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51:敵の狙い


「んで、どーらったんれすか?その……アヒルだっけ?1位の奴は。」
「ハズレでしたよ。船長の名前も口を割りませんでした。」
「ひゃ〜〜、そいつ生きてんのかな〜?」


雲雀との戦闘を終えた骸は傷ひとつなく、相変わらず優雅にソファに腰かけていた。床には雲雀のものと思われる血がところどころに付着している。


「骸様……」
「…おや。」


そこに戻ってきたのは黒焦げになった仲間。彼は部屋に入るなり力尽きて倒れこんだ。


「千種の相手は3位の獄寺隼人……手強かったみたいですね。」
「ダッセー、柿ピー黒コゲじゃん!そいつが船長なんすかね?」
「さあ……まあ、このリストの中にいることは間違いない…ゆっくり探しましょう。」


骸は手に持った紙の一番下に書かれている名前を指でなぞって、意味深に笑った。













一方名前と山本は獄寺を抱えて無事船まで戻ってくることができた。
医務室のベッドに了平と獄寺が並んで寝ている。普段男にベッドは貸さないと言っているシャマルも事態が事態なだけにテキパキと応急処置をしてくれた。
2人とも命に別状はないが了平は腕を折られてしまっているし、獄寺は出血の量が多すぎると言っていた。


「名前さん…」


甲板で膝を抱えて座り込む名前にランボが不安そうに声をかけた。


「いつまでもうじうじしてんな。喧嘩を売られてるのはお前だぞ、名前。」
「……!」


そんな名前に厳しい言葉を落としたのはリボーンだった。


「これを見ろ。」
「……これは…」


リボーンが名前に渡したのは一枚の紙。フゥ太のランキングのコピーのようだ。
一番上には「ボンゴレ海賊団強さランキング」と題されていた。その上位5名が今回手配書を貼られた5人と一致していた。


「フゥ太に作ってもらったランキングだ。奴らはこれを利用して船長を割り出そうとしてるんだ。」
「……」


確かに獄寺も狙いは船長である名前だと言っていた。そう…、名前を捜し出すためだけに獄寺も了平も傷つけられたのだ。


「フゥ太はおそらく海軍に捕まってる。」


本来フゥ太のランキングは機密情報。そう簡単に出回るものではない。
このランキングが海軍の手に渡っているとなると、フゥ太は海軍に捕らえられてる可能性が高い。それに雲雀もまだ帰ってこない。


「…どうする?」
「そんなの…助けに行くに決まってる。」
「…そーか。」


応えは聞くまでもなかった。名前の瞳には強い覚悟と怒りがこもっていた。
大切なものを傷つけられたこと、そして自分の無力さにどうしようもなく腹が立った。


「んじゃ、海軍基地に乗り込むぞ。」
「隼人は大丈夫なの!?」
「ビアンキ!」


名前が決意を固めたところでビアンキが血相を変えて帰ってきた。彼女も手配書がまわっていたがどうやら無事のようだ。


「よかった、無事だったんだ…」
「海兵なら全員倒してやったわ。」


狙ってきた海兵を全員返り討ちにしたのは流石と言うべきか。ポイズンクッキングの餌食になったであろう海兵達を名前は少しだけ哀れんだ。


「私も行くわ。大事な弟を傷つけられて黙っていられないもの。」
「…わかった。」
「名前さん…」
「ランボとイーピンは獄寺くんと了平さんの看病をお願いね。」
「……はい。」


敵地に乗り込むのは名前、山本、リボーン、ビアンキの4人。ランボとイーピンには船で留守番をお願いした。


「10代目、おれも連れて行ってください…!」
「獄寺くん!?」


そこにさっきまでベッドで寝ていたはずの獄寺が現れた。
顔色はよくなってきたが、あれだけの血を流したのだ。平気なわけがない。


「だ、ダメだよ!安静にしてなきゃ…」
「シャマルに鎮痛剤を貰いました。あのメガネヤローはおれが…」
「無理をしてはダメよ隼人!」
「ふげーーー!!」
「あああ!」


鎮痛剤を貰ったといっても傷が治ったわけではない。一時的な気休めにしか過ぎない。
それにビアンキがいる以上、同行させることは不可能だ。


「ビアンキ、これをつけろ。」
「え?」


そこでリボーンがビアンキに渡したのは顔の半分を覆うゴーグル。
ビアンキはリボーンからのプレゼントということで嬉しそうにそれを装着した。


「な……姉キを見ても平気だ…!」
「え!?」
「ビアンキの顔が少し隠れれば大丈夫みたいだな。」
「そうなの!?」
「やった…!ついに姉キを克服したぜ…!」
(克服とは違う気がする…)


どうやらビアンキの顔の一部が隠れていれば、腹痛は発症しないようだ。獄寺はグッとガッツポーズを作った。根本的な解決にはなっていないことには気づいていない。


「で、でも獄寺くんは…!」
「男が覚悟を決めたんだ。とやかく言うんじゃねェ。」
「!」


それでも怪我を心配する名前にリボーンが言った。
ここは獄寺の気持ちを汲んであげるべきなのだろうか。まだ少し疑問が残る自分を納得させて名前は頷いた。


「じゃあ…行きましょう。」


目指すはコクヨウ町、海軍基地。






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