36:ランキング
「僕はフゥ太。名前姉のことはランキングで知ってて、会いたいと思ってたんだ!」
「ランキング…?」
場所を近くの公園に移して、名前達は少年の話を聞いていた。
今日初めて会ったはずの名前を親しげに呼ぶこの少年の名前はフゥ太。
「そういえば…ランキングのフゥ太って聞いたことがあります。ホシホシの実の能力者だって…」
「え!?君悪魔の実の能力者なの!?」
「うん。いろんなランキングを調べることができるよ。」
ホシホシの実の能力者で、どんなランキングでも知ることができる。おそらく男達に狙われていたのはこの能力が原因だろう。
「それで、名前姉にお願いがあるんだ。」
「なに…?」
出会いが出会いなだけに、子供のお願いといわれても名前は嫌な予感しかしなかった。
「僕をかくまって!!」
「えええ!?」
「追われてるの?」
「うん…。僕のランキングを悪用しようとする大人たちが僕を捕まえようとしてるんだ。」
「そんな…!」
フゥ太が作るランキングには制限がない。例えばどこぞの大海賊の弱点ランキングや最強の悪魔の実ランキングなど……その情報を駆使すれば簡単に富や名声を得ることができる。裏の世界では有名な話だった。
「で、でも何で私に…?」
助けてあげたいのは山々だが、名前自身にそんな力はない。
自分なんかよりもっと強い人…例えば四皇や海軍を頼った方がいいんじゃないかというのが正直な思いだった。
「だって名前姉は野望のない船長ランキング1位なんだ。」
「え…」
「それに頼まれると断れないランキングでも1位、年下に甘えられると弱いランキングでも上位だから、頼むなら名前姉だなって思ってたんだ!」
(なんか微妙なランキングの上位とってる…!)
助けてもらうにしても少年は相手を選ばなければいけなかった。
そこで自身のランキングを駆使した結果、名前が一番適任だという結論が出たのだ。
上位といっても誇れるようなランキングではないため名前は微妙な心境になった。
「いたぞ!あそこだ!」
「!!」
そんなことを話しているところで新たな追手がやってきた。フゥ太を追っているのはあの2人だけではなかったようだ。
「名前さん、ここは私達に任せて行ってください!」
「イーピン、でも…」
確かにイーピンは強い。しかし今度の相手は5人以上いるし、ナイフを持っている。名前は2人を置いていくのを躊躇った。
「大丈夫です!」
「ま、ままま任せてください名前さん!」
足がガクガク震えているランボを見るととても任せられなかった。12歳の子供が頑張ってるんだ。自分が頑張らなくてどうする…そんな思いで名前は男達を見据えた。
「む、無理だよ名前姉!名前姉は争いごとが嫌いな海賊ランキングでも1位なんだから…!」
「確かに…争いごとは嫌いだけど……大切な仲間が傷つくのはもっと嫌なの。」
「!」
「よく言ったぞ名前。それでこそ船長だ。」
力強い名前の言葉にニヤリと笑ったのはテラスでコーヒーを飲んでいたリボーン。名前との距離はおよそ200メートル…リボーンにとっては十分な距離だった。
「死ぬ気で3人を守る!!」
寸分の狂いもなく名前の額に当たった特殊弾はオレンジ色の死ぬ気の炎を灯した。
そして自分より倍近く大きい男達を次々となぎ倒していく。
「す、すごい…!僕のランキングが…初めて外れた…!!」
その様子をフゥ太はキラキラとした瞳で見つめていた。
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