RE! | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



115


「綱吉さん、いましたか?」
「全然………どこに行っちゃったんだろ…。」


翌日。名前とツナは一向に姿を現さないリボーンを探して並盛町を走り回っていた。
流石に一日経っても戻ってこないとなると、気楽に考えていたツナも不安になってくる。
実際これだけ探しても見つからないのだ。もしかしたらよからぬ事が起きてるのかもしれない。
あの最強の赤ん坊に限ってそんなことはないだろうが…それでも最悪の事態を考えてしまう。それは名前も同じのようだ。


「私は学校を探してきますね!」
「じゃ、じゃあ俺は商店街に行ってみます!」













「リボーン……」


道を歩きながら無意識に呟いた名前の声は震えていた。
リボーンの強さは十分承知だが、それでも心配なものは心配だ。学校をくまなく探しても彼の姿は見つけられなかった。
本当にどこへ行ってしまったんだろうか。そろそろ並盛中を探しつくしてしまった。
それでもいないということは、やはり10年後の世界から帰ってきていないのだろう。
しかしだとしたら何故10年後のリボーンがこっちに来なかったのか……そこまでいって、名前は考えるのをやめた。


「あ!名前さーん!」
「…ハルちゃん!」


ふと名前を呼ばれて振り返ってみると、ハルが小走りでやってきた。
名前のところまで来ると、少し息を切らして不安そうに名前を見つめた。


「ツナさん、見ませんでした?」
「え……」
「実はリボーンちゃんがいなくなっちゃったみたいで、ツナさんと獄寺さんと3人で手分けして探してたんです。探し終わったらツナさんの家に集合だったんですけど、1時間経っても2人とも来なくて……」


ハルの言葉を聞いて、名前の中の胸騒ぎがだんだんと大きくなっていった。


「2人が探しに行った公園や学校にも、ツナさんの家にもいないんです!!」
「!!」


そう言ったハルの目には涙がたまっていた。
何かが起こっている……それだけは間違いないようだ。
せっかくリング争奪戦が終わってまた平和な日常が戻ってくると思っていた。その矢先に…。
名前はぐっと手に力を入れた。


「大丈夫だよ、ハルちゃん。もうちょっと探してみよう?きっとすぐ見つかるよ!」
「………はい!」


リボーンがいない今、大人である自分がしっかりしなくては。ハルを不安にさせてはいけない。
そしてなんとしてもこの事件の真相を突き止めなくてはならない。













「お邪魔しまーす。」
「!」
「名前さん!」


並盛町を隈なく探し回ったあと、名前は隣町にまで来ていた。
もちろんリボーンたちを探してだが、急に犬や千種、そして凪のことが心配になったらしい。
もし3人の失踪が誰かの故意によって起こったことなら、敵が狙っているのはボンゴレ関係者…。だとすると凪たちも例外ではない。
黒曜ヘルシーランドを訪れてみると、ゲームをしている犬、本を読んでいる千種、隅っこで体育座りをしている凪がそれぞれ迎えてくれた。
3人の姿を確認して名前はほっと胸をなでおろした。


「…どうかしたんですか?」


普段あまり口を開かない千種が聞いてきた。どうやら自分で思ってたより焦りが顔に出てしまっていたらしい。犬と凪も千種同様、心配そうな視線を向けていた。


「大丈夫。みんなが無事なら、それで。」
「…何かあったんですね。」
「俺らも協力するびょん!」
「私も……。」


名前が何も言わなくても、3人がそれぞれ名前のために何かしようとしてくれる。それがどうしようもなく嬉しかった。


「実はリボーンと綱吉さんと隼人がいなくなっちゃって……こっちには来てないよね?」


以前までの名前なら3人を巻き込むまいと「大丈夫だから」と言っただろう。
だが今は違う。日本に来てから、名前は頼れる人…弱みを見せられる人がいるということが、どんなに素晴らしいことかを知ったのだ。


「いえ…。」
「来るわけねーびょん!」
「……」


聞かれたのが自分たちの大嫌いなマフィアのことでも、千種も犬もちゃんと質問に答えてくれる。
それほど彼らの中で名前の存在は大きい。凪も小さく首を横に振った。それを見て名前は「そっか」と呟いて、俯いた。
隣町にまで来ても見つからないということは……こっちの世界にはいないと考えた方が良さそうだ。


「……名前さん…?」


千種の声にハッとした。考え込んでしまっていたようだ。3人が名前を心配そうに見つめていた。
しっかりしなきゃいけないというのに、自分でも驚く程に余裕がなくなっているのに気付く。
正体はわからないが、今まで感じたことのない胸騒ぎが止まらないのだ。


「まだよくわからないんだけど……みんなも気をつけて。何かが…起こってるの。」


真剣に頷く3人を見て、名前は口元を緩ませた。ここに来ていくらか心が落ち着いた気がする。
久しぶりに3人の顔を見れて安心したのかもしれない。名前にとっても犬や千種、凪は大きな存在なのだ。…もちろん、骸も。


「…ところで3人とも、ご飯は食べた?」
「「「……」」」


揃って視線を逸らす3人。名前は視界の端にスナック菓子の残骸をとらえた。







next≫≫
≪≪prev