RE! | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



58:マインドコントロール

「フゥ太!何してるの…!?」
「うう…」
「わっ!?」


ビアンキを刺したフゥ太は何かにとり憑かれているように私に向けても刃物を振りかざしてきた。
やっぱりいつものフゥ太じゃない…!


「…マインドコントロールされてるみたいだな。」
「そんな…!」
「クフフ…。」


ビアンキの応急処置をしながらリボーンが言った。
つまり、ランチアさんの時のように骸に操られているってこと?
キッとソファに座る骸を睨むと、余裕そうに笑みを浮かべている。その姿に無性に腹が立った。


「さあ、どうします?ボンゴレ10代目。」


心優しいフゥ太に人を傷つけさせるなんて……許せない…!かと言って、私がフゥ太を傷つけるわけにもいかない。
こうなったら元凶の骸を倒さないと…!


「ほう…。」
「わっ、フゥ太やめて!!」
「ううう…」


覚悟を決めて骸に近づこうとするけどそれをフゥ太が許してくれない。
振りかざされた刃物は弾き飛ばしたけど、フゥ太はそのまま私に飛び掛かって首を絞めてくる。


「う…っ…」


苦しい。けれど、正面にあるフゥ太はもっと苦しそうな表情をしている。
この目はランチアさんと同じ目だ。きっとフゥ太もランチアさんと同じように操られて酷いことをさせられて、それで罪の意識を感じて苦しんでるんじゃないだろうか。


「フゥ太は悪くないよ。」
「!!」


海賊に追われた時も「自分のせいで」と感じてしまうフゥ太はとても優しくていい子だ。
そんな優しいフゥ太をこれ以上苦しめたくない。私が、安心させてあげないと…!


「何があっても私はフゥ太の味方だよ。だから、安心して帰ってきて…!」


フゥ太の頭を撫でながら伝えると、首にかけられた手の力が弱まった。


「名前姉……」
「! フゥ太!」


そして頭を抱えたかと思うと、床に倒れて気絶してしまった。


「君が余計なことをするから彼、クラッシュしちゃったみたいですね。」
「!」


でも倒れる前、私の名前を震える声で呼んだのは間違いなくフゥ太本人だった。マインドコントロールは解けたみたいだ。


「君と出会った時に捕まえた海賊……彼らはランキング少年を追っていたようですね。なんでもランキング少年は今ボンゴレ海賊団の船にいるとか。」


そうか…。あの時捕まえた海賊達にフゥ太のことを聞き出して、私達がこの町に滞在してることもバレたのか…。


「ボンゴレといえば由緒ある大海賊団。是非その船長を手中に収めておきたいと思ったのですが……フゥ太くんも雲雀恭弥もなかなか教えてくれませんでした。」
「!!」


やっぱり雲雀さんも骸と闘ってたんだ…!ここにいないとなると、負けてしまったのだろうか。


「なるほどな。それでフゥ太のランキングを使って船長をあぶりだそうとしたんだな。」
「もくろみは大成功でしたよ。現に今ボンゴレはここにいる。」
「そんなことのために……」


たったそれだけのために、獄寺くんや了平さんを傷つけて、フゥ太にこんな酷いことをさせたっていうの…?


「骸……あなたは間違ってる。」
「クフフ……まさか僕が直接手をくだすことになるとはね。」


ついに骸がソファから立ち上がった。不思議と恐怖は感じていない。それ以上に怒りの方が大きいんだ。大切な仲間を傷つけられたから。


「おれは手出ししねェからな。これを貸してやる。」
「ム、ムチ!?」
「ディーノから借りといてやった。」


リボーンからディーノさんが使っていたようなムチを渡された。
ムチなんて使ったことないから上手く使えるかわからないけど、何もないよりはマシだ。
骸は棒みたいな武器を構えている。


「クフフ……こちらからいきますよ。」
「!」


ムチの持ち手を探している私の隣を骸が通り過ぎた。
一瞬何が起きたのかわからなかったけれど、数秒して体に激痛が走った。


「うっ…痛い…!何で……」
「すれ違いざまに攻撃されたんだ。」


ぜ、全然わからなかった…!やっぱりランチアさんが言っていた通り、骸…ただ者じゃない…。


「目から……死ぬ気の炎!?」
「ほう、見えますか?」


よく見たら骸の右目からは死ぬ気の炎が灯っていた。


「六道輪廻という言葉をご存知ですか?」
「六道輪廻…?」
「人は死ぬと生まれ変わって六つのどれかの冥界へ行くというやつだな。」
「……?」


何やらリボーンと骸が難しい話をし始めてついていけない。
よくわからないけれど、どうやら骸は六つの違った能力を持っているらしい。


「さあ、次のスキルをお見せしましょう。」






next≫≫
≪≪prev