44:トマゾ海賊団来る
「ついたーーー!!」
私達が到着したのはログポースが示す島……ではなくて、海賊の休息地という「海賊ランド」という島。
偶然助けたロンシャンを仲間のもとに送り届けるついでに、遊園地なんかもあるみたいだから遊んでいこうということになった。
海賊だらけの島なんて危険すぎると思ったけどセキュリティはちゃんとしてるみたいだから、ランボ達も遊園地で遊んで大丈夫……かな。もし危険だったら即行帰ろう。
「ん?なんか揉めてるな…」
「え…」
え、もしかして早速揉め事…!?上陸してすぐの場所にある大きなゲートのところに人が集まっている。
「あ!あれおれの仲間だ!おーーいおーーい!」
「ロンシャンくん!よく無事で…!!」
どうやらそこにいるのはロンシャンの仲間らしい。よかった、早速合流できた。
「えええ中に入れないの!?何でーー!?」
ロンシャンの仲間達は中に入れてもらえなくてここに集まっているらしい。
え…海賊ランドって海賊だったら誰でも入れるんじゃなかったの?
「トータルバウンティ1億以下の海賊はお断りさせてもらってます。」
「とーたるばう…?」
「海賊団合計の懸賞金額のことっス。」
…じゃあ私達も門前払いってことじゃん!この前雲雀さんと武が手配されちゃったけど、確か金額は2人合わせて4000万だ。
「こちらは…ボンゴレ海賊団のみなさんですね!どうぞお通りください。」
「え、何で!?」
「ボンゴレ海賊団はまだ9代目が主軸だからな。1億なんて余裕だぞ。」
「なんと……」
なんか…あまり知りたくなかったかも…。
「なっ…ななな何でロンシャンくんがボンゴレの奴らと一緒に…!?」
ロンシャンの仲間の細長いおじさんが私達を見てワナワナと震えだした。
あ…そういえばトマゾ海賊団ではボンゴレは代々憎むべき相手として伝えられてるんだっけ…?
「まさか捕虜に……ロンシャンくんが危ない…!」
「いいなー沢田ちゃんおれも一緒に入れてちょーだいよー!」
「ちょ、ロンシャンっ、止めて!」
勘違いをしてしまったおじさんは私の方に銃を向けた。能天気に喋ってる場合じゃない。私達に敵対心がないことをロンシャンから説明してもらわないと…!
ズガンッ!
「え…!?」
予想外の出来事に動けなくなった。おじさんが撃ったのは私じゃなくて、隣にいたロンシャン……自分のとこの船長を撃っちゃったよ…!ロンシャンはそのまま仰向けに倒れてしまった。
「もうお先真っ暗…真っ黒こげ……」
「!?」
しかしすぐにむくりと起き上がった。よかった、死んではいない…っていうか血すら流れてない。
「トマゾに代々伝わる特殊弾だな。」
「え…死ぬ気弾みたいなやつ?」
「ああ。あれは…嘆き弾だ。」
なるほど。リボーンが私に死ぬ気弾を撃つように、おじさんはロンシャンに嘆き弾っていう特殊な弾を撃ったんだ。
「わかってるさ……自分がうざがられてることくらい……おれの周り舌打ちが多いって……」
「な、なんかすごいネガティブになってる…!」
「嘆き弾の効果だな。」
さっきまでのロンシャンとは全くテンションが違う。こうやってネガティブになるのが嘆き弾の効果ってこと?でもそれって、何の意味があるんだろう…。
「そんなおれにも親友がいました……でも1週間前散歩中に他界……おれを置いていかないでくれポチーーー!!」
「犬!?」
「ポチを失った悲しみを克服するために遊園地で遊ぼうと思ったけど門前払い……どうせおれの懸賞金は30万ベリーだよ……」
「な、なんか可哀想になってきた…。」
「今回だけ入れてやろうか…。」
こうやって不幸話を聞いているとだんだんロンシャンが可哀想になってくる。それは門番の人達も同じのようだ。
「これこそ嘆き弾の効力だ。」
「え……まさか……」
「はい!他人の同情を買って目的を果たすことができるのです!」
「……」
うわあ、おじさんものすごくいい笑顔で言い切った…!
「今回だけ特別だからな。」
「ちゃんと立ち直れよ。」
「マジで!?やったー!ピースピース!」
「いいの!?」
結果、ロンシャンは条件を満たしていないけど門番の同情を買って海賊ランドへの入島が認められた。嘆き弾、侮れないかもしれない…!
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