15：料理
この前の島でビアンキとシャマルがこの船に乗ってまた賑やかになった。
なんだかんだで7人か…。ちょっとクセのある人達ばかりだけど退屈はしない…かな。
「おはよう名前。朝ごはんできてるわよ。」
「あ、ありがとうビアンキ。」
やっぱり女の人がいると違うなあ。
今までは他に料理できる人がいなかったから私が作ってたけど…朝起きてご飯が用意されてるって幸せだ。
「う…ぐ……が・ま・ん…！」
「ランボ！？」
ダイニングの扉を開けると、ランボが苦しそうに机に伏していた。
一体何事！？顔は真っ青で、フォークを力なく握っていて、目の前には毒々しい煙を放っている何か……
「そういえばそうだったー！」
ビアンキは手に触れるもの全てを毒にしてしまうんだった…！ランボは何も知らずに食べて気絶しちゃったんだ…！
「シャマル…シャマルはどこ！？」
「うい〜呼んだかい？」
「朝から酔っ払ってる！！」
医者であるシャマルを呼んだら酒瓶片手にフラフラと現れた。
朝っぱらからお酒飲んでるよこの人！
「ランボを診てあげてよ！ビアンキの料理食べちゃったみたいなの！」
「んー？パスだ。俺は男は診ねぇんだ。」
「はああ！？」
「寝かせときゃ治るだろ。」
医者にあるまじきこと言い出した！
「名前の分はこっちよ。」
「ビアンキそれポイズンクッキングでしょ！？」
「…あら。無意識だったわ。」
もしかしてポイズンクッキングってビアンキの意思でコントロールできないの！？
そうなると今後ビアンキに料理をさせるわけにはいかなくなる…！
「でも愛があれば食べられるはずよ。リボーンはどこ？」
どうやらビアンキは愛するリボーンに手料理を食べて欲しいみたいだ。そういえば朝から見当たらない……逃げたな…。
「はあ…。」
しょうがない。やっぱり私が料理するしかないか。
「え…空っぽ…！？」
何か適当に作ろうと冷蔵庫を開けて唖然とした。だって、中身が空っぽだったから。
もしかして…ビアンキのポイズンクッキングに全部使われちゃった…！？うそ、昨日島で買いだめしたのに…！
「腹減ったー…ん？今から作んのか？」
「武…どうしよう…」
そんなところに朝の筋トレを終えた武がやってきた。私は武に冷蔵庫の中身を見せて事の成り行きを説明した。
すると武は笑顔で一言。
「じゃー釣りでもするか！」
「ほら、ここに餌つけて…」
「こう？」
「そーそー！」
というわけで、武に教えてもらいながら人生初の釣りに挑戦することになった。
なんだかこうしてると小さい頃に戻ったみたい。懐かしいなあ。武は元々漁師だから手際がいい。
「俺もご一緒していいですか10代目！」
「う、うん。」
「ありがたき幸せっス！」
獄寺くんも加わって、3人並んで甲板から釣り糸を垂らす。
…こういう穏やかな時間がもっと続いたらいいな。
「そういえば、獄寺くん体調は大丈夫？」
「はい。アネキさえ見なけりゃ…」
「ビアンキを見ると体調が悪くなっちゃうの？」
「…アネキとは小さい頃一緒に住んでいました。」
魚がかかるのを待つ間、獄寺くんにビアンキとのことを聞いてみた。
「アネキは俺の8歳の誕生日にクッキーを焼いてくれて…それがアネキのポイズンクッキング一号でした。」
「うわあ…」
「それ以降アネキは事あるごとにクッキーを焼いてくれるようになって…それがトラウマで、今ではアネキの顔を見るだけで腹が痛くなるんです…。」
ひ、悲惨だ…！！
「はは、獄寺んちおもしれーな。」
「おもしろくねーよ！！」
「で、でも、獄寺くん優しいね。」
「へっ…」
「毒があるってわかってても、ビアンキが獄寺くんのために作ってくれたクッキーを食べてたんだもんね。」
「いっ、いや！逆らえなかっただけで…！」
フォローのために言ったことだけど本当にそう思う。なんだかんだ言って獄寺くんは優しいよ。
「うわっ、かかった！かも！」
「おっ、きたな！」
「大丈夫っスか10代目！？」
話していると私の竿が勢いよく引っ張られた。
「お、大きそう！」
「手伝うぜ！」
「俺もお手伝いします！」
すごく引く力が強い。大物がかかったのかもしれない。
私1人では到底釣り上げられそうになくて、武と獄寺くんにも一緒に引っ張ってもらった。
ザパァ！
「わっ…釣れたー！」
「なかなかの大物だな！」
大きな魚が勢いよく甲板に打ち上げられた。
これで今日のご飯は心配しなくて良さそうだ。
「いい魚ね。焼いてあげるわ。」
「うげえっ！！」
「い、いいから！ビアンキはゆっくりしてて！」
結局魚は武が捌いてくれた。
■■
ビアンキのポイズンクッキング、悪魔の実の能力にしてもよかったんですけどOP側に毒系の能力者が既出なので特技と思ってください。
山本は魚料理は上手。
≪≪prev