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25:出前


「はあ、はあ…」
「逃げきれましたね。」


名前は突然現れた三つ編みの少女のおかげでリボーンの特訓と称した銃撃から逃れることができた。


「あ、ありがとう…助かったよ…」
「いえ、無事でよかったです!怪我はありませんか?」
「うん、おかげさまで…。」


肩で息をする亜未に対して少女は息ひとつきらしていない。一体何者なのだろうか。


「でも何で殺し屋にあなたみたいな人が命を狙われてたんですか?」
「あはは…ほんと何でだろうね…」


本気で心配してくれる少女に対して、あの男は実は知り合いで鬼ごっこの特訓をしてたなんてとても言えなかった名前は笑って誤魔化した。


「それよりそのおかもち…」
「…ああ、出前の帰りだったんです。」
「出前?」
「ラーメン屋でバイトしてるんです。あ、私はイーピンっていいます。」
「あ、私は沢田名前です。」


気になっていたおかもちについて聞いてみると、彼女はラーメン屋でバイトをしていて出前の帰り道で名前に遭遇したのだという。
ラーメン屋でバイトしてるような普通の少女にあんな機敏な動きができるものだろうか。


「名前さんはこの町の人ではないですよね。」
「うん、そうだけど…何でわかったの?」
「私もこの町の者ではないんです。」
「えっ、そうなの?」
「はい。半年くらい前まで、お師匠様と拳法を極める旅をしていました。」
「け、拳法?」


少女はこの歳にして師匠と共に修行の旅をしていたのだという。
拳法を習得してるとなると、先程の身のこなしも納得できる。


「もう旅はしてないの?」
「…半年前、お師匠様は私をこの島に置いて何も言わずに行ってしまいました…。」
「!」


名前が聞くと、イーピンは悲しそうに視線を下に落とした。


「お師匠様は強くて優しくてかっこよくて…私はそんなお師匠様みたいになりたかったのに…」
「…イーピンはその師匠さんのことが大好きなんだね。」
「…はい。」


慕っていたからこそ、置いていかれたことはイーピンにとってとてもショックだった。
自分は足手まといになっていたのだろうか、嫌われてしまったのだろうか。月日を重ねるごとに色々なことを考えた。


「もしかしたら、師匠さんはイーピンに普通の女の子として暮らしてほしかったんじゃないかな?」
「え…」


名前はその師匠がどういう人か見たこともなかったが、なんとなくそんな気がした。
この健気で愛らしい少女とずっと旅をしていたのなら、いきなり嫌いになるはずはない。


「闘うことより、お花が似合う可愛らしい女の子なんだから。」
「…!」


イーピンの乱れた前髪を撫でてふわりと笑った名前に、イーピンは目が離せなくなった。
胸の奥から何か温かいものが込み上げてきて、顔を真っ赤にして名前に抱きついた。


「名前のやつ、男だったらとんでもないタラシ野郎だな。」


そんな2人の様子を面白そうにリボーンが見てたことは知らない。




■■
別に百合のつもりはないんですけど…
イーピンはランボと同じ12歳設定です。爆発はしません。





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