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33:キッド海賊団来る


グランドラインを目前に、名前達一行は船の整備をすべく入り口手前の島に滞在していた。
整備に関してはリボーンが手配をしてくれている。名前はというと……


「い、いらっしゃいませー!」


喫茶店でウエイトレスをしていた。











「お姉ちゃんこっちのオムライスまだー?」
「しょ、少々お待ちください!えーっと…」


何故こんなことになっているのか……原因は昨日の夜の出来事だった。
獄寺の見積り通り、名前達がこの島に到着したのは昨日の夜。
とりあえずご飯を食べに行くことになりこの喫茶店に入ったのだが、運悪くそこに居合わせた柄の悪い男達と獄寺が言い合いになり、ダイナマイトで店を破損してしまった。その弁償をするために名前がウエイトレスとして働くことになったのだ。
店を壊した当の本人は皿洗いもまともにできなかったため、名前によって出禁にされた。


「大忙しだな!」
「う、うん…」


一緒に借金返済のために厨房に入ってくれたのは山本だった。ランボとイーピンも手伝うと言ってくれたが、酒を扱っているため16歳未満は雇えないんだとか。今頃2人で町を観光しているだろう。
元々ナミモリ町では飲食店で働いてた名前だが、店が違えば色々と勝手も違ってくる。物覚えは良いではないため、あたふたしながらウエイトレスに励んでいた。


「このパスタ、5番テーブルね。」
「はいっ。」


お昼時のこの時間、厨房もフロアも大忙しだ。
次々と出てくる料理達を指定のテーブルへ運んでいく。徐々にテーブル番号も覚え始めてきた。


「5番は……ひいっ…」


パスタを運ぶ先…5番テーブルを見て名前は小さく悲鳴をあげた。
何故ならそこにはものすごく怖そうな2人の男が座っていたからだ。
一人は赤髪を逆立てて眉なしの強面。もう一人なんて鉄仮面で顔面を覆っている。明らかに普通じゃない。


「あれって…」
「もしかして……」


そして名前は赤髪の男に見覚えがあった。リボーンに手配書を見せられて危険人物だとインプットされている……ユースタス・"キャプテン"キッド。海賊だ。
ここ南の海で悪事を重ねているらしい彼はすっかり有名人。周囲の人間もキッドの顔をチラチラ見て青ざめている。


(怖すぎるんですけど…!)


そんな男のテーブルにパスタを運ばなければいけないと思うと名前は足が震えた。
しかし今名前は雇われの身……山本を置いて逃げることはできない。
彼らもここにいる目的は食事をするため…やるべきことをやっていれば問題はないはずだ。
名前は意を決して一歩一歩5番テーブルへ近づいた。


「おっ、お待たせしました。ボンゴレピッ…ビアンコです失礼します。」


ガチガチに緊張した名前は思いっきり噛みながらも今出来る限りのスムーズな動きで任務を遂行した。


(こ、怖かったー…!)


カウンターの内側まで戻ったところで一気に緊張の糸が切れた。
カウンターに手をついて小さく震える足を落ち着かせる。


(それにしても…あの人、どうやってパスタ食べるんだろう…)


落ち着いてきてふと、鉄仮面をつけながらどうやってパスタを食べるのかが気になった名前。
チラリと先ほどのテーブルに目をやって、後悔した。


(ひいいいめっちゃ見てるー!!)


赤髪の男がこちらをガン見していて目が合ってしまったからである。
気づいた瞬間すぐに目はそらしたものの、男の凶悪な表情が瞼に焼き付いて離れない。
何か粗相をしてしまったのだろうか。考えても思い当たる節はない。
男も見ているだけで、手出しをする気配はないように思える。
名前は終始怯えて、視線を合わせないようにしながら仕事に励んだ。







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