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39:半人前


「コーヒーどうぞ…。」
「お、悪いな。」
「名前の淹れるコーヒーは独特な味がして面白いぞ。」
「褒められてる気がしないんだけど…。」


仲間の人達をキャバッローネの船に帰して船長のディーノさんだけがここに残った。
とりあえずリボーンの隣に同じようにイスを出してエスプレッソコーヒーを出した。


「うあちっ」
「わ!?」


早速カップに口をつけたディーノさんは盛大に吹き出して中身を零してしまった。


「わ、悪い!」
「いえ、だ、大丈夫ですか!?」


ディーノさん猫舌だったのかな。もうちょっと冷ましてから出せばよかった…!Tシャツにコーヒーのシミが…!


「Tシャツ…よければ洗濯しますけど…」
「そーか?悪いな。」
「!?」


ほっとくとシミになっちゃうから洗濯を申し出たらなんとその場でTシャツを脱がれて慌てて目を逸らした。
なんか、すごいタトゥー入ってた気がするけどもう一度見る勇気は色んな意味でない。


「ガキだな。」


しょうがないじゃん、雲雀さんの時もそうだったけど男の人の裸なんて見慣れてないんだから…!


「お洗濯なら私がやりますよ!」
「本当?ありがとう。」
「名前さん!おれお風呂掃除してきます!」
「うん、ランボもありがとう。」


Tシャツの洗濯はイーピンが申し出てくれたからお願いした。
そしたら何故かランボも対抗するようにお風呂掃除をすると宣言して行ってしまった。


「ハハ、なかなか慕われてんじゃねーか。」
「いや、妹と弟みたいな感じで…てかディーノさん、服…!」
「?」


ディーノさんは服を脱いだまま平然としているけど…え、もしかしてこのまま過ごすつもりなの?


「おれの服貸すっスよ。」
「お、サンキュー。」


目のやり場に困っていたら武がディーノさんにシャツを貸してくれた。ファインプレーだ。


「今仲間は何人いるんだ?」
「今は8人だな。」
「ちょっと…」
「8人か…もう少し欲しいな。」


なんか2人で勝手に話してるけど、私は海賊になんてなるつもりないから…!


「うわあああ!」
「「!?」」


ランボの悲鳴が聞こえて慌てて立ち上がった。お風呂掃除するって言ってたからお風呂場の方からだ。一体何があったんだろう。


「どうし…あだっ!!」
「へっ…」


ディーノさんも私と同様に慌てて立ち上がって……そして、こけた。


「いてて…自分の足を踏んじまった…」
「え…えええ…」


さっきあんなに華麗な動きを見せてくれたディーノさんからは想像できないような見事なこけっぷりだった。
しかも何かに躓いたとかじゃなくて自分の足を踏んでしまったって…完璧ドジが原因じゃ…


「ディーノは部下がいねーと半人前だからな。」
「は?」


リボーンが言うには、ディーノさんは仲間の前じゃないと力が発揮できず、運動能力が下がってしまうタイプなんだとか。
それって…ある意味究極のリーダー体質なのかもしれないけど……


「おいよせよリボーン、名前が信じるだろ。それより急ごう!」


ディーノさんの体質の真偽はとりあえず置いといて、今はランボが心配だ。私たちはお風呂場に急いだ。


「ランボどうしたの!?」
「よ、浴槽に怪獣がぁ…!!」


お風呂場に入ると涙目のランボが抱きついてきた。指差す方を見ると、確かに大きな甲羅を持つ生き物が浴槽のコンクリートをかじっていた。
何この生き物…!亀のように見えるけど、普通こんな大きくないし…


「あちゃー…エンツィオの奴いつの間に逃げ出したんだ?」
「え、エンツィオ…?」
「悪い、あいつはおれのペットなんだ。」
「ペット!?」


でもディーノさんあんな大きな生き物連れてなかったよ!?


「エンツィオは水を吸収して膨張するスポンジスッポンだ。」
「何それ!?」


じゃああれは元々カメだったの!?
こんな大きくなってしまったら、ランボの言う通りもはや怪獣だ。実際に浴槽が食べられてしまっている。


「ど、どうしよう!?」
「下がってろ名前。自分のペットの世話ぐらいできなきゃ船長なんて名乗れねーぜ。」


狼狽えているとムチを片手にディーノさんが前に出た。
そうだ、ディーノさんの華麗なムチさばきならなんとか…


「静まれエンツィオ!!」
「ひゃっ!?」
「いだぁっ!?」


しかしディーノさんが振るったムチは何故か背後に立っていた私とランボに当たった。い、痛い…!


「悪い、すっぽ抜けた!」
「ええー…!」
「だから言っただろ。」


これはもう…リボーンの言ってることはきっと正しいんだろう。
…ということはこの状況、どうやって解決すればいいの!?


「しょうがねぇ、特別にレオンを貸してやる。」
「え?」


巨大亀に対してカメレオンのレオンでどうするのか…そう思ったけどレオンはいろんなものに変身できる特殊なカメレオン。
レオンは大きなドライヤーに変身して私の手に収まった。


「スポンジだからな。乾かせば元に戻る。」
「そっか…!」


温風をエンツィオに向けるとみるみるうちに小さくなっていって、最終的に手のひらサイズで落ち着いた。
こうしてなんとか船の全壊は防げたけど……ディーノさんの意外な一面を知ってしまったのであった。





■■
ちょっと沿いすぎたかも。






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