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45:コロネロとスカル来る


嘆き弾の効力により海賊ランドへの入島が認められたロンシャンは「ナンパしまくる」とどこぞの医者のようなことを言ってビーチの方へ走っていった。


「し、死ぬかと思った…!」
「楽しかったー!」


一方名前達は遊園地に向かい、早速ジェットコースターに乗ってきたところだった。
流石海賊が経営する娯楽施設なだけあってかなりスリルの味わえるアトラクションだったようだ。
名前はアトラクションから降りてもまだ地に足がついてないような感覚でうまく歩けなかった。


「ちょっと休むか?」
「うん、そうする…。」
「情けないぞ沢田!あのくらいの揺れでへばるとは!」
「10代目はテメーと違って繊細なんだよ!」
「名前姉大丈夫?」
「うん。みんなは他のアトラクション行って…」


ウォォーーーン


「「「!?」」」


名前がベンチに腰を下ろしたところで島全域に大きな警報音が鳴りわたった。


『侵入者を発見しました。南からカルカッサ海賊団の船が4隻。南ゲートが攻撃されました。』


間も無くして女性のアナウンスが聞こえた。海賊の襲撃を受けたらしい。


「た、大変!避難しなくちゃ…」
『腕に自信のある方は南ゲートまでお越しください。』
「えー!?」


非常事態のアナウンスだというのに、避難の避の字も出てこなかった。


「よっしゃ、いい暇つぶしができたぜ。」
「腕が鈍っちまうとまずいからな。」


さっきまで遊園地のアトラクションを楽しんでいた人達が何故か生き生きとして南ゲートへ向かっていく。名前には理解できなかった。


「10代目、おれも行ってきます!」
「猛者がいるのならおれも行こう!」
「ついてくんな芝生頭!」
「うるさいぞタコヘッド!」
「あっ、ちょっと!」


ここにも血の気の多い男が2人いた。「腕に自信がある方」というフレーズに感化されて獄寺と了平が南ゲートの方へ走っていってしまった。


「大丈夫かな…カルカッサ海賊団は残忍な海賊ランキング上位だよ。」
「ええ!?わ、私止めてくる…!」
「名前…」
「武、ランボ達をお願い!」


フゥ太から相手が危険なことを聞いて名前は2人のあとを追いかけた。










「獄寺くん!了平さん!」


足の遅い名前が南ゲートに到着した時、2人は既に戦闘の真っ最中だった。


「10代目…!下がっててください!」
「こいつ…さっきから攻撃が当たってるはずなのに何故平気そうなんだ!?」


おそらく獄寺のダイナマイトによってあがったであろう噴煙の中に一人の男が立っていた。


「ふん、こんな攻撃蚊に刺されたようなもんだ。」


男はライダースーツに身を包み、顔面はフルフェイスのヘルメットで覆われていた。
服には確かにダイナマイトの火薬に焼けた痕があるが、男はピンピンとしている。
獄寺と了平の攻撃をくらってなお平気だとしたら相当強いに違いない。


「2人とも逃げよう!」
「しかし…!」
「逃がすか!」
「へっ……ひゃああ!?」


2人に逃げようと促す名前の体に何かが巻き付いて、名前の体を宙に浮かせた。
いきなりの浮遊感に驚く名前。自分のお腹に巻かれている赤いものを辿ってみると、そこには大きなタコがいた。


「10代目!!」
「おおっと動くな!こいつがどうなってもいいのか?」
「うっ…!」


どうやら巨大タコは男の指示によって動いているようだ。男が指を動かすと、それに反応してタコは名前の体を締め付ける力を強くした。


「ふふふ…このスカル様にかかればこんな島の一つや二つ…」
「うぜーぞ。」
「ショット!」


ズガン!


名前を人質にとられて獄寺も了平も動けないでいると、銃声が2つ聞こえた。一つは名前を捕えていたタコに、もう一つは男の顔面に当たった。


「リボーン!と……誰?」


地面に落とされた名前の傍にはリボーンと迷彩柄のバンダナを巻いた知らない男が立っていた。


「こいつがボンゴレ10代目か。」
「へっ…」
「こんな弱そうな女で大丈夫なのか?コラ!」
「問題ねェ。おれが教育係だからな。」


バンダナの男は何やらリボーンと親しげに話している。名前がボンゴレの10代目候補ということも知っているようだ。


「おれはこの島の警備隊の隊長をやってるコロネロだ。」
「沢田名前です…。リボーン、知り合いなの?」
「こいつとは腐れ縁だ。」
「そうだぜ。あとあいつともな。」
「……あ!あの人、大丈夫なの!?」


コロネロと名乗った男が「あいつ」と指さしたのはタコを操っていた男だ。先程銃弾が顔面に当たって倒れたままだった。


「いっ…てェ〜〜!!」
「い、生きてる!」


普通銃弾が顔面に当たれば致命傷は避けられないはずだが……男の場合ヘルメットが壊れて顔に擦り傷ができた程度で済んでいた。


「あいつの名前はスカル。不死身のスタントマンだ。」
「不死身!?」
「そんでおれのパシリだ。」
「げっ…リボーン先輩とコロネロ先輩…!」
「せ、先輩…?」


タコを操る男の名前はスカル。カルカッサ海賊団に雇われた戦闘員だ。
あれだけの攻撃を受けてなおピンピンしているその姿は「不死身」と呼ばれるのに確かに相応しかった。
しかし気になるのはその後のリボーンの「パシリ」という言葉。スカルもリボーンとコロネロのことを「先輩」と呼んでいる。ただの顔見知りではなく、ここには上下関係が垣間見える。


「お、おれはパシリじゃないぞ…!」
「あ?」
「ひいいっ!!」


どうやらスカルはリボーンとコロネロには逆らえないらしい。
スカルという大きな戦闘力を失ったカルカッサ海賊団は間もなくして警備隊によって撃退された。






■■
アルコバレーノの呪いは短命ということで。





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