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17:風紀財団


「ううん……はッ!」
「やっと起きたな。」


目を覚ましたら船内の私の部屋にいた。傍にはリボーン。


「つっ…」
「派手に負けたな。」


上体を起こすと脇腹に激痛が走った。
そうだ、私、黒い服の人にトンファーでやられて……


「武と獄寺くんは!?」
「無事だ。部屋で寝かしてる。」
「そ、そっか…。」
「死ぬ気でも歯が立たなかったな。」
「…うん。」


死ぬ気になった時のことはなんとなく覚えている。
不意をついて一発反撃することはできたけど、そこからあの人の雰囲気が変わって……リボーンが止めてくれなかったらこの程度で済んでなかった。
武と獄寺くんを1人で倒しちゃう程の人だ…私なんかが勝てるわけないよ。


「あいつの名前は雲雀恭弥。風紀財団のトップだ。」
「風紀財団…?」
「何でも海軍を追い出してこの町を仕切ってるらしいぞ。」
「えええ!?」


海軍を追い出すとか……とんでもない人だ…!


「こ、こんなおっかない島早く出ようよ!」
「まだビアンキとシャマルが戻ってきてねぇ。それに、お前らの手当てで包帯がなくなっちまった。買ってこい。」
「えええまたあの町に行くの!?」
「群れさえしなきゃ害はないぞ。」
「ほ、ほんと?」
「ああ。実際風紀財団のおかげで何回も海賊や山賊から守られてるっつー話だ。」
「そ、そうなんだ…。」


群れさえしなければ…変なルールだけど、郷に入っては郷に従えっていうししょうがないか…。
換えの包帯がなかったら武も獄寺くんも困るだろうし…。


「ビビりの名前のために安全なルートを調べといてやった。だから安心して行ってこい。」
「あ、ありがとうリボーン!」










リボーンからもらった地図を片手に歩くこと20分。
なんか……町からどんどん遠ざかっていってる気がするんだけど…ここ森なんだけど…。
引き返すべきかなあ?でも、印の場所までもう少しだし、とりあえずこのまま進んでみようかな…。


ガサガサッ


「ひっ!?」


ガラガラ


「う、うそっ…ひゃあああ!!」


いきなり茂みが揺れたことに驚いて後ろに飛び退くと、足場がガラガラと崩れて私は重力のままに下に落ちた。


どんっ


「いたいっ」


崖から転落死とかシャレにならない。
が、意外と衝撃はすぐに訪れた。


「いてて…」


崖というよりは大きな溝に入ってしまったみたい。
し、死ななくてよかったー…!
でも溝といっても深さは5メートルくらい。手をかけられる岩場もない。私一人で脱出するのはおそらく不可能だ。
状況を理解して血の気が引いた。
もしかして、私このまま誰にも見つけてもらえず餓死してしまうのでは…!?


「カミコロス!カミコロス!」
「へっ?」


絶望している私に更に追い討ちをかけるような恐ろしい言葉を喋ったのは、いつの間にか私の膝の上にいた黄色い鳥だった。
高くて可愛らしい声なのになんて酷いことを言うんだ…。
でもまんまるふさふさの小動物の愛らしさは、こんな状況でも私の癒しとなってくれた。


「ふふ、可愛い。」
「カワイイ!」
「お喋り上手だね。」
「ジョーズ!ジョーズ!」


私の言葉を舌足らずに繰り返す鳥は本当に可愛い。
この子がもう少し大きかったら、ここから助けてもらうこともできたのかな。
…あ!この子に誰かを呼んできてもらえばいいんじゃ…!?


「あっ…」


名案が浮かんだ瞬間、鳥は私のもとから離れていってしまった。
まあ…そんなうまくいくわけないよね…。


「ヒバリ!ヒバリ!」
「……君、こんなところで何してるの?」
「な…えええ!?」


鳥と一緒に地上から私を見下すのは、さっき私たちをボコボコにした張本人…雲雀恭弥だった。


「なっ、なななんっ…」
「さっきは邪魔されたからね。続きでもしに来たのかい?」
「ふあっ…」


雲雀さんが華麗な身のこなしで私のすぐそばまで降りて来て、恐怖のあまり私はそこで意識を手放した。






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