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「よし、では円陣いくぞ!!」
「いい。」
「え……」
「いらないよ、そんなの。」
「あ…っ」
「何だあいつは…」
「ノリわりーな…。」
「いってきます。」


霧の守護者戦、クローム髑髏VSマーモンの勝負は円陣無しで始まった。














チェルベッロが開始の合図をしたと同時に凪の方から幻覚を仕掛けた。
床が崩壊したり、捕まった凪がバスケットボールに変わったり…早くもすさまじい幻覚合戦となっているが、ツナは何か違和感を感じていた。
凪の使う幻覚…以前にも一度見たことがあるような気がする。


「骸の地獄道!!」


そう、黒曜ランドで骸が使っていた幻術と同じなのだ。


「10代目!!やっぱりあいつは骸なんスよ!」
「え…!?」
「もー、だから違うって言ってるじゃない。第一骸くんは男の子で、凪ちゃんは女の子だよ?」
「憑依すりゃ関係ねーだろ!」
「憑依もしてないよ。…凪ちゃんは凪ちゃんだもん。」
「(凪…?)」


獄寺はまだ凪と骸を同一視しているみたいだが、名前がしきりにそれを否定した。
それに、あれだけマフィアを憎んでいた骸が自分の力になってくれるわけがない…ツナはそう思っていた。


「よかったよ、ある程度の相手で。これで思う存分アレを使える。あのマヌケチビ二匹の前でね。」


マーモンがそう言うとバキンッと音がして、マーモンの隊服の中から鎖がジャラジャラと落ちてきた。
そして頭の上のカエルも細長く変化し、藍色に光るおしゃぶりが露になった。
リボーンとコロネロのおしゃぶりも、それに共鳴するようにそれぞれの色に輝いている。


「あの巻きガエルに藍色のおしゃぶり…生きてやがったのか………コラ!」
「やはりな……。奴の正体はアルコバレーノ、バイパー。」


今まではさっきの鎖でアルコバレーノの力とともに、おしゃぶりの力も封印していたようでリボーンもコロネロも気づかなかったのだ。
マーモンが力を解放したあとも凪は怖気づかずに攻撃を続けた。
幻術ではない蛇がどこからともなく現れてマーモンをしめつける。この能力は…


「骸のスキル、畜生道だ!!」
「10代目!間違いなくあの女、骸に憑依されてますよ!!」
「だ…だけど…」
「だから違うってば!」
「いーや絶対骸です!10代目!!」
「本当違うんですって綱吉さん!!」
「えーと…」


獄寺、名前の両者から迫られて困るツナ。
はっきりとは言えないが、ツナ自身としては凪の中に骸の気配は感じていない。超直感で凪の意志を感じられたのだ。


「確かに君の幻覚は一級品だ。一瞬でも火柱にリアリティを感じれば焼けこげてしまうほどにね。ゆえに弱点もまた…幻覚!!!」


マーモンの顔面が光ったのと同時に、凪が出した幻覚の火柱が一瞬にして凍りついた。
体育館の気温が一気に下がり、みんなが言葉を発すると白い煙が出てきた。
その幻覚の強さはリボーンとコロネロもかかってしまう程だ。


「術士にとって幻術を幻術で返されるということは、知覚のコントロール権を完全に奪われたことを示している。」
「!」
「凪ちゃん!」


凍りついた火柱はいつの間にか消えていて、今度は凪の足元が凍り始めた。
これもマーモンによる幻覚だが、今完全に知覚を支配されてる凪は動くことができない。一気に劣勢となってしまった。


「う……」
「ムム、どうやらその武器は相当大事なもののようだね。」


投げ飛ばされても決して武器を離さない凪の様子を見てマーモンが感づいた。
マーモンの言うとおり、彼女はあの骸の武器をしっかりと掴んで、一度たりとも離さないのだ。


「ダメーーーッ!!!」


パァン


凪が守るようにして武器をぎゅっと抱きしめるが、マーモンが手のひらをぐっと握ると、それは粉々に砕け散ってしまった。


「!!」
「え!?」
「ああ…!」


途端に凪は口から血を吐いて床に倒れてしまった。
犬と千種…それから名前の表情が曇る。
凪の顔からはどんどん生気が失われていき、よく見ると腹部がありえないくらい陥没しているではないか。
これも幻覚かと思われたが、どうやらそうではないらしい。


「にわかに信じがたいが、彼女は幻覚でできた内臓で延命していたらしいね……。」
「な!?」
「幻覚でできた内臓ーーー!?」
「それで幻覚のコントロールを失い腹が潰れたんだな。」


マーモンの言うとおり、今まで凪が何の障害もなく動けたのは骸の強力な幻術能力のおかげだったのだ。


「骸くん…」
「え…?」


名前の口からポツリとこぼれた「骸」という名前が、隣にいるツナにだけ聞こえた。
名前は不安そうに眉を寄せて倒れている凪を見つめていた。


シュウゥウウウ…


「霧が娘をつつんでいくぞ!」
「なーに、最後の力をふりしぼって自分の醜い死体を隠そうとする…女術士によくある行動パターンさ。」


すると倒れる凪の体から濃い霧が発生しだした。その霧は体育館に広がり、凪の体を隠していく。


「あいつが来る!!」
「あ…あいつ…?」


いったい何だとみんなが見つめるなか、ツナは急に頭をおさえだした。


「六道骸が!!骸が来る!!!」







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