26:ハル来る
この島に上陸して早4日目。可愛らしい京子ちゃんやイーピンと出会えたことは嬉しいけど…刻一刻と鬼ごっこ大会の日が近づいてきてしまっている…!
あああやっぱり私がやらなきゃダメなのかなぁ?か、風邪とかひかないかな…。
「へ、ヘルプ!ヘルプミーです〜〜!!」
「?」
うんうん考えながら河川敷を歩いていたら川の方から声が聞こえた。
でも人の姿は見当たらない。その代わりに川をどんぶらこと流れてるのは…大きな桃。
「えええ!?」
「わぷっ…はひぃ〜」
大きな桃はよく見ると被り物らしくて、中心に穴が開いていて女の子の苦しそうな顔が見えた。
もしかして…かなりやばい状況なんじゃ…!?あんな大きな被り物をしてたら見動きがとれないよ!
「ど、どうしよう!?」
川のすぐそばまで駆け下りて狼狽える。
助けなきゃだけど…私は泳げないし…!近くに人もいないし…!桃を被った女の子はどんどん流されていっちゃう…!
「迷ってないで飛び込め。」
「ぎゃふんっ」
川をへっぴり腰で覗いていた私のお尻を蹴ったのはやはりリボーンだった。
川へ落とされた私は桃の女の子と同じようにバタバタと手足を動かすことしかできない。
恨めしくリボーンを見ると、ニヤリと笑って私に銃口を向けていた。
ああ、そろそろ慣れてきてしまっている自分がいることに腹が立つ。
「死ぬ気で助ける!!」
「はひっ!?」
「名前ちゃんはハルの命の恩人です!恩返しさせてください!!」
「そ、そんな大袈裟な…」
私が死ぬ気で助けた女の子はハルちゃんといって、なんだか独特なテンションの子だった。
「でも何で桃を被って川に…?」
「これは鬼ごっこ大会の応援衣装なんです!」
「は、はあ…」
よくわからないけど詳しいことは聞かないでおこう…。
「10代目〜〜!こんなところで何してるんすか?」
「あ、獄寺くん…」
「何スかその女…はっ!どこぞの鉄砲玉スか!?」
「はひっ!?誰ですかこのデンジャラスな人!」
桃の被り物をしたハルちゃんに対してダイナマイトを構える獄寺くん。
あれ、これはやばいかもしれない…
「獄寺くんダメ!!」
「じゅ、10代目……っ!?」
慌ててハルちゃんと獄寺くんの間に入れば獄寺くんは構えたダイナマイトをおろしてくれた。
「10代目…っ、こ、これを…!!」
そして顔を赤くして自分が羽織ってたシャツを差し出してくれた。
「っくしゅん!」
ああ、私がびしょ濡れだから気を利かせてくれたんだ。優しいなあ。
「…そーだ!温泉に行きましょう、名前ちゃん!」
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