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「気に入ったぞぉ!!これで貴様の勝つ可能性は0%から……やはり0%だぁ!!」
「!!」
「0%から0%ってわざわざ言い直す必要ないんじゃ…」
「明日が貴様らの最後!!首を洗って待つぐぁッ!?」
「「「「!?」」」」


捨て台詞をはいて窓から去ろうとしたスクアーロを、ヴァリアーの1人の男が蹴り落とした。


「う゛お゛ぉい何しやがる絆!!」
「!?(絆…?)」


3階から蹴り落とされたスクアーロだが流石はヴァリアー。綺麗に着地し、外傷はまったく無い。
そしてスクアーロを蹴り落としたグラサンをかけている男に下から怒鳴りつける。
スクアーロは彼を「絆」と呼んだ。その名前に名前と、それからリボーンとシャマルも反応した。


「スクー、俺ちょっと用あるからさー、しゃがりこのじゃがバター味買って先帰っててー。」
「何で俺がそんなことしなきゃいけねーんだぁ!?」
「あーあー、一緒に帰れなくて寂しいのはわかったからよろしくなー。この前みたいに味間違えたらボコる。」
「う゛お゛ぉい!!テメ…」
「さて…」


スクアーロが下から抗議する途中で、絆と呼ばれた男は名前の方に振り返った。
瞬間、名前はびくっと肩をすくめた。目の前にいる男を見つめながら、怯えるように瞳を震わせている。
「まさか、そんな…」名前が心の中で葛藤する。その間も、男から目を逸らせない。


「久しぶりだなぁ。……名前。」
「!!」


そして名前は確信した。この男の正体を。


「お兄…ちゃん……」
「は!?」
「え!?」
「名前さんの…お兄さん!?」


小さく呟いた名前の声は廊下に響いて全員に行き届いた。
もちろんみんな驚いて名前と絆を交互に見る。リボーンとシャマルは絆を睨みつけて動じていない。
絆は「ああ」と、少し口の端をあげてサングラスをとった。髪の色とは対照的な、真っ黒な瞳が名前をとらえていた。
余裕な絆に、怯える名前。兄妹にしてはどう見ても様子がおかしかった。


「何で…」
「何でお前がここにいる?」
「!」


質問するのは許さない、とでも言うかのように絆は名前の言葉を遮って、1歩名前に近づいた。名前も思わず1歩足を引く。


「そう怖がんなよ。何もしねーから。あの時もそーだっただろ?」
「!!」


「あの時」……その言葉を聞いた途端、名前の顔が歪んだ。
後ろのリボーンとシャマルは、更に表情を強張らせる。


「…まー昔のことは置いといて……」
「…!!」


すると、絆はポケットからリングを取り出して見せてきた。そのリングは風のリング……名前と同じリングだ。


「…つーわけだ。お互いがんばろーぜ。」
「…っ…」


いつの間にか絆は名前の目の前まで来ていて、丁度自分の胸ぐらいにある名前の頭を撫でた。
俯いて震えだしてしまった名前を、読み取れない表情で見た後、絆はその後ろにいるリボーンとシャマルに目をやった。


「……じゃーな。」


が、見ただけで、特に何も言わずにスクアーロと同じように、窓から消えてしまった。
絆が消えたのと同時に、名前は床にへたりと座り込む。
力が入らないようで手をついて体を支えている。しかしその手も震えていて、今にも崩れ落ちそうだった。
いきなりの展開と、見たことない名前の様子にツナを始めとするみんなは戸惑っていた。声がかけられない。
そんな中、名前に駆け寄ったのはシャマルだった。


「大丈夫か?」
「……」


シャマルの問いかけに名前は小さく頷いた。名前の体はやっぱり震えていて、とても大丈夫そうには見えない。


「よぉ、恭弥まだ来てねーよな……って、どーした名前!」
「ディーノさん…」


そこに、ロマーリオを後ろにつれたディーノが姿を現した。
完全に空気を読めてないが、俯いて座り込む名前を見つけるなり、名前に駆け寄る。
ディーノは名前の肩を抱いてもう一度「どーした」と聞くが、名前は首を振るだけだった。声が震えて出せないのかもしれない。


「リボーン…」
「ヴァリアーの風の守護者は……名字絆だ。」
「なッ…!!何でアイツが!?」
「わかんねー。アイツがヴァリアーに入隊したなんて情報、9代目にも入ってねぇはずだぞ。」


戸惑うディーノにリボーンが状況を説明した。
説明と言ってもとても簡素なものだった。が、それだけで充分ディーノには通じたみたいだ。


「名前……大丈夫…」
「…っ…!」


ディーノが名前の肩を抱いて支えてやると名前はディーノにしがみついた。
顔はディーノの胸の中にあって伺えないが、泣いているんだろうか。相変わらずその体は震えていた。


「ディーノ、今日は名前を頼む。」
「…わかった。名前、立てるか?」
「……」


ディーノの問いかけに、名前は頷きも振りもしないでディーノの服を握り締めた。
立とうとしているのだが立てない。だけど首を振るのはディーノに悪い。
そういった名前の心情を充分に理解できたディーノは、ゆっくりと名前を抱き上げた。
瞬間びっくりしたように肩をすくめた名前だが、すぐに落ちないようにディーノの首に腕を回す。


「…名前。」
「……」
「みんなに、話すぞ。」
「……」


返事はしなかったが、名前はディーノの腕の中で確かに頷いた。








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