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「綱吉さん!!」
「10代目!」
「どいつもこいつも新ボス誕生のために立会いごくろーさん。」


名前たちがグラウンドの中央についた時、今まさにベルがザンザスの指に大空のリングをはめようとしているところだった。


「受け継がれしボンゴレの至宝よ、若きブラッド・オブ・ボンゴレに大いなる力を!」


マーモンが7つの守護者のリングをチェーンにはめたのと同時に、ベルがザンザスの指に大空のリングを通した。
ザンザスの指に大空のリングがはまった瞬間、眩しい程の光がリングから発せられ、それに共鳴するかのように残り7つのリングも光りだした。
その7つの光は全て大空のリングに集まり、更に光を生む。


「これがボンゴレ後継者の証!!ついに!!ついに叶ったぞ!!これでもオレはボンゴレの10代目に………がっ!!」
「「「「「!!」」」」」


どんどん光が強くなっていくなか、突然ザンザスが血をふいて倒れた。


「リングが…XANXUSの……血を…、拒んだんだ……。」


騒然とするなか、ツナが呟いた。


「……そうだ。オレと老いぼれは、血なんて繋がっちゃいねぇ!!」


ザンザスの一言に周りはみんなして言葉を失った。もちろん、私も。
だって9代目とザンザスの血が繋がってないなんて……だったら何で……


『おまえの裏切られた悔しさと恨みが…オレにはわかる…。』
「! スクアーロ!!」


スピーカー越しに聞こえたのはスクアーロの声。
ディーノがつれてきたのかな。よかった……意識が回復したんだ。


『おまえは下町で生まれ、生まれながらに炎を宿していた…』


スクアーロはザンザスの罵声をあびて少し間を置いてから語りだした。ザンザスのことについて。

ザンザスが生まれたのは下町で全然ボンゴレとは関係なかったけど、生まれながらに死ぬ気の炎を宿していたらしい。
それを見た9代目がザンザスを息子としてひきとって、ザンザスも9代目の言葉を信じていた。
だけど数年たってから自分にボンゴレの血が流れていないこと、ボンゴレの血がなければ後継者として認められないことを知って……それから、「揺りかご」の事件に伝わるっていうわけか…。

でも、9代目が血のつながりがないのに関わらずザンザスを息子としてひきとったっていうことは…


「9代目が………裏切られてもおまえを殺さなかったのは…最後までおまえを受け入れようとしてたからじゃないのか………?」


後継者とか、そういうもの以前にザンザスのことを……


「9代目は血も掟も関係なく、誰よりおまえを認めていたはずだよ。」
「9代目はきっと、あなたのことを本当の子供のように…!」
「っるせぇ!!」
「!」
「気色の悪い無償の愛など!!クソの役にも立つか!!オレが欲しいのはボスの座だけだ!!」


私の言葉を遮ってザンザスが口調を荒くした。
すごく殺気だった声だった。……けど、怖いとは思わなかった。むしろ…可哀想だと思った。
9代目はちゃんとザンザスのことを本当の子供のように愛してくれたのに……その温かさがわからないザンザスは、可哀想。
私は9代目の優しい目がすごく好き。陰から見てる私に手招きをして、よくお話をしてくれた。


「XANXUS様!あなたにリングが適正か協議する必要があります。」
「だ……だまれ!!叶わねーなら道連れだ!!どいつもぶっ殺してやる!!」
「XANXUS様!!」
「大さんせーだ。ボスやろーぜ。」
「当初の予定通りだよ。」


ここまできてザンザスはまだ諦めてない…。
なんで……どうして、そこまでボスの座に執着するか……私にはわからない。
とりあえず今やることは1つ。


「やらせるかよ!」


ザンザスを止めること。早く終わらせて、またいつもの生活に戻るために。


「どいつも死に損ないじゃん。おっ、あっちにも…」
「! 雲雀!」


雲雀休んでるんじゃ……歩くのも辛そう……大丈夫かな…。
って、よく考えてみれば雲雀だけじゃなくて山本くんも隼人も大怪我してるし、凪ちゃんは解毒したばっかだし……みんなボロボロだ。
ここは私が頑張らないと…!


「ししし、こりゃ1000%間違いなし。お前ら死んだわ。」
「てめー見えてねーのか?2対6だ!!分がわりーのはそっちだぜ?」
「2対6?何の事だい?君達の相手はこの何十倍もの戦力だ。」
「「「「「!?」」」」」
「総勢50名の生えぬきのヴァリアー隊が、まもなくここに到着するのさ。」
「な…!」


っていうことは、リング争奪戦の結果とは関係なしに……ザンザスは最初からこちら側を壊滅させる準備をしてたのね…。


「お…お待ち下さい!対戦中の外部からの干渉は認めるわけには…」
「知らねーよ。」
「かっ…」
「「「「「!!」」」」」


ベルに忠告するために近づいたチェルベッロさんが、ベルのナイフによって地面に倒れてしまった。
切られたのは腹部と…首。流石は暗殺部隊……やり方はやっぱりプロだ。


「そっちがそのつもりならオレ達がツナ側で応戦するぜ。ここから出せコラ!」
「この場合文句はないはずだ。」
「拙者も戦います!!」


怪我したみんなと私だけじゃあ、ヴァリアーの部隊には敵わないかもしれないけど……コロネロやディーノが戦ってくれたら勝算は十分ある!
あっちはもう人を一人殺してる…。もうルールとか関係なしに、ヴァリアーの行動を止めないといけない。
もう一人のチェルベッロさんはベルから離れて、観覧席の赤外線を解除するボタンを押した。


「いくぜコラ!!」
「まて。………解除されてねーぞ。」
「甘いよ。細工しておいたのさ。あいつらはまとめてオリの中で消す予定だからね。」
「「「「!!」」」」


最初からこちら側の壊滅を企んでいたなら当たり前のことか…。
中から攻撃したら爆発しちゃうみたいだし……こうなったら私達だけで頑張るしかないね。


「!」
「……凪ちゃん、どうしたの?」


凪ちゃんが耳元を抑える仕草で固まった。
こういうときは………そう、骸くんが凪ちゃんに話しかけてるときだ。


「え……誰か…来る…?」
「誰か…?」
「おい!」
「あれは!」


誰が…来るんだろうって思ったら、校舎前に3人の人が現れた。
真っ黒の服を見る限り、ヴァリアー側の人間だっていうことは明らかだ。
でも骸くんが「来る」って言ってるのは多分別の人……


「報告します。我々以外のヴァリアー隊全滅!!!」
「「「「「!!」」」」」
「奴は強すぎます!!鬼神のごとき男がまもなく…!!!」
「暴蛇烈覇!!!」







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