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「あれは……」
「じゅ…10代目!!」
「……」
「綱吉さん…」













「名前!一体これは…」
「バジル!リボーンも!」
「モスカの奴全てを破壊しつくすつもりみてーだな。」
「うん…ザンザスが、制御がきかなくなったって…」


そう…今並盛中は大惨事になっています。
雲戦では雲雀の圧勝だったのに、雲雀とザンザスが戦ってる間にモスカが暴走をし始めちゃったみたいで、今無差別に攻撃をしている。
さっきも凪ちゃんたちが危なかったんだけど、綱吉さんがかけつけてくれて助かりました。本当によかった…!
バジルとリボーンも一緒に来たってことは、あの修行が完成したのかな…。綱吉さん……なんか、ひとまわり大きく見える。


ドドドドン


「さ……沢田が!!」


だけど凪ちゃんたちを助けたことでモスカの標的が綱吉さん1人に絞られてしまったみたいだ。
今まで散らばっていた弾が全部綱吉さんのところに向かっていった。だけどさすがは綱吉さん!全部避けてみせました!
動きがすごく速い。目で追うのがやっとだ。死ぬ気の炎を使ってるにしても、ここまでコントロールしてるなんて……すごい。


ドカッ


「つ……強い!!」
「ああ。」


綱吉さんの死ぬ気の炎をまとった強烈なパンチがモスカの胴体に深く突き刺さって、モスカの巨体が大きく吹き飛んだ。
すごいです!さすが綱吉さん!!
だけど……ザンザスは…、笑ってる……それに何だろう…何か、何かひっかかる。何かはわかんないけど……すっきりしない。


「一つひっかかるな…。」
「え?」
「モスカを全力でヒバリと戦わせて勝ち越しを決めてから皆殺しにすることも考えられたはずだ。なぜこんな回りくどいんだ?」
「……」


確かに…リボーンの言うとおりだ。いちいちこんなことしなくても方法はいくらでもあったのに。
大体こんなやり方じゃあ負けは変わらないし、結局ルール違反っていうことで罰まで与えられちゃうんじゃないかなあ…。


ボファッ


「綱吉さん!」
「……」


バン


倒れていたモスカがまた綱吉さんに向かって飛んだけど、綱吉さんはなんとそれを片手で受け止めてみせた。
多分死ぬ気の炎を使ってのことなんだろうけど……すごい!


ズバッ


「おお!!」
「やったぜ!!」


そして死ぬ気の炎の手刀でモスカを真っ二つに…!!
なるほど、真っ二つにされては動き回ることもできないってことですね!
綱吉さんの思惑通り、モスカは膝をついて動かなくなって……あれ…、中から人みたいな影が……やっぱり中に人がいたん………!?


ゴツ


「………え……こ……この人…9代目……!?」
「!!」
「そんな…なぜここに!?」


な、何で…9代目が…モスカの中に……だって、9代目はイタリアにいるはずじゃ……


「ちっ、モスカの構造……前に一度だけ見たことがある………9代目は……ゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな。」
「動力源!?」


動力源って……そんな…!でも、リボーンが言うんだから…多分本当なんだと思う…。
あの力が9代目の死ぬ気の炎をもとにして出されていたなら、相当な負担に…!


「ど……どーして!?」
「どーしてじゃねーだろ!」
「!?」
「てめーが9代目を手にかけたんだぞ。」


さっきは口元に笑みを浮かべていたザンザスが、急に真剣な顔つきになった。


「誰だ?じじぃを容赦なくぶん殴ったのは。」
「!」
「誰だぁ?モスカごとじじぃを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ。」
「!! そ、そんな…」
「綱吉さん!!」


ザンザスのが口を開く度に綱吉さんの肩が震えた。
そんな、違うのに…!綱吉さんは何も悪くないのに…!
私が綱吉さんの名前を呼んでも、綱吉さんはただただ倒れる9代目を見つめて震えていた。


「オ……オレが…9代目を…」
「……ちがう…。」
「!」


自分を責める綱吉さんを否定してくれたのは……9代目だった。


「悪いのは……私だ……」
「9……9代目!!」


よかった…まだ大丈夫だ!だ、だけど今すぐにでも病院に行かないと…!9代目、すごく苦しそう…!


「すまない…。こうなったのはすべて私の弱さゆえ…私の弱さが………XANXUSを永い眠りから目覚めさせてしまった……。」
「!!」
「!?」


永い…眠り……って…?


「眠りとはどーいうことだ?XANXUSは揺りかごの後ファミリーを抜け、ボンゴレの厳重な監視下に置かれたはずだぞ。」
「ゆりかご……?」


揺りかご…っていうのは、リボーンが言うに8年前に起きたボンゴレ史上最大のクーデターのこと。
それを起こしたのが9代目の息子のザンザスだというので、このことは機密扱いされていて知ってるのはごく一部の人間らしい。
ザンザスのことは知ってたけど……8年前にそんなことがあったなんて…


「XANXUSは…8年間止まったままだったのだ…。あの時のまま眠り続けていたのだよ。恐ろしいほどの、怒りと執念を増幅させて………」
「え……!??ど…どーゆー…」
「一体何が………」
「ゴホッ」
「ああっ!大丈夫ですか!?しっかりして下さい!!」


8年間止まっていた…っていうのはなんだかよくわからないけど、これ以上喋ったら…!


「9代目…!」
「…名前…」
「…はい!」


9代目の優しい目が私を見つめてくれた。
この目が私はすごく好き。自分を暖かく包み込んでくれるような、優しい瞳。綱吉さんを初めて見たときも…そう思った。


「最初は…少し後悔していたんだよ……」
「…?」
「慣れない土地に……1人で行かせて………泣いてしまってや、いないかとね…」
「……!」


9代目の指が私の涙をそっと拭ってくれた。
9代目の前では泣きたくないのに……強い子で、いたいのに……涙が止まらない…!


「君のおかげだね……綱吉君…」
「!?」
「いつも君のことは…リボーンから聞いていたよ…………好きな女の子のことや…学校のこと……友達のこと………。」
「……」
「君はマフィアのボスをしては……あまりにも不釣り合いな心を持った子だ……。」
「……」
「君が今まで一度だって喜んで戦っていないことも知っているよ……いつも眉間にシワを寄せ……祈るように拳をふるう…。」
「……」
「だからこそ私は君を……ボンゴレ10代目に選んだ……。」
「……!?」


途切れ途切れに紡いで、9代目は綱吉さんの額に指を当てて死ぬ気の炎をともした。すごくすごく優しい色。
9代目は…ザンザスを選んだわけじゃ…?


「すまない…。だが君で……よかった…。」
「9代目!」
「そんな……待ってください…!!9代目!!9代目ー!!」


だんだん炎が小さくなっていって、ついに消えて9代目は目を瞑ってしまった。
そんな……いやです9代目……まだ、ありがとうございますって、感謝し足りないのに…!


「よくも9代目を!!!」
「!?」


今まで黙っていたザンザスが口を開いた。


「9代目へのこの卑劣な仕打ちは実子であるXANXUSへの、そして崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った!!」
「な!??」


……なるほど…ザンザスはそれが、目的だったの…。


「貴様を殺し、仇を討つ!!」






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