RE! | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



雲雀と恋人C



「あああどうしよう…!」


私と雲雀が付き合い始めて4日目。今日は学校もお休みということで、初めてのその…デート、です。
あ、付き合う前も2人で出かけたことはあったんだけど、やっぱり付き合ってるってなると心境が全然違うのです。
どうしよう……服、これじゃあ変かな……


「…い、いっか…」


ミードーリータナービクー♪


「!」


やっと落ち着いたところで雲雀からの着信…………ああああもう10時じゃん!!














「おっ、おまたせ…!」


服装以外何の準備もしていなかったから財布とかポーチとかその他もろもろを適当にバッグに詰め込んで、5分で下におりてきました!過去最高記録かもしれない。
髪巻こうと思ってたのにできなかったな。また今度にしよう、うん。
それはいいとして……雲雀の私服って初めて見た。前はなぜか学ランだったんもんなぁ。
なんか新鮮……そしてかっこいい…………じゃなくて!!


「バイク!?」


何でバイクなの!?ヘルメット被ってないけど!
前から気にはなってたけど、免許はちゃんと持ってるよね!?


「どこ行くか決まってないし、一応だよ。」
「そ、そっか…」


それなら…いいけど……


「で、どこ行きたいの?」
「んーと…」


そうそう、昨日は結局行きたいところ決められなかったんだよね。
だって遊園地とか人ごみがすごいところは雲雀嫌いだろうし……だからって人ごみはまず避けられないだろうし…。
そしてヘルメット被らずに運転させないためにも近場なところ……


「黒曜の商店街…」
「…そんなところでいいの?」
「うん!隣町だからバスで行こうよ。」
「…バイク停めさせて。」
「あ、こっち。」


もうデートとかそういうのは置いといて、純粋に楽しめそうなのはお買い物。
「そんなところ」って言うけど、黒曜の商店街って並盛のよりも大きいって奈々さんが言ってたんだよ!
一度行ってみたかったんだよなぁ。


「…本当にいい?」
「名前が行きたいならどこでもいいよ。」
「!」


また雲雀はサラリと恥ずかしいことを…!
言ってから気づいたんだけど、商店街も遊園地よりは劣るにしてもけっこうな人が集まる場所だよね…。
それなのに雲雀ってば……嬉しすぎる!


「えへへ……バスの駅ってどこにあるの?」
「…バス、乗ったことないの?」
「……はい。」


あ、ため息つかれた。そ、そりゃそっか…自分から言い出しといて乗り方知らないとか……恥ずかしいな自分…!
この歳でバスに乗れないってけっこう深刻なのかも…。よし、今日で覚えよう!












パーンッ


「わぁ…」


バスの乗り方もちゃんと覚えて、黒曜商店街にやってきました!
そしたらラッキーなことに、今日はイベントがあるみたいで!花火が打ち上げられたり鐘の音が聞こえたり……とにかく賑やかです!楽しそうです!


「……」


あ!だけど雲雀はこういうの嫌いなんだっけ…!


「雲雀、やっぱやめる…?」
「…やめないよ。どこ行くの?」


本当にいいのかな…すごい嫌そうなんだけど……


「行くよ。」


私が気を遣ってるのがわかったのか、雲雀は私より先に商店街に突き進んでしまった。
一瞬あっけにとられたけど、私も小走りで雲雀に追いついて隣を歩く。
…なんか嬉しいなぁ。


「服屋さん行っていい?」
「うん。」













「はぁー…ちょっと休憩しよっか!」


買い物袋を雲雀と私が1つずつ。
両方とも私のなのに、雲雀が「持ってあげる」って言って半ば強制的に取られちゃいました…。
服だからそんなに重くはないと思うけど、やっぱり悪いじゃないですか。もう1つの方は死守しました!
もう商店街をまわって2時間くらいたったのかな。ちょっと疲れてきたから喫茶店で休憩をとることにした。


ドン


「あっ、すいません…」
「いってェーなァ……ひぃッ!?し、失礼しましたーー!!」
「…?」


喫茶店の方に向きを変えたら人とぶつかってしまった!
その人は若い男の人で、最初は怒ってたのに私のうしろを見たとたん、顔を青ざめて走って行っちゃった…。
私の後ろって……


「雲雀!ちょ、トンファーしまって!」
「……」


よろけた私を片手で支えてくれて、もう片方の手にはトンファーを握っている雲雀。
支えてくれたのはすごく嬉しいけど、こんなところでトンファーはダメだよ!


「周り見てなかった私が悪いんだから!ね!?」
「……行こう。」


必死に雲雀をなだめたけど、雲雀は眉間に皺を寄せたまま。
でもトンファーは下ろしてくれて、騒動が起きる心配はなくなりました。よかった…。


「雲雀どれ頼む?」
「…コーヒー。」
「食べ物はいいの?」
「いい。」


そっか、雲雀はいらないかー。私は……何か食べたいなぁ…。
支度に必死でお昼はドーナツだけだったから小腹が空いちゃって……


「…パフェ食べていいかな…?」
「わざわざ聞く必要ないと思うけど。」
「なんか私だけ食べちゃ悪いと思って…」
「…変だね。」
「普通だよ。」


きっとおそらく!誰だって自分だけ食べてたら気が引けるよ。
でもまあ、雲雀は気にしないそうなので…ここは遠慮せずいただきます!途中でお腹鳴ったら恥ずかしいもん。


「雲雀にもちょっとあげるね。」
「…うん。」


あれ、てっきり「いらないよ」って言われると思ったのに…予想外。
これはこれで嬉しいんだけどね!













「お待たせいたしました。チョコレートパフェです。」
「あ、ありがとうございます。」


コーヒーとパフェだけだったから10分もしないうちにウエイトレスさんが運んできてくれました。
パフェって言っても普通のより半分の小さいサイズだからね!そんなドーンといってませんから!!


「雲雀どこ食べたい?」
「…アイス。」
「いいよー。」


アイスってまた雲雀が言うと可愛いなぁ!
えーとスプーンは……あれ?もしかしてスプーン1こしかない!?
ど、どうしようウエイトレスさんにもう1こ貰おうかな……


「名前。」
「!」


ウエイトレスさんを探してキョロキョロしてたら、雲雀に名前を呼ばれた。
見てみると雲雀は両腕をテーブルの上に組んで小さく口を開けていて……こ、これはもしかして………「あーん」っていうアレですか…!?
雲雀さん、心なしか笑顔な気がします…!


「早くちょうだいよ。」


その雲雀の一言にどうしようもなくキュンとしてしまう私はそろそろやばいのでしょーか…。
私はまだ使ってないスプーンでチョコレートアイスを一すくい。それから雲雀の口にスプーンを近づけていく。…思ったよりも遠い。


「!」
「……うん、まぁまぁだね。」


…なんて思ってるうちにスプーンは雲雀の口の中に到達していた。
わーわー本当にやっちゃったよ、「あーん」!!恥ずかしいけど……なんか幸せだな!


「……」


あれ…ちょっと待って。スプーン1こしかない状況で雲雀にあーんしたってことは……私もこの、雲雀が使ったスプーンを使わなきゃいけないわけで…
つまりそれは……間接キス………っていうやつで……


「……」


雲雀はわかってるのかなぁって、チラっと見てみたら目があって、ニコって笑った。……わかってる…!絶対わかってる!
でも、嫌そうな顔はしてないよね…?使っちゃっていいんだよね…!?


「早く食べないと溶けるよ。」


そう言って雲雀はコーヒーのカップを持ったから私は今だ!って思って、雲雀がコーヒーを飲んでるうちに一口チョコレートケーキの部分を口に入れた。
間接キス……しちゃった…。
一口食べたあと、なんだか雲雀と目を合わせにくくて、私は誤魔化すようにもう一口、もう一口とスプーンを動かし続けた。















「本当にアレが並盛最強のヒバリってやつなのか…?」
「そ、そうっす!間違いありません!」


そんな様子をガラスの外から見ている者が2人。
1人は先ほどみそらとぶつかった青年で、もう1人はガタイのいい大きな男だ。
よく見れば2人とも黒曜中の制服を着ている。


「彼女とあんなイチャイチャしてるようなヤツに負ける気はしねーぜ。」
「羨ましいっすね。」
「そうじゃねェ!!」
「すっげー可愛くないっすか?」
「まあ…確かにキレイだな…。」
「ヒバリのヤツボコボコにしてあの彼女とっちゃいましょーよ!」
「…なるほど、そりゃいーな。」















「美味しかったー!次どこ行こうか!っていうか雲雀は行きたいお店ないの?」
「うん。」


うんってそんなはっきりと…。っていうことは雲雀退屈なんじゃないかなぁ…。なんか悪いよ、私ばっか…


「…名前と一緒ならどこでもよかったんだよ。」
「!」


ひ、雲雀さん、なんて恥ずかしいことを笑顔で…!そんなこと言われたら私……あーもう恥ずかしいよ!!


「ちょっと止まりなァ。」
「…?」


もしかしてまた通行の邪魔になってた!?って思って前を見たら、体の大きな人がドーンと立っていて、その人をとりまくように周りにたくさんの人がいた。
みんな凪ちゃんちと同じ制服を着てるってことは…黒曜生なのかな。
…あ!あの人さっき私がぶつかっちゃった人だ!もしかして根に持ってたのかな…!?つまり仕返しにいらっしゃった!?


「ヒバリ、お前並盛最強なんだってな。オレと勝負しよーぜェ!」
「……」


ってあれ、雲雀目当てですか!?
雲雀の名声は隣町にも行き届いてるみたいで…。けんかしかけられてるよ!だめだからね、こんなところでけんかなんて…!
そう訴えるように雲雀を見たのに、雲雀はまっすぐと相手の人を見てて私の視線には気づいてくれなかった。
この雰囲気……やる気満々…?


「オレは八木沼。黒曜最強の男だ。」
「…ふぅん。」
「オレが勝ったら並盛最強の名と……そこにいる女をもらう!」
「……」
「…へ?」


そこにいる女ってどこにいるのかなーなんて思ってたら、八木沼って名乗った人の太い指は一直線に私を指していて……え、私!?


「……」


ってあああ雲雀もうトンファー構えてる!しかもトゲまで出てるバージョンだよ!これはやばいよ!


「ちょっと雲雀落ち着いて…」
「名前は下がってなよ。」


精一杯止めようとはしたんです。でも、だめだったんです。
雲雀はゆっくりと八木沼さんたちの方に歩いていってしまった。こうなった雲雀は誰にも止められないと思う。
だってディーノでも止められなかったんだよ?私にはとても……って、だからってこんなところで乱闘はいけません!


「フン、武器に頼るとは並盛最強もたかが知れてるな…さあこい!」
「……」


あああ始まっちゃうー!


「…へ!?オレ!?」


…って思ったら、雲雀は八木沼さんの横を普通に通り過ぎて……


「わざわざ咬み殺されに来てくれて、探す手間が省けたよ。」
「ひぃッ…!?」


ちょうどさっき私がぶつかっちゃった人の前で止まった。


バキッ


「ぐへー!」


そして容赦なくトンファーを…ああ、やってしまった…!


「な…テメーの相手はオレだー!」
「もちろんここにいる全員咬み殺すよ。」


八木沼さんが怒って雲雀に向かっていく。けど……


バキッ


「ぐぁ!?」


やっぱり雲雀のトンファーにあっけなく倒されてしまった。雲雀は本当に容赦ないと思う。


「次は誰だい?」
「「「「「ひぃ…!」」」」」


雲雀がどこか楽しそうにそう言うと、残りの人たちは小さく悲鳴をあげて一斉に一歩引いた。
そのまま逃げるのがいいよ!みんながんばって!


「クソ…!」
「……」


なんて敵?の応援なんかしてたら、倒れていた八木沼さんがヨロヨロと立ち上がって私の方を見た。
そしてニヤリと笑って懐から刃物を取り出した。


「彼女のガードがなってないぜヒバリ!」
「……」


それを持って私の方に走ってくる八木沼さん。
なるほど、ヒバリに勝てないから私を人質にとろうってわけだな。そういうのってすごく…むかつくなぁ。


シュッ

パリーン


「な…!?」
「子供がナイフなんて振り回しちゃだめだよ。」
「…名前はそんな弱い人間じゃない。」


私が針を撃ってナイフを砕いたのを見て、雲雀はふっと笑ってくれた。雲雀にそう言われると嬉しいな。
一般人に銃を抜くのはちょっと気が引けたけど、これが一番穏便に済みそうだったから。


「ひぃ…ッに、逃げろー!!」


リーダーの八木沼さんを筆頭に、総勢20人くらいの人たちが一目散に逃げていった。そのスピードはなかなかのものだと思う。


「雲雀…」
「…わかってるよ。」


雲雀は追いかけるんじゃないかなって思って、雲雀の服のすそを握ったけど雲雀はそんな気はなかったみたい。えらいえらい!


「なんか…騒々しかったね。」
「……まぁいいんじゃない。」
「…うん!」


こうして私たちの初デートは無事終わりました。







next≫≫
≪≪prev