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雲雀と恋人D



「こんにちはー!」


2月14日お昼。
サンタクロースみたいな大きな袋を持って名前さんがやってきた。


「わーい名前だあ!」
「名前チョコレートちょーだーい!」
「うん持ってきたよー。はい、ランボくん。フゥ太もイーピンちゃんも。」
「わ〜ありがとう!」


図々しいランボを始めに、チビ達が名前さんの周りに集まった。やっぱり名前さんは子供に好かれるタイプだ。
名前さんは大きな袋から小さなラッピングを取り出して1つずつチビ達にあげていった。
そう…今日はバレンタインデーだ。
名前さんは日本人の血をくんでいながらも、日本で暮らしたことがなかったからか、こういう行事は誰よりも張り切ってるっていうか…楽しんでる気がする。
まあ、こっちとしては嬉しいんだけど。去年はケーキ貰ったっけな〜。すごく美味しかった。
なぜか必死に謝って渡されたんだけど……あれは結局何だったんだろう。


「綱吉さんも!よかったら受け取ってください。」
「あ、ありがとうございます…。」


優しい名前さんのことだから、オレの分も用意してくれてるとは思ってたけど、オレはわざとらしく驚いてそれを受け取った。
やっぱり嬉しいよなぁ、バレンタインにチョコレートもらえるって。


「隼人とか山本くんとかはまだ来てないんですか?ここにいると思ったんですけど…」
「来てませんよ。」


そんな毎日来てるわけじゃないんだから…。
それに2人ともモテるし、今頃女子に追いかけまわされてるんじゃないかな。


ピンポーン


「こんにちは10代目!」
「お、名前さんもいるのな。」
「こんにちはーツナさん!愛のチョコ、届けに来ましたよー!」
「こんにちは、ツナ君。」


本当に来たーーー!!
しかもハルまで……京子ちゃんも来てくれた〜!また去年みたいにチョコ……くれるのかな…?


「いいところに!はいこれ!」


玄関に並ぶ4人に1こずつ、ポンポンポンポンと手際よく袋を渡していく名前さん。


「お、サンキュー!」
「…ちゃんと食えるんだろーな。」
「食べれるよー!あ、いらないなら無理してもらわなくても…いいんだけど…」
「い、今更返す理由はねーだろ!」
「ハハ、ありがたくいただきます。」


相変わらず獄寺くんは素直じゃないなぁ…。名前さんのことが好きって、見れば誰でもわかるんじゃないかな。
…だけど名前さんはヒバリさんと付き合ってるんだよな…。
最初はそりゃあもう驚いたけど…なんとなく2人の距離が縮んでいくのは、見ててわかった。
でもまさか2人が恋人になるなんて……特に、あのヒバリさんが。
…ディーノさん、今イタリアにいるみたいだけど……これ知ったらビックリするだろうな…。


「ありがとうございます!」
「私たちはケーキ作ってきたの。今からみんなで食べよう?」
「わーありがとう!」


京子ちゃんがホールケーキの箱を持ち上げて言った。今年も京子ちゃんからもらえてオレ幸せだ〜!
…別にみんなと一緒でも全然構わない。だってついこの間までバレンタインなんて行事、どーせオレには関係ないって思ってたし。
そりゃあ……オレだけ特別にもらえたら昇天する勢いだけど…オレはもらえるだけで満足なの!


「可哀想な男だな、ツナ。」
「う、うるさい!ってお前それ…!?」


ふと足元を見ると、名前さんみたいに大きな袋を担いだリボーンがいた。
その袋からは小さなラッピング袋が入りきらないみたいで溢れている。
リボーンがオレの心の声を読んでるのはもう慣れたから何も言わない。


「言っただろ。オレはモテモテなんだ。」


バーンと決めて言うリボーン。赤ん坊なのにバッチリ決まってる。
何でこんな赤ん坊がこんなチョコ貰ってるんだよ…!


「リボーンも貰ってくれる?」
「当たり前だぞ。」


こんないっぱいあるのにまだ貰うのかよ!まあ…リボーン女の人だけには優しいからな…。
リボーンがチョコを受け取ると、名前さんは嬉しそうに笑った。











「おいしい!」


綱吉さんの部屋でハルちゃんと京子ちゃんが作ってくれたケーキを食べています名字名前です!
2人のケーキとてもおいしい!もうお店に並んでるんじゃないかってくらい!
この歳でここまでおいしいケーキを作っちゃう2人が恐ろしいです。かぶんなくてよかった…。
今年は前にみたいに雲雀に全部食べられないように、クッキーとトリュフと生チョコにしました!


「名前さんのもうまいぜ。」
「おいしいですー!何でこんなおいしく作れるんですか!?」
「いえいえそんな…ありがとう。」


2人とも優しいなぁ…。そう言ってもらえるとお世辞でもやっぱ嬉しいです。
これでだいたいみんなに届けられたかな。奈々さんにはさっき台所でお渡ししたし、ディーノとか家光さんは今イタリアだし。
凪ちゃんちには朝渡したから……あとは雲雀だけかな……あ!


「ねぇリボーン、ビアンキは今日来てないの?」
「呼んだ?」
「ふげー!!」


そうだよビアンキにまだ渡してない!
リボーンが答える前にビアンキは部屋の入り口に寄りかかって立っていた。
そして倒れる隼人。何でもビアンキのことを異性として意識しすぎているんだって。可愛いなあ。


「はい、ビアンキにも作ったの!」
「私も名前のために作ったのよ、これ。」
「ありがとー!」
「そしてこっちはリボーンの…v」


わぁー、おいしそうなクッキーだ!早速1つ…


「名前さん食べちゃダメだってーーー!!」
「おいしいですよ?」
「名前には大丈夫だぞ。」


多分綱吉さんはビアンキのポイズンクッキングを心配してくれたんだろうけど、大丈夫ですよ!
ビアンキが仕事以外でポイズンクッキングするわけないじゃないですかー。
やっぱりビアンキは料理上手だな。すごくおいしい!


「あの、じゃあ私はそろそろおいとましますね。」


ふと時計を見たら3時少し前。雲雀にこのくらいに行くって言ってあるからそろそろ行かないと。


「名前、本命を渡しに行くのね。」
「へ!?」


出て行こうとする私に、ビアンキが衝撃の一言。な、何でビアンキが…!?


「顔を見れば恋してるかどうかなんてすぐわかるわ。」
「はひ!そうなんですか!?」
「そうなの名前ちゃん!?」
「え、あの…」


ビアンキの一言にハルちゃんと京子ちゃんもなぜかくいついてきて……あーどうしよう!?


「さあその本命は誰なの?吐きなさい。」


吐きなさいってそんなどこの事情聴取ですかビアンキさん…!


「気になります〜!」
「誰?私たちが知ってる人?」


ハルちゃんと京子ちゃんまで…!女の子はこういう話好きだな…!なんか目が違う!


「こ、この話はまた後でするから…!」


なんだか恥ずかしくなってきて、私はその場を逃げるように出ていった。
ごめんね3人とも…!みんなの…っていうかリボーンの視線が痛くて…!
…リボーンのことだからきっとみんなに喋っちゃうんだろうな。…まあ…それはそれで、いいんだけど………うん。












「名前はヒバリと付き合ってるんだぞ。」


名前さんが出て行ってすぐにリボーンが言った。


「はひ!?ヒバリって…あのデンジャラスな人ですか!?」
「ヒバリさん!?」
「誰それ?」
「ちょ、リボーン!勝手に言っちゃっていいのかよ!」
「だってオレが言わない限りアイツ恥ずかしがって言わねーぞ。」


そ、そうかもしれないけど……やっぱり本人が言うべきなんじゃ…


「名前さんってすげーウブだよな。」
「確かに…。」
「名前ったらカワイイ。」


山本の言うとおり名前さん、恋愛に関してはオレより奥手な気がする。
オレたちにバレたときもすごく恥ずかしがってたし…。
でもあの時、ヒバリさんにキス…してたよな………もしかして名前さん……ツンデレ?


「名前、恋なんてしたことなかっただろーしな。」
「そうなの!?」
「環境が環境だからな。」
「…!」


そうだ。名前さんは小さいときに家族をなくして……悪いマフィアに引き取られたんだった。
そんな環境じゃあ恋なんてできなかっただろうなぁ…。


「まあそん中で対象になれなかったディーノはまだまだってとこだな。」
「……」


あ、そう言えばディーノさんがいた…。












コンコン


今日は別に急いでないからちゃんとノックすることを忘れなかった。…ていうか、少し緊張、してるんだよね…。
だって今年は特別…を、渡すんだから。去年とは心境が全然違うわけですよ。
雲雀の「どうぞ」っていう返事を聞いてから、私はちょっとずつ扉を開けて中に入った。


「!」
「やあ。」


そのとたんに目に入ったのは雲雀……じゃない。それよりも先に私の目に入ったのは、テーブルの上に山積みされた可愛いラッピングの数々…。



「これ…」
「…今日靴箱に入ってたんだよ。」


…てことはこれ全部雲雀が女の子から貰ったんだ…。
すごい数。雲雀ってモテるんだなぁ…。学校ではみんな怖がってるのに。…確かに雲雀、かっこいいもんな。


「…おいでよ。」


テーブルの上をボーっと見たままな私に、雲雀がもうお決まりの仕草で私を呼んだ。
いけないいけない!でもこんなに貰ってるんだったら…私のはいらないかもなぁ…。


「…ヤキモチやいた?」
「な…!?」


ヤ、ヤキモチ…!?っていうのは、つまり、「しっと」と同じ意味で………えええヤキモチ!?や、やいてたのかな…。
確かにそう言われてみれば、ちょっといやだなぁって思っちゃったかもだけど……ってヤなやつだ私…!


「してない…。」
「…そう。」


かなり説得力のない否定だったと我ながら思います。
だけど雲雀はちょっと笑っただけで、特別いじめたりとかはしてきませんでした。
よかったー…けど、この微笑みは絶対わかってる…!


「食べてないから安心しなよ。…食べる気もないしね。」
「…え!?」


ほらやっぱりわかってた…じゃなくて食べないつもりってどーいうこと!?


「名前のだけでいい。」
「!」


な、なんと…!それはとても、嬉しいのですが……


「た、食べなきゃだめだよ。」
「?」
「みんな、雲雀のためにがんばって作ったんだから…」


雲雀に食べてもらいたくて作ったのに、食べてもらえないなんて可哀想だよ…。私だったらすごくいやだもん。


「…わかったよ。」


私の目をしばらく見た後、雲雀は観念したという感じに言った。よかったー。


「でも1番最初は名前のだよ。」
「!」


もう…!何で雲雀はそう、私がキュンてすることばっか言ってくるかな!嬉しいじゃないですか…!


「え、えっと…これ…」
「うん、ありがとう。」


私はソファからいったん立って、改まって雲雀にチョコを渡した。
そして雲雀がそれを受け取ってくれたあとすぐにまた座りなおす。
う、受け取ってくれた。なんか、まともに雲雀の顔見れない。


シュル…


うつむいているとラッピングのリボンを解く音…


「今食べるの!?」
「うん。当たり前だよ。」


いや…そりゃあ、雲雀が受け取った時点でそれは雲雀のものになってるからいいんだけど…!目の前で食べられたら恥ずかしいよ!


「名前。」


口に合わなかったらどうしよう!?なんて心の中で頭を抱えていたら、袋の中身をじっと見ていた雲雀に名前を呼ばれた。
な、何だろ…もしかしてチョコ嫌いとか!?


「食べさせて。」
「…はい?」


と思ったら、雲雀の口から予想外のお言葉が…!今…食べさせて…って、言った…!?


「まずはトリュフにしようかな。」
「ちょ、ま…ええ!?」


私まだ了承してません…!
雲雀はあたしに有無を言わせずに、トリュフの入った袋を渡してきた。思わず受け取っちゃったけど……えええ本当にやるの!?
この前のデートのときの「あーん」でさえものすごく恥ずかしかったのに…!
しかも今回スプーンとかフォークとかおはしとか…ないじゃん!つまり、す、素手で…!?


「ん。」


雲雀口開けて待ってるーーー!!
ちょ、本当無理だってば!……って、言いたいのに、雲雀がじーっと私の目を見るから…言えないじゃないですか…。


「1こだけだからね?」
「…うん。」


雲雀に見つめられると弱いんだよなぁ…。
私は観念して、受け取った袋から1つ、トリュフを指で拾った。
それから雲雀の方を見てみると、やっぱり雲雀はこっちを見ていて、口を開けていた。
あの中に入れるだけ……あの中に入れるだけ…!


「……」


雲雀の口に触れないように、人差し指で押し込むように、慎重に入れた。う、うまくできた…!
トリュフが丸々全部入ると、雲雀はモグモグ口を動かして、それから私の手をとって……え?


「!?」


ちょっと待っておかしいよ雲雀何してるの!?
これ私の指…で、食べ物じゃないよ!なめるものじゃないよ!
く、くすぐったい…!なんか…なめ方が……恥ずかしい…!


「…おいしい。」
「へっ…あ、ありがとう…」


私の指から口を離した雲雀が普通にそう言うから、私は何て言ったらいいかわかんなくてとりあえずお礼を言った。
……心臓が死ぬんじゃないかってくらいバクバクしてる…!
何で雲雀はそんな涼しい顔してられるの!?あんな恥ずかしいことしたのに…!私のこの手はどこにやればいいんでしょうか!?


「…名前。」
「え…!?」


なんて思ってたらその手をまた雲雀に掴まれて、またなめられるんじゃないかなってビクってしちゃったけど、なめられはしなかった。
今度は体も引き寄せられて、キス……した。


「ん…」


だけどいつものキスとは違って、深くて恥ずかしいキス…。付き合ってからは初めてだ。
前にされたときは怖くて泣いちゃったっけ…。い、今は怖くないよ!怖くないんだけど……な、長くない、ですか…?
しかも、なんか背中がぞくぞくして……変な感じ…力が入らないよ…。
頭がこんがらがってきて、とりあえずわかるのはチョコの甘い味がするってことだけだった。


「ふぁ…」


あと少しで思考回路が止まる…ってところで、雲雀の唇が離れた。
へ、変な声出た恥ずかしい…!


「ごちそうさま。」


おそるおそる見上げた雲雀は笑顔でそんなことを言うものだから、私は雲雀の肩に顔を隠して、「ばか」って呟いた。


「…じゃあもう1こ。」
「い、1こだけって言ったじゃん!」









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