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「あら…名前!」
「オレガノ!」
「久しぶりだな。」
「ラルも!久しぶりだね!」
昨日久しぶりに自分の家で1泊して翌日、つまり今日、私は約1年ぶりにボンゴレのアジトに来ています!
家光さんはお仕事が終わったらこっちに帰ってくるみたいなんで。
アジトの中をプラプラしてたらなんと懐かしい!オレガノとラルに会っちゃったよ!オレガノ相変わらず綺麗だなあ!ラルも相変わらずかっこいい!
「どうしたの?10代目候補の護衛に行ってたんでしょう?」
「ちゃんと許可を取って来ましたよー。綱吉さんすっごく優しいの!」
「その微妙にズレた会話、相変わらずだな。」
「えへへ。」
正直どこがズレてるのかわかんないけど、久々に会えたからいいや!懐かしいなあ、1年も会わないとやっぱり違うね!
「家光さんはまだ帰ってきてないの?」
「もう来てるはずよ。一緒に来たんだもの。」
「つまりおまえは家光に呼ばれて来たんだな。」
「うん!」
なんだもう来てたんだ。そういえばボンゴレのアジトって言われても……広いんだよなあ。どこから探そう。9代目のとこかな?
「おーう名前久しぶりだなー!」
「家光さん!」
「親方様、そーやって名前に絡むのやめてください。」
「奥方にバラすぞ。」
「なんだよーただのスキンシップじゃねーか。テメーらそれでもイタリア人か?」
探しに行こうと思ったら背中に威圧感が…!この感じも懐かしいなあ。家光さんのスキンシップ!
ほっぺたに当たる家光さんのヒゲの感触がすごく好き。ちょっと痛いけど、やっぱ好き。
「名前っ、お、お久しぶりですっ!」
「わー、バジル久しぶり!見ないうちにおっきくなったね!」
「い、いえそんな…!」
「(バジルわかりやすすぎる…)」
家光さんの後ろにはバジルも!わー髪の毛伸びたな。背も!でも多分まだ私は抜かされてないな、うん!
「それで、ご用は何ですか?」
「んー…久々に2人きりで飲みたくなってな!ついてこい名前。」
「はい!」
「親方様、車は…」
「オレが運転する。」
「しかし…」
「1年ぶりの娘との再会だ。日本には“親子水入らず”って言葉があるんだぜ?」
娘だなんて……そんなこと言われたら、照れてしまいますよ…!
やっぱり家光さん大好きだなぁ。こんな私に、本当の娘のように接してくれて。
「どうだ、日本は?」
「とてもすてきな場所です!綺麗だし、のどかだし、みんな優しいんですよ!」
家光さんが車を運転してつれてってくれたのはとあるレストラン。前にも家光さんと行ったことがある。
私はシーフードドリアを食べながら家光さんと他愛もない話をした。
「10代目候補の綱吉さんはすごく優しくて…すばらしいんです!綱吉さんならきっと立派なボンゴレ10代目になれると思いますよ!この前だって、私を助けてくれたんです。あ、本当は…その、私がお守りしなきゃいけないんですけどね…」
「…名前。」
私が綱吉さんの魅力について語ってると、ふいに家光さんが私の名前を呼んだ。いつもの雰囲気じゃない。これは、お仕事の顔だ。
「実はな、おまえに大事な話があるんだ。」
「…?」
「じきにツナやその友達にもするつもりなんだが…」
家光さんが、私に大事な話…?
「ボンゴレファミリーに8つのリングがあることは知ってるな。」
「はい。ボスと、他7名の幹部が持つという…」
「そう、それだ。オレはそれをツナに譲ろうと思ってる。」
「!」
…ということは、ついに綱吉さんが10代目に就任を…!?
「しかし、だ。ここにきて9代目がそれを拒否した。」
「! な、何で…9代目が綱吉さんを推薦したんじゃ…」
「ああ。確かに最初はそう言った。が…先週になっていきなりその言葉を撤回したんだ。」
「じゃあ、他に適任者が…?」
私の言葉に家光さんは静かに頷いた。
「9代目のご子息でありヴァリアーのボスである……XANXUSだ。」
「!」
ザンザスのことは一応話に聞いたことはある。
詳しくは知らないけど、8年前…ボンゴレで内部紛争を起こしたって……そんな綱吉さんとは正反対の怖い人を…9代目が推薦したの…?
「私は…おかしいと思います。」
「…オレもだ。最近の9代目の言動にも不審な点が多々見受けられる。」
「……」
「だから少し早いんだが……このリングをお前に託す。」
「…へ?」
いつの間にか家光さんに手を握られてると思ったら、私の手の中にはいつの間にか1つの指輪が……
「ええ!?も、もももしかしてこれがその…!?」
「ああ。名前のボンゴレリング…風のリングだ!」
これが!?あああとんでもない代物が今私の手に!どうしよう!どうしよう!?
「あ、あ、あのっ、私なんかで…っ…」
「名前じゃなきゃ務まらないんだ。……ツナを…ボンゴレ10代目を守ってくれ。」
家光さんが私に頭を下げた。
そそそんな!何頭下げてんですか家光さん!私なんかに!ああもう…!
「い、家光さん…!」
「……」
「頑張らせて……、頂きます…っ!!」
大丈夫ですよ、家光さん…!私は綱吉さんに最初に出会ったときから、この人なら一生ついていけるって思ってましたから!!
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