの意識とは違う気がした。誰か別の人の意識……


「……骸…?」
「!」


行きついた答えに自分でもゾッとした。だって、骸はさっき自殺したはずなのに。


「…クフフ……また会えましたね。」
「な…!?」


そんなありえない予想は当たってしまったようだ。








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