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103


晴・雷・嵐・雨・霧・雲・風
すべてに染まりつつすべてを飲み込み包容することが大空の使命。


「守護者全員の命がボスの手に委ねられる戦い。それが大空戦なのです。」


みんなの毒を止める方法はただ1つ。みんなのしているリストバンドに同種類のリングを差し込むことだけ。


「わかったよ!!急ごう!!早くしないとみんなが!!」
「では最後に一つだけ。勝負開始後は一切の部外者の外部からの干渉を禁止します。特殊弾もしかりです。」
「了解したぞ。」


ガンッ


「「!」」
「沢田殿!!」
「ザ…XANXUS様!まだ……!」
「早く始めたいと言ったのは、向こうだぜ。」


波乱の大空戦が始まった。















「綱吉さん……」


この争奪戦が終わったら…みんなでお祝いして、また……いっぱい遊びましょうねって、言えなかった…。雲雀にも…。
全身が燃えるように熱くて、痛い。多分、今まで生きていたなかで1番痛い気がする。
でもね、苦しくはないんだよ。何でだろう……大丈夫、って、思えるからかなぁ…。


ドゴォ


「……」


さっきからすごい音が聞こえてくる。綱吉さんが戦ってるんだ。
ずっとリストバンドのモニターを見てたけど、朦朧としてて、なんかよくわかんなくて…。
とりあえず音声から、ベルとレヴィって人が自由になってしまったっていうことがわかった。
ど、どうしよう…こっちはまだみんな動けないのに…!
なんとかしなきゃ、いけないのに……指一本動かせない自分がいやになる…!
ランボくんと隼人は、大丈夫…かな……他のみんなも……


『君……天才なんだって?』
「!」


機械越しに聞こえた声……これって………雲雀!?
下げていた頭を上げてモニターを見ると、いつもと何ら変わらない様子の雲雀がベルの前に立っていた。
え?………ええ!?な、何で……雲雀も毒、うたれたんじゃ…!?


『ヒバリの奴、自分で倒して解毒したな。』


えええじ、自分で倒したって………えええ!?今痛くて声出せないけど、相当驚いてますよ!
だってこの痛みで、自分であのポールを倒すなんて……やっぱり雲雀はただ者じゃない…。


ドガンッ


「!」


今度は屋上の方から爆発音。そうだったレヴィって人が解毒されちゃったからランボくんが危ない…!
…って思ったら、そこに立っていたのは隼人で……な、何で!?


『言っただろ?雲は嵐を巻き起こす。』
『え…っそうか、ヒバリ殿は嵐のリングを獄寺殿にはじいたんだ!』


……そ、そうなんだ…見てなかった。
やっぱり雲雀は優しいよ。そういうとこ、もっと素直に見せたらみんなと仲良くなれるのになぁ…。
隼人がきたからランボくんも大丈夫だよね。雲雀も……きっと大丈夫。私は安堵の息をついて、痛みに目を閉じた。













「名前!」
「ん…」


次に名前が目を開けたのはもう雲雀に解毒をしてもらった時だった。
今まですごく苦しかったのに、目を開けてみると痛みはひいていて目の前には雲雀の顔。
名前は安心してまた目を閉じたくなったが、今は寝ている暇ではない。


「ありがとう、雲雀。」
「まだ動かない方がいいよ。」


起き上がろうとする名前を雲雀は止めたが、名前は首を振って起き上がった。


「うっ…」
「…だから言っただろ。」
「ご、ごめん…。」


まだ毒が抜けきっていないため上手く立ち上がれなかった名前を、雲雀が受け止めた。
必然的に至近距離になる2人。名前の腕を掴む雲雀の手から体温が伝わってくる。


「あ、もう大丈夫だから!」
「……」


それがすごく恥ずかしくて、名前はまだフラつくのに雲雀から離れた。
少しめまいがしたけどまた支えてもらっては心臓が持たない。なんとか持ちこたえた。
雲雀も名前が無理してることは見てとれたが、無理に彼女の手をとろうとは思わなかった。


「ねえ…」
「なに?」
「さっきの続き、聞かせてよ。」
「さっきの続き…?」


パッと思い当たる節がない名前は首をかしげた。
さっきの続き………中途半端になってしまった会話があっただろうかと、今日の記憶を思い返してみる。
すると1つだけ、心当たりがあった。


「今日のリング争奪戦が終わったら…、ってやつ。」
「! え、えーと……」


名前の心当たりは間違いなく雲雀の聞きたいものだった。
まさかこんなところで聞いてくるとは思わなかったので、少しためらってしまう。
「また一緒に遊ぼう」……そう言いたかったのだが今改めてここで言うのがなんだか恥ずかしくなってきた。


「……ッそれより雲雀、傷!」
「…ああ、大したことないよ。」
「大したことあるよ!血が……!」


話題を変えるつもりで雲雀の傷にふれてみたところ、傷が思ってたより深いものだったので名前の頭はもうそのことで一杯になってしまった。
名前はポケットから白いハンカチを出して、特に出血が酷い雲雀の腕に巻いた。


「…まあいいけど。」


そんな名前を無表情で見つめながら雲雀はふうっとため息をつく。


「コレが終わったら、逃がさないから。」
「!」


そう言って名前の目を捉えただけなのに、名前の心臓はドクンと高鳴った。







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