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「ここに知人を2人待たせてある。そいつら住む場所がなくてな。しばらく名前の家においてくんねーか?」
「え…あの、知人というのは…」
「車はやるから。詳しいことはその2人に聞いてくれ。」
「え、でも…」
「オレのことは心配すんな!丁度ここらに用があったんだ。じゃーな!」
「家光さ…」
「第3倉庫…」
…ということでこんなところに来ています名字名前です。
家光さんに渡された地図通りに行くとそこは廃墟になった工場の倉庫……ここでいいんだよね!?
こんなところに待たせるなんて、家光さんの知人ってばどんな人なんだろう…。
ギィィ
相当使われてないんだな、ここ。扉がさびてて開けにくい。
しかもあの、どこにいるんでしょうか…。確かにここ広いから一見しただけじゃわかんないけど、もっとわかりやすいところにいてほしいなあ…。
「あのー、家光さんに言われて迎えに来ましたー!いますかー?」
…………あ、あれ、返事がない。やっぱり場所間違えてる!?それとも聞こえなかったのかな…
「あのー……わ!?」
もっと大きな声でもう1回言おうと思ったら、前方の暗闇から何かがこちらに走ってきています!そしてどばーっと飛びつかれましたーーー!
あまりもの勢いに私はしりもちをついてしまった。い、いきなり飛びついてくるなんてどんな……
「け、犬ちゃん!?」
「名前さんら!」
な、ななな何で犬ちゃん!?ぎゃーちょ、ほっぺ舐めないでくすぐったい!復讐者に連れて行かれたんじゃないの!?
え?え?っていうことは、もしかして……
「犬、やめなよ。名前さん困ってるだろ。」
「んあ?ヤキモチれすかキモメガネ!こんなのただの挨拶らっつーの!」
「…どきなよ。」
やっぱりちーくん!今日も帽子とめがねがよく似合ってるね!じゃあ……
「……骸くんは…?」
「……」
「……」
骸くんも一緒にいるのかと思って、いくら周りを見渡しても2人以外の気配は感じられない。
犬ちゃんを見てもちーくんを見ても、視線は下の方で何も言ってくれない。
「骸様には…まだ会えません。」
「じゃ、じゃあ生きてるんだね!?」
「当たり前らびょん!骸さんがあんなのにやられるわけねーじゃん!」
何で骸くんがいないのかはすごく気になるけど、とても今聞ける雰囲気じゃない。
それより、何で犬ちゃんとちーくんがここにいるのかっていう方が普通なのかも。だって、3人は復讐者の牢獄に入れられたはずじゃ…
「誰かいるのかー!?」
「! 2人とも裏口に!車止めてあるから!」
なんて考えてる暇はないみたい。入り口から人の声が聞こえた。も、もしかして3人を狙う他ファミリーの人かも…!
私は2人の手を引いて裏口に走った。
「まけたみたいだね…!」
「し、死ぬかと思った…」
「(名前さん運転荒すぎ…)」
ふーー、間一髪だったね!
あの後愛車を走らせて無事に私の家に2人をつれてくることができました!
「さあ上がって!お腹空いてる?何か作ろうか?」
「じゃー肉がいい!」
「できれば料理名で答えてほしいな犬ちゃん!」
「何でもいいですよ。」
うーんじゃあどうしようかな……ちーくんは何でもよくて犬ちゃんがお肉………お肉が入ってる料理……
「……チャーハン!チャーハンにしよ!」
「チャーハン?何それ?」
「お楽しみ!」
この前、奈々さんがお見舞いに来てくれた時に作ってくれたんだー。本当おいしかったなー。
感動して思わずレシピ聞き出しちゃった。作るの今日初めてだけど、多分大丈夫!
「おまたせ!」
片栗粉が今日異様に安くて買っちゃったからあんかけチャーハンにしてみました!
「いったらっきまーす!」
「ちょーー!犬ちゃんスプーンあるから!ちゃんと手と道具使おうね!?」
い、今口からがっつりいこうとしたよね!?いくら名前が犬だからっていぬみたいなことしちゃだめだよ!
私そういうとこ厳しいからね!お行儀とかうるさいからね!
「…おいしい…」
「ありがとうちーくん!」
スプーンをくわえながらなんて嬉しいことを呟いてくれるんだちーくん…!ちくしょー可愛いぞちーくん…。
犬ちゃんも「うめー!」って言いながらちゃんとスプーン使って食べてくれてるけど……こぼしてる…こぼしまくりだよ犬ちゃん…!
「…えへへ。」
2人が美味しそうに食べてくれるのを見て幸せな気分になってから、私も自分の分のチャーハンを食べることにした。
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