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「よぉ名前。調子はどーだ?」
「家光さん!」


あの後、ツナや犬たちと一緒に並中に来た名前を家光やディーノが迎えてくれた。


「名前、本当に大丈夫か?」
「…大丈夫だってば!ディーノは心配性だなあ。」


真剣に名前に問うディーノに名前は明るく答えてみせた。
ディーノはそう言われてもやはり心配だったが、この戦いが避けられないのは知っている。
「頑張れよ」とだけ言って名前の頭を撫でた。名前も「うん」と、力強く答えた。


「よーし!では円陣いくぞーーー!!」
「わ、やったー!」


毎度恒例になった円陣ももちろんやる。了平がガオオォオと特有な効果音をつけてみんなを集めだした。
了平、ツナ、獄寺、山本、バジル、そして名前が丸くなって円陣をつくる。
犬と千種と凪は離れたところでそれを見ていて、雲雀もまた別の離れた場所で呆れた顔でそれを見ていた。


「名字ーーーファイッ!!」
「「「「「「オーーーー!!」」」」」」


元気な声がグラウンドに鳴り響いた。
名前は自分の円陣をやれて大満足というかのように笑顔だ。


「では風の守護者の方はこちらへ。」
「あ、はい。」
「頑張れよ!」
「死ぬんじゃねーぞ。」
「頑張ってください!」
「ベストを尽くすのだぞ、名字!」
「うん!…あ、ちょっと待ってください!」


みんなの声援を背にチェルベッロに案内される名前が、急に何かを思い出したように立ち止まって別方向に走りだしてしまった。
疑問符を浮かべてその行動を見ていると、名前が向かったのは犬と千種と凪のところだった。


「……行ってくるから、待っててね…!」


3人の前まで来ると名前は少し気恥ずかしそうにそう言った。


「当ったり前らし!!」
「…いってらっしゃい…。」
「がんばって…。」


少し目を丸くしたあと、犬は勢いよく千種は静かに凪は控えめに、そう返した。
名前はそれに笑顔で「うん!」と答えてから3人に背を向けて走った。
そのままチェルベッロのところに戻る…のかと思ったら、そこを通り過ぎて今度は反対側……雲雀のところに。


「あの、雲雀…!」
「……」


名前は少し迷った挙句、雲雀の手をとって両手でぎゅっと握った。
少しうつむき加減で雲雀には見えないが、その顔は雲雀の体温を感じてすごく安心していた。


「…ありがとう!行ってくるね!」
「…うん。」


1回小さく深呼吸をしてから名前は一息に言ってまた走っていってしまった。
走り去った名前の耳が赤かったのを見て、雲雀は口の端を上げた。














え、今名前さん、ヒバリさんの手を…握った!?


「…決定的だな。」
「は?」
「何でもねーぞ。」


決定的って…何がだよ。リボーンの含み笑いが怖いから聞かないけどさ!


「風の守護者戦のフィールドは中庭です。」


校舎の屋上や壁に何個も設置されたモニターにチェルベッロの顔が映って、それから中庭の様子が映し出された。
名前さんと……名前さんのお兄さんがいる。…ついに……始まるんだ…。
オレは本当は、名前さんにこんな戦いしてほしくない。
だって名前さんのお兄さんは名前さんの家族を殺した張本人で、名前さんはそれを目の前で見ていて……。
そんな人と戦うのがつらくないはずがないんだ。ただでさえ名前さんは戦うことを嫌うのに。
それでも名前さんは一生懸命笑って「大丈夫です」って、言ってくれた…。


「なおフィールド内のあらゆる場所には特殊なボタンが設置されています。」


今回も何か仕掛けがあるんだ…。でも特殊なボタンって…?


「上をご覧ください。」


その言葉の次にモニターに映し出されたのは中庭の天井。
本来中庭は建物じゃないから天井っていうのはおかしいんだけど……確かに今、そこには天井があるんだ。
なんか…大規模な機械が設置されてるのかな…。今は照明になってるみたいだけど……何だろう…。


「風の守護者の使命は、常にファミリーのそばにあり他の守護者と同調してファミリーを守ること。」
「フィールド内に設置されたボタンを押すと上からあらゆる天候が発現します。」


それじゃあつまり、あの天井からは雨とかが降るってこと…?
雨ならまだいいけど、雷とかだったら……死んじゃうよ!名前さんはランボみたいな皮膚してないんだぞ!?


「リボーン!やっぱやめた方が…」
「心配しすぎだぞ。名前なら大丈夫だ。」
「でも!」
「ツナは名前の実力を知らねーからな。」
「実力って…」


射撃の腕がすごいことは知ってるけど……あれ、そういえば名前さんが戦ってるのってちゃんと見たことないような……


「名前は今までに何度も死線をくぐりぬけてきたんだ。実力は相当だぞ。」
「……」


リボーンがそこまで言うんだったらすごいんだろうけど……やっぱり心配だよ…。


「大丈夫っスよ10代目!名前はそう簡単に死ぬようなヤツじゃありません!」
「そーだぜ、ツナ。名前さんが大丈夫っつったしな。」
「…う、うん…」


そう…だよね…うん。名前さんが一生懸命決心したんだから、オレも名前さんを信じなくちゃ。






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