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「隼人大丈夫?」
「ああ!?大丈夫に決まってるだろーが!」
「獄寺、お前血色悪いぜ。」
「山本くんも!傷口開いちゃってるじゃない!」


獄寺と合流して了平とルッスーリアを助けてから更に山本とも合流した名前は、クロームを助けようと、体育館の前に来ていた。
急いで走ってきたはいいが、獄寺は出血多量の所為か顔色が悪いし、山本も傷口が開いてきている状態だ。


「2人とも休んでてあとは私が…」
「名前になんて任せられるか!」
「な、何それ!」


そんな2人の様子を見て言った名前の言葉を獄寺が跳ね除けた。
ツナの(自称)右腕として名前に任せるのは嫌だったんだろう。
名前も名前で、心配して言ってあげたのにこうも無下に返されたので眉間にしわをつくった。


「まーまー。獄寺は名前さんを守りたいんだろ?」
「なっ…何言ってやがる野球バカ!」
「そんな……私だって隼人を守りたいんだから!」
「真に受けんな!!」


またいつものような口論に発展しそうになるというところで、山本が仲裁に入る。
…と言っても、その言葉は獄寺の照れ隠しを誘うだけで全くの逆効果なのだが。
名前はというとそんなの全然気にしてなくて、むしろ獄寺にとって恥ずかしい言葉を真顔で言ってくる。
こういうところが獄寺の調子を狂わせるのだ。特に山本とセットの時はイライラ度が2倍になる。


ガラ


「!!」
「ポールが………!!」


獄寺が荒く体育館の扉を開けると、中のポールは既に誰かに倒されたみたいで瓦礫と一緒に転がっていた。


「こっちこっちーー。」
「!!」


クロームの安否が心配になって3人が中を見回していると、カンカンと金属音が聞こえた。
向くと、両手を拘束されたクロームにナイフをつきつけているベル、それから隣にちょこんと立っているマーモンの姿があった。
ベルは雲雀と交戦した後、どうやら体育館に来てマーモンを助けたようだ。クロームの方はまだ解毒されていないように見える。


「おまえ達の持つリングをわたしてもらおうか。さもなくばこの女は皮をはがされむごい死に方をするよ。」
「ふざけんじゃねぇ!!!そんな安っぽい手にひっかかると思ってんのか!?」
「隼人!」
「誰だと思ってんの?オレらは暗殺部隊ヴァリアーだぜ。殺しにおいては、ウソはナッシング。」
「あ…」
「やめて!!」


ベルのナイフがクロームの頬に食い込む。
獄寺の言う通り、リングを渡してもベルがクロームを解放するかは保証できないが、このままではクロームの命が危ない。
相手はあのヴァリアー…つまり、殺しのプロなのだ。毒もかなりまわってきているし、ここはクロームを優先した方が良いだろう。


「……」
「くっ…そ〜〜」
「しょーがねー……。」
「!?」


名前が対処に悩んでいると、山本が一歩前に出た。


「リングを渡すしかないみてーだな…。オレと獄寺でおまえ達のもつ霧以外の全部のリングを持ってんだ。」
「!」
「おっ。」
「おい!!おまえ!バカか!」


そして何を言い出すのかと思えば、自分たちが他のリング全てを持ってることをバラしてしまったではないか。
確かにリングを渡す他にクロームを助ける方法はないが、何も全て持っていると言うことはないのに…と獄寺がつっかかる。


「ただしいっぺんにはやらねーぜ。まずその娘の解毒とこの雨・雲との交換だ。」
「なっ!!」
「それができたら信用して残りのリングとその娘の交換に応じる。」
「……」


どうやら交渉に持ち込むつもりらしい。
あのベルが対等な交渉に応じるわけがないと思ったが、マーモンに促され山本の取引きに応じることにした。
獄寺は山本を怒鳴りつけるが、名前はきっと何か考えがあるのだろうと何も言わずに黙っていた。


「じゃーせーのっ。」


ベルの合図で同時にベルがクロームの解毒をし、山本が2つのリングを床に転がした。


「わたっ」


リングを転がす際に山本が散らばっていた瓦礫に足をひっかけ、体勢を崩した。


ガッ


「いだぁ!!」
「なに!」
「動くな。」


かと思うと、次の瞬間山本の刀がベルの肩に突き刺さり、山本本人はマーモンに刀をつきつけているではないか。
つまずいたのはわざとで、背中に背負っていた刀を使い敵の隙をつくためだったのだ。


「山本くんすごい!」
「形勢逆転だな。」
「や…やるじゃねーか山本!」


名前は素直に感心した。
山本は一般人でありながらあの短時間で、ここまでの作戦を考えついたのだ。


「…やはりタダモノではない連中だ。警戒しておいてよかったよ。」
「「「!」」」


これで勝負は決まったと思ったそのとき、目の前のマーモン、ベル、クロームまでもが急に消えてしまった。
どうやら体育館に入ったときから既にマーモンの幻術にかかっていたらしい。
マーモンの姿がそこら中に現れ、反対方向に無傷のベルと拘束された凪が現れた。
優勢になったと思われた状況がまた一変した。


「さあ、雨と雲以外のリングも渡しな。」
「じゃないとこの娘、皮をはぐどころか…手足がもげるよ。」
「うぅ…!」


獄寺と山本が立ちすくんでいるとマーモンの触手が凪の体をしめつけだした。
続いてそれは獄寺と山本の体をも締め上げた。もちろん幻覚なのだが、その痛みは確かに存在する。
ものすごい力で獄寺の腕が締め上げられ、握っていた嵐・雷・晴れのリングが床に落ちてしまった。


「うしし、もーらい。」


何もない中でもがいているように見える獄寺をよそに、ベルが床に落ちたリングを取りに行ったその時。


キン キン キン


「!」


カッ


「動かないで。」


3つの指輪と、ベルの足元に4本の針が飛んだ。








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