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「あの人…ずっと骸様が話しかけてた…」


ヴァリアーの人たちが吹っ飛んだと思ったら、ズシンと大きな鉄球が地面にめり込んだ。


「取り違えるなよ、ボンゴレ。オレはおまえを助けにきたのではない。」













「ランチア…あのランチアがなぜ…」
「あいつ何者?」


どうやら骸くんが「来る」って言ってた人はランチアさんだったみたいです。
ランチアさんとは黒曜ランドでちょっと話しただけだけど、すぐいい人だって思った。綱吉さんみたいな、優しい感じがするんだよなぁ。
それにしてもランチアさん……何十人もの幹部クラスのヴァリアーを壊滅させちゃうなんて……すごい人だ…!
ランチアさんが来たことで一気にボンゴレが優勢になった。


「ししし、そーきたか……そんじゃあ…とっとと済まそっと♪」
「!!」


キキキンッ


「おっと。そーはいかねーぜ。」
「大丈夫ですか?綱吉さん。」
「山本!名前さん!」


ベルが綱吉さんに向かって投げたナイフを、山本くんの刀と私の銃で弾き返して、


「ムム…こうなってくると……ムギャ!」
「逃がさない。」


凪ちゃんがマーモンくんに幻術をしかけて、


「ねえ、決着つけようよ。」
「いかせんぞ。」


雲雀と了平くんがベルの前に立ちふさがって、


「10代目!おケガは!」
「ありがとう…大丈夫。」


隼人がちゃっかり綱吉さんの側にかけよって、本当に形勢逆転!
動けないザンザスと、ベルとマーモンだけじゃあこの状態はもうどうしようもない。


「ダメだこりゃ。」
「ウム……。ボス…ここまでのようだ…。」
「………役立たずのカス共が…。くそ!ちくしょう!てめーら全員!!!呪い殺してやる!!!」


……それなのに、まだザンザスは諦めようとしなかった。
私には何でそこまでボスの座に執着するかがわからない。
富や名声を欲しがるっていうのはよく聞くけど……ザンザスにはスクアーロやベルみたいに、私達が綱吉さんを慕うようについてきてくれる部下がいるのに……それ以上何を望むって言うんだろう。
それに……9代目もきっと、ザンザスのことを本当の子供のように愛していたはず。それがわからないザンザスは………可哀想。


「お疲れ様でした。それではリング争奪戦を終了し、全ての結果を発表します。」


チェルベッロさんがザンザスに近づくと、ようやく気力が尽きたみたいで、ザンザスはゆっくりと目を閉じた。


「XANXUS様の失格により、大空戦の勝者は沢田綱吉氏。よって、ボンゴレの次期後継者となるのは、沢田綱吉氏とその守護者7名です。」


今までの戦いがウソだったかのように静かなグラウンドに、チェルベッロさんの声が伝わった。
……これで、終わったんだ…。


「……みんな……」
「!」
「10代目!」
「ツナ!」


綱吉さんはポケットから何か出したと思うとすぐに、糸がほどけたように地面にうつ伏してしまった。
いくら将来ボンゴレ10代目になると言っても綱吉さんはまだ14歳…。
9代目と同じように優しい綱吉さんは、今回の戦い……辛かったに決まってる。
それでも私たちを守るために、戦ってくれたんだ。
………やっぱり10代目は綱吉さんの他に考えられないね!


「よいしょ……」
「ちょっと待て名前何する気だ!」
「何って……綱吉さんをお家に運ぼうと……」
「お前じゃムリだ!オレが運ぶ!」
「ダメだよ!隼人はケガしてるんだから!」
「こんくらい大丈夫だっつってんだろ!」


私はただ綱吉さんを一刻も早く温かい布団に連れてってあげようと…。
隼人ってばケガしてる時まで「右腕」を張り合わなくていいのに。ていうかそもそも私は「右腕」は狙ってないんだけどなあ。


「獄寺は名前さんを心配してんだろ?」
「んなっ、何言ってやがる野球バカ!!」
「失礼な!私そこそこ筋肉あるんだからね!」
「ほっそい腕してるくせに威張るんじゃねー!」
「まーまー。間をとってオレが運ぶってことで。」
「ディーノ!」
「情けないヤツめ。」


私と隼人の間からヒョイと綱吉さんを持ち上げたのはディーノ。隣にはリボーンも。
どうやら赤外線センサーが無事解除されたみたい。バジルもコロネロも犬ちゃんちーくんも無事だ。


「だ、大丈夫ですか名前!?頬に傷が…!」
「大丈夫だよー。」


バジルが私の頬を見て慌てる。
そんな、これはベルのナイフがかすっただけで全然たいしたことないのに。バジルは昔から心配性だよ。
私なんかより他のみんなの方が重症なんだから!


「リボーン、医療班は…」
「…必要ないだろ。」
「えええ!?だって隼人とか山本くんとか…」
「だから大丈夫だっつってんだろ!!」
「ハハハ、名前さんは心配性なのな。」


心配性じゃなくても心配するような傷つくってるくせに!何で2人とも平気って言うんだろう。私は見てて平気じゃないのに。


「! 雲雀は?大丈夫?」
「……これで間に合ってるよ。」


そーいえば雲雀も重症だったって思い出して聞いてみたら、右腕を少し上げて間に合ってるって………あ、それ私が巻いたハンカチ………って、そんなのじゃ全然間に合ってないよ!?
そんなの応急処置程度でっていうか止血程度にしかなってないし!
ちゃんとした手当てを受けるように言う前に、雲雀は「じゃあね」って言って行ってしまった。
………まったく隼人といい山本くんといい雲雀といい……もうちょっと負傷者らしくしたらどうなの!


「名前。」
「!」


リボーンに呼ばれて振り返ると、何かが飛んできて私は反射的にそれを受け止めた。
リボーンが私に向かって投げたのは……風のリング。


「お前のリングだぞ。」
「………うん。」


私にしか扱えないリング……。
これを家光さんから受け取ったときは綱吉さんを近くからサポートできるって、本当に嬉しかったけど……お兄ちゃんから真実を聞いた今は、すごく重く感じる。
別にいやになったわけじゃないけど……私に任されたこと、ちゃんとこなさなくちゃ。


「それからコレは雲雀のリングな。」
「え?何で私が…」
「しょーがねーだろ。アイツもう帰っちまったんだ。」
「……まあ、いいけど…。」





■■
リング編ひと段落。




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