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66



「そこに霧の守護者を呼んである。名前の家で面倒見てやってくれ。」
「へ?え、そんないきなり…」
「今日の試合には顔を出さなくてもいいぞ。それからあの2人も連れてけよ。」
「あの2人って…犬ちゃんとちーくんのこと?ていうか霧の守護者って…」
「そーだ。じゃーな。」
「ちょ、リボーン!」


あーもうリボーンってばいつもこう!















「本当に骸さんいんの!?」
「まだわかんないんだけど……他に考えられなくて…」


リボーンに言われた通り、2人を連れて黒曜第一公園に向かっています。
私がもしかしたら骸くんに会えるかもしれないって言ったら、2人は喜んでついてきた。
犬ちゃんは…見ての通りはしゃいでて、ちーくんも一見落ち着いてるけどなんかそわそわしてる。
やっぱり嬉しいよね。もう1ヶ月も会ってないんだ…。
でも復讐者の牢獄…しかも最下層を、そう簡単に抜け出せるとは思えない。リボーンも曖昧だったし……


ドンッ


「わっ…」
「!」
「あ、ありがとうちーくん…」


曲がり角を曲がったら知らない女の子とぶつかってしまった…!
女の子が走ってたからちょっとよろめいちゃったけど、ちーくんが支えてくれた。


「おまえ謝れびょん!」
「ちょ、いいって犬ちゃん!」


女の子は急いでるみたいで、すぐに走って行ってしまった。
あの制服…黒曜の制服だ。一瞬目があったけど可愛い子だったなー。それから何か髪型が誰かに似てるような……


 「名前さん」


「…?」
「…名前さん…大丈夫ですか?」
「う、うん…」


あ、あれ、今……いやでもそんなはずは……


 「名前さん…僕です」


「骸くん…!」
「名前さん!?」


気のせいじゃない…!骸くん……この声、骸くんだ…!


「犬、追いかけるよ。」
「待てよ柿ぴー!」














「あっ、あの、ちょっと待って…!」
「!」


少女のあとを追いかけた名前は程なくして少女に追いついた。流石、スパイをやってるだけのことはある。
が、追われてることに気づかなかった少女は吃驚したようで、曲がり角を走り抜けてしまった。
名前もまたその後を追いかけようとしたがその必要はなくなった。


「もう逃げられないよー。」
「さあ、一緒に行こーぜ。」
「!」


少女の行く手を、3人のガラの悪い男達が遮ったのだ。
明らかに友達という感じではない。少女はぎゅっと鞄を抱きしめた。


「何してるんですか。」
「!」


詳しい状況はよくわからないが、名前は少女を庇うように前に出た。


「ヒュ〜。」
「誰?」
「美人!」
「……」


いやらしい視線でこちらを見てくる男たちを体が震えるのを我慢して睨み上げた。
しかしやはりこういう状況は苦手なようで、名前は動くことはできなかった。
それにいくらガラが悪いと言っても、一般人に銃は抜きたくない。


「おねーさんも一緒に来る?」
「! や…っ」


1人の男が名前の腕を掴もうとしたとき。


「汚い手で触らないでもらえますか。」
「なッ…!」
「…?」


名前の顔の横を通って、後ろから長い棒が男の喉もとにあてられた。
状況からして今庇った少女がやっているものと思われるが、名前は何かがひっかかった。


「この人は傷つけさせない。」


そしてその少女はあっという間に男たちを倒してしまった。
あまりにも突然で、名前は手を出すことができなかった。
やっぱり少女に違いはない。が、名前はこの雰囲気と口調にある人物を思い浮かべていた。


「……骸…くん…?」


名前がそう呟いたところで犬と千種が追いついた。
2人は名前の口から漏れた「骸」という名前に過剰に反応して少女を見る。すると、少女はゆっくり3人の方を振り返った。


「お久しぶりです、名前さん…犬…千種。」
「!」
「骸さん…!?」
「……」


姿は確かに少女だ。だが、間違いなく目の前にいるのは骸だった。


「む…骸くん…!!」


数秒かたまった後、名前は慌てて骸に駆け寄った。犬と千種も同様に骸のもとに走った。


「な、何で…えーと、その女の子は…っていうかケガは!?」
「クフフ…お元気そうでなによりです。」


いろいろ状況が飲み込めない名前はかなりテンパっている。何を最初に言えばいいのかわからないようだ。
そんな名前を見て骸は小さく笑った。


「家光から何も聞いてないようですね。」
「え…家光さん!?じゃ、じゃあ骸くんが…」
「…はい。霧の守護者です。」
「「「!!」」」


少し予想していたこととはいえ、名前はかなり驚いた。


「でも骸くん…」
「…大丈夫ですよ。必ず戻ってきます。」
「……」


切なそうに骸の顔を見る名前の頬を骸が優しく撫でた。
名前はまた言葉が出なくなって、俯いてしまった。


「……では、また会いましょう…。」
「!」


骸がそう言って目を伏せた後、骸の気配はなくなってさっきの少女が不思議そうにこちらを見つめていた。


「(この人が…骸様の言ってた…)」
「あ、えっと…、私、名字名前っていうの。あなたの名前は?」
「……凪。」
「凪ちゃんね!こっちの2人は犬ちゃんとちーくん!これから一緒に生活するんだよ。よろしくね!」
「……」


少女は名前の目をじーっと見つめたまま、小さく頷いた。








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