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「えへへ。」


多分今鼻の下が伸びてます名字名前です。


「これ…」
「ありがとう凪ちゃん!」


だってだって、凪ちゃんものすごーーーく可愛いんだもん!もう何この可愛い生き物!
ああ凪ちゃんっていうのは家光さんが連れてきた霧の守護者で、なんか骸くんと繋がってるみたいで…まあその辺はまた今度詳しく聞くとして、今重要なのは凪ちゃんがものすごーーーく可愛いということなんですよ!!
口数は少ないけど、私が洗い物してたり洗濯物干してると手伝ってくれるの!あーーもーーー、妹ができたみたい!すごくうれしい!


「今日の昼ドラあんまいいのやんないねー。何見よっか?」


家事にひと段落ついてあたしがソファに座ると、凪ちゃんもその隣に腰を下ろした。
私は凪ちゃんにも見えるように新聞を広げてテレビ欄をチェックする。
あ、犬ちゃんとちーくんはというと、2人でお買い物に行ってくれてます。みんないい子であたしは幸せです。


「……」


すると、凪ちゃんがテレビ欄の一ヶ所を指差した。


「これ?えーと………『じゅおん2』……………!?」
「……」


こくりと頷く凪ちゃん。
ちょちょちょ、ちょっと待とうね凪ちゃん…!もしかしてもしかしなくても、『じゅおん2』というのはあの、ホラー映画のことで……日本人形が喋ったり蛇口から髪の毛が出てきたりどこからか笑い声が聞こえたりしちゃうようなもの……だよ、ね…?
しかも『2』だよ!?2っていうことはつまり1があるということで、それはつまり1より更にグレードアップしてるということで……


「いやなら別に…」
「いいいいやじゃないよ!ちょっと今字が読めなかっただけ!えええと12チャンネル!?」
「ううん、7チャンネル。」


おおっと12チャンネルはたまご●ちでしたー!
こうなりゃ覚悟決めます名字名前。凪ちゃんがいるから大丈夫。うんそうだよきっと楽しいよ。


ガガッ…


「〜〜〜!!」


は、はじまりなさったぁぁああ…!!もうしょっぱなからやばいんですけど!泣きそうなんですけど!













「あの女むかつくびょん!」
「女子に嫉妬するなよ。」


一方こちらはおつかいから帰る途中の犬と千種。


「し、しっとじゃねーし!らいたいあの女生意気なんらよ!オレらの方が昔から名前さんのこと知ってんのに!」
「それ嫉妬。」
「ムキーーーッうっさいダメ眼鏡!」


どうも犬は、最近名前にべったりな凪が気に食わないらしい。
名前も名前で嫌がってる様子はない…というかむしろ大歓迎という感じなので、なんとも言えない。
さっきだって、名前と一緒に洗い物をする凪に対抗して何か手伝うことあるか聞いたところおつかいを頼まれたのだ。むしろ逆効果だったのだ。


「いやぁぁああああ!!!」
「「!!」」


名前の家の玄関前まで来たところで、中から名前の壮絶な叫び声が聞こえてきた。
2人はほぼ同時に中に駆け込み、声が聞こえてきたリビングへと直行した。


「「名前さん!!」」
「いーーーやーーーーごめん凪ちゃんやっぱ私ごめん凪ちゃん!!」
「……は?」
「……」


叫び声からただ事じゃないと血相を変えたというのに……リビングに飛び込んでみたら何のことはない。ただホラー映画を見ているだけだった。
千種は卵が入ったスーパーの袋を落としたくなった。


「あ、けけけ犬ちゃんにちーくん…お、お、おかえりなさ…」
「大丈夫ですか…?」


ここで犬と千種の存在に気付いた名前は2人を迎えようとソファから立ち上がるが、力が入らないようでまたソファに座り込んでしまった。
そんな名前とは対照的に、凪は平気な顔をして尚ホラー映画を見続けている。
2人が事を理解するのに1分もいらなかった。














「あははは!」
「おうべいか!」


ホラー映画事件もおさまり、夕食後の団欒のひと時。今はお笑い番組を楽しんでいる。


「あはは…あ、お風呂入ってくるね。」
「はーい。」


時計が10時をまわったところで名前が立ち上がって風呂場に向かっていった。


「あ、あの…!」


…と思ったら、すぐに戻ってきた。


「い、一緒にお風呂入ってくれませんか…!!」
「「!?」」
「凪ちゃん…!」


名前の爆弾発言に過剰に反応した犬と千種だが、その言葉を向けられたのは2人ではなく凪だった。


「昼に見た『じゅおん2』のシーンがよみがえってきて…」


どうやら怖くて1人でお風呂に入れないらしい。
20にもなって恥ずかしいと思うが、やはり怖さには勝てないのだ。


「うん…」
「ってダメらろ!!」


しかし犬がこれを断固阻止。


「別にいいでしょ犬。女同士なんだから。」
「そーらけど……よく考えてみろよ柿ピー…」


確かに女同士だからそこまで止めることないと思うが…。
犬は名前と凪に聞こえないように千種にだけ耳打ちをした。


「アイツは骸さんと通信できて、話を聞く限りアイツが見てるもんは骸さんにも見えてて……」
「!!」
「……らろ?」


いつもは犬の言うことなんて「はいはい」程度に聞き流す千種でも、これはどうしても聞き流せなかった。
確かに犬の言う通りだ。たまに出てくる骸はこちらの様子を熟知している…つまり凪の目から情報が伝わっていると考えられる。
…ということは、凪が名前の裸を見れば骸にもそれが見えるということだ。


「………はい、わかりました。」
「(骸さん命令したーーー!?)」
「(骸さま…)」


凪が小声で、誰かに頷くように言った。誰かなんて1人しかいない…骸だ。


「ありがとう凪ちゃん!あと、よかったら寝るときも…」
「………うん。」
「(な、何も言えないびょん…!!)」
「(骸さま…)」






■■
骸さんはもちろん見ました。






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