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106


獄寺の手から3つのリングが零れ落ち、それをベルが取りにいった時、3つのリングとベルの足元に一本ずつ針が刺さった。


「動かないで。」
「ムム、幻覚を抜けたのか。」
「ししし、面白くなってきた。」













「イタリアの続きしよーよ、名前。」
「……それしか方法がないなら。」
「決まり。」
「!」


名前が銃を向けているのにも関わらず、ベルはナイフを構えだした。
名前が自分に撃たないという自信があるのか…いや、撃たせない自信があったのだ。
ベルはそのナイフを幻覚にもがいている獄寺と山本の方に向けた。


「なッ…」
「ウソだよ。」
「――ッ!?」


怯んで2人を助ける思考を巡らせた名前の隙をついて、名前の背後からナイフが飛んできた。
既にワイヤーの仕掛けがしてあったようだ。
名前はなんとか致命傷はさけたものの、頬にはくっきりと赤い筋が走っていた。


「うしし、名前の血うまそー。」
「!」


名前が体勢を立て直す暇も与えずに、ベルはナイフを手に名前に向かってきた。
しかし流石ボンゴレのスパイを長くやってるだけのことはあって、名前はきつい体勢から正確にベルの足を狙って針を撃つ。
ブーツに防がれて致命傷にはできなかったが威嚇にはなったみたいでベルは名前から距離をとった。


「!」


そして今度は名前がベルに休みを与えず、もう一発と発砲を続けた。
と言っても名前にベルを傷つけるつもりなんてこれっぽっちもない。
今までの動きを見てベルがギリギリ避けられそうな場所を狙い、逃げ道を誘導していく。


「いただき!」
「…!」


その時名前が体勢を崩して前に倒れて、ベルはすかさずナイフを投げつけた。
が、名前はその体勢から思い切り床を蹴ってナイフをくぐり抜け、ベルの懐に入っていった。


「雨と雲の指輪をちょうだい。」


ベルは動けない。名前がベルの首元に銃口を向けているからだ。


「…やなこった。」
「…!!?」


やがてベルが口の端をあげたかと思うと、名前の視界は暗転。目の前にいたはずのベルの気配も感じられなくなった。
名前は暗闇の中、前後左右上下…どこから攻撃されても防げるように五感を張り巡らせた。
そして1人の気配を感じ取ると、名前はその方向に銃口を向けた。が…


「…!! お兄ちゃん…!?」














「いいとこだったのに。」
「よく言うよ。危なかったくせに。」


必死にもがく獄寺と山本、それから目を見開いて固まってる名前を横目にベルは床に落ちていた3つのリングを拾い上げた。
これで残るは名前の風のリングだけ。


「いや……やめて…!!」


名前を見てみると、床に膝と手をついて泣き崩れていた。


「…何見せてんの?」
「どうやら人の死を最も悲しむ種類の人間みたいだからね。」
「ふーん。」


聞いた割には興味無さそうに呟いて、ベルは名前のもとに歩いていった。
そして名前と同じ高さにしゃがむと、名前の手をとってその指から風のリングを外した。


「やだ…ッ行かないで!!」
「!」


ベルが立ち上がろうとしたその時、名前がベルの首にしがみついた。
どんな幻覚を見てるのかはマーモンの言葉から大体予想できる。
ベルは少し静止したあと、いつものように笑って名前の腕を優しくほどいた。


「じゃーね、名前。」
「お願い……私……」


虚ろな目に涙をためる名前の頬に軽くキスを落としてから、体育館をあとにした。
7つのリングは全て揃えた。向かうのは、大空のリングのもと。













暗闇の中、私の目の前にはあの日のお兄ちゃんが立っていて、優しく笑ってくれていた。


「じゃーな、名前。」
「いや……行かないで…ッ」


すぐ近くにいるはずなのに、手を伸ばしてるのに、私の手はお兄ちゃんの服を掴むことができない。
お兄ちゃんの姿がだんだんかすれていく。
やだよ、お兄ちゃんまでいなくなったら私、本当に……


「お兄ちゃ…ッ!!」
「マキシマムキャノン!!!」














「おい名前!大丈夫か!?」
「う……いったい何が…」


いきなりすごい衝撃が襲ってきたかと思ったら、目の前には隼人の顔。
あれ、お兄ちゃんは…………幻覚…か…。わかってた、はずなのに…な。
それより、ここは体育館のはずなんだけど………この瓦礫の山はいったい……


「まどろっこしいのは嫌いでな。」
「! 了平くん!」


これ、了平くんがやったんだ…。
いやあの、確かに幻覚からは解放されたけど……これはいいの!?
体育館を粉々って……流石コロネロが指導しただけあってめちゃくちゃというか強引というか……。


「ありがとう、了平くん!隼人も。」
「おう。」


それでも了平くんが来てくれなかったらずっとあのままだった。ここはお礼を言うところだよね。それから瓦礫の山から助けてくれた隼人にも。


「凪ちゃん大丈夫!?」
「うん…。」


凪ちゃんの方は山本くんが助けてくれていた。よかった。解毒も効いてきてるみたいで、大分顔色がよくなってきた。


「あっ、リングが……!」


何か足りないと思ったら、指につけていたリングがなかった。きっと幻覚にかかってたときに取れらちゃったんだ…。
…ってことは、7つのリング全て取られちゃったってこと…!?
大空戦の勝敗の条件はリングを全て揃えることだから……い、急がないと!!


「急ぐぞ!」
「うん!」







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