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54:トライデントモスキート

「では最後のひとつ……このナイフで船長さんを刺してください。」
「「「!!」」」


バーズっていう人が最後に出してきた条件はとんでもないものだった。
それまでの船長を教えろとか、服を脱げとか、その程度でランボとイーピンの無事が約束されるんだったら安いものだった。
でも…今回のはレベルが違う。カランと投げ出されたナイフを見てゾッとした。


「ナイフの柄の所までぶっすり刺してくださいね。」
「ふざけんなヘンタイヤロー!できるわけねーだろ!!」
「そうですか…それでも私は別に構いませんがね。」


私の代わりに獄寺くんが返答をした。断られたというのにバーズっていう人は嬉しそうに笑ってモニターに視線を移した。


「では彼らをどうやって殺しましょうか……火炙り、毒殺……硫酸をぶっかけるってのもいいですねェ…。」
「! 待って!ナイフでも何でも刺すから!!」


モニターを見ると双子の恐ろしい殺し屋が今にも2人に襲いかかりそうになってて、私は咄嗟に叫んでしまった。
だって…!絶対ダメだ。まだ小さいランボとイーピンを危険な目に合わせるなんて…!


「それではやってもらいましょうか。制限時間は10秒ですよ。」
「……」
「10代目…ッ、考え直してください…!」


ナイフを持つ手が震える。これを、自分の体に刺すなんて……想像するだけでも恐ろしい。
でも、こうする他2人を助ける方法はない。こうやって私の身を案じてくれる獄寺くんだって、私を庇って大きな傷を負ってしまったんだ…。私だって、このくらい…!


『ギギィィッ』
「!?」
『なんだァお前ら?』


ナイフを持つ手にグッと力を入れたところで、モニター向こうの殺し屋が一人倒れていることに気付いた。


『まー船にタダで乗せてもらってんだ。こんくらいお安い御用だぜ、名前ちゃん?』
「シャマル…!」


こっちに向かって手を振るシャマルはいつもみたいに眠たそうな目をしてるけど、なんだかものすごく頼もしかった。


「ヂヂ!こうなればみんな殺してしまえ!!」


呑気に手を振ってる場合ではない。シャマルの背後からもう一人の殺し屋が奇声をあげて襲い掛かろうとしている。


『まー落ち着けよ。つーか、あまり激しく動かん方がいいぞ……おまえは振動症候群にかかっちまった。』
「シャマル危ない…!」


シャマルは至って落ち着いていて振り返ろうともしない。このままじゃやられちゃうよ…!


『…つってももう遅いか。発病だ。』


しかし次の瞬間、倒れたのは殺し屋の方だった。
そういえばシャマルも元々は殺し屋だったんだよね…。さっき「振動症候群」って言ってたけど……これもトライデントモスキートの病気のひとつ…!?怖すぎる…!


「バ…バカな!!」
「おいヘンタイヤロー…よくも好き放題やってくれたな…。」
「ひっ…」


とりあえず、これで私達がバーズっていう人の言うことをきく理由がなくなった。
後ずさるバーズを獄寺くんが追い込む。……不良にしか見えない…。


「く、くわばらくわばら…」
「どこ行くんだ。」
「ひげっ」
「げ…。一発でのしちまった。」


逃げようとしたバーズに獄寺くんが一発蹴りを入れると、あっさりと倒れて動かなくなってしまった。
命令する本人は大したことなかったんだな。


「じゅ、10代目、服を…!」
「あ…!あ、ありがとう。」


そして赤い顔で服を渡される。そうだった、今私上は下着姿だった…!つられて私も顔が赤くなって、いそいそと服を着た。


「おかしいな。」
「な、何が?」


今までずっと黙っていたリボーンが口を開いた。


「さっきのM・Mといいこいつといい……海兵どころか賞金首だぞ。」
「ええ!?」


海兵の服を着て海軍基地にいるのに、賞金首ってどういうこと!?


「…この海軍基地は既に乗っ取られてるのかもな。」
「そんな…!」


でも確かに、基地内部に入って遭遇した海兵があの2人だけっていうのはどう考えてもいかしい。リボーンが言ってることは間違っていないかもしれない。
だとすると、指揮をとっているのはここで一番偉い人……ランチア大佐ってことなのかな…?
よくわからないけど、モヤモヤとした不安が胸の中に残った。







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