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52



「……」


なんだか、すごく…すごく長い夢を見ていた気がする。
最後に見たのは多分、あたたかいオレンジ色の光と……綱吉さんの顔。


「よぉ。起きたな名前。」
「シャマル…」


ここは……私の部屋だ。
…っていうことは、全部……終わったんだ…。


「つぅ…」


少し足に力を入れたら、左太ももに痛みを感じた。


「しばらくはまともに歩けないだろーから松葉杖使え。歩けるようになるのはそうだな……2週間後ってとこだな。」
「シャマル…」


違うの、シャマル。私が聞きたいのはそんなことじゃない。私の体のことは、いい。


「…名前。お前が気にしてるのはボンゴレの坊主のことか?それとも……」
「……両方だよ。」


綱吉さんたちはもちろん、骸くんたちだって気になるに決まってる。
私がここにいるってことは、おそらく勝ったのは綱吉さん。そんな夢を見たような気がする。


「……ボンゴレの坊主なら無事だ。ただ、すごい筋肉痛らしいがな。隼人たちも入院してるが命に別状はない。」


よかった……みんな、無事なんだ。あとでお見舞いに行かなくちゃ。


「それから……六道骸たちだが…」
「……」
「復讐者に連れて行かれた。」
「!?」


私は思わず上半身を起こした。太ももに痛みが走ったけど、今はそんなの気にならない。
骸くんたちが、復讐者に…!?


「…あいつらはそのくらいのことをやってきてるんだ。ちゃんと罪を償ってもらわなきゃ困る。」
「……」


私は骸くんたちが今までどんなことをしてきたのかは知らないけど……やっぱり、普通の生活は無理だったのかなあ。
あのとき…私が骸くんたちを引き取っていれば変わったのかな…。


「名前。」
「……」
「変なことを考えるなよ。おまえはボンゴレの人間なんだ。」
「リボーン…」


いつの間にか、リボーンが私のベッドのわきに座っていた。


「でもね…私は一度、骸くんたちを助けてあげられなかった…。」
「……」
「もう二度と……大切な人を失いたくないの…!」
「……」


人に、この人の方が大切だとか、順番をつけるものじゃないでしょ?
私にとってはみんな同じく大切な人。綱吉さんたちだって、骸くんたちだって。失ったときの悲しみ、不甲斐なさ、虚無感を、私は知ってるから。


「…大丈夫。復讐者に逆らおうなんて考えてないよ。」
「……」
「それに今は怪我を治さないとだし、ね。」
「何かあったらオレはおまえを撃たなきゃいけなくなる。」
「…大丈夫だよ。」


ボンゴレへの忠誠心は、変わってないし、これからも絶対変わらない自信がある。
あのとき家光さんに拾ってもらえて本当によかったって思ってる。
もしあのまま家光さんに会えなかったら、私は世界の光を知らないまま死んでたんだから。


ピンポーン


「オレが出てやるよ。」


誰だろう…。隼人たちは今頃入院してるはずだし…


「おお!?いらっしゃい子猫ちゃんたち!いやー嬉しいなー!」
「はひ!変態お医者さんです!」
「おじゃまします!」
「ガハハハ名前の家久しぶりだもんね!」
「〜〜!」


この声は………ハルちゃんに、京子ちゃんに、ランボくんに、イーピンちゃんだ。


「名前さん大丈夫ですか!?」
「名前遊べー!」
「〜〜!」
「ランボくんダメです!名前さんはケガしてるんですよ!」


なんか、すごく懐かしいなあこういうの。


「でも捻挫だけで済んでよかったね…。」
「獄寺さんたちなんて体中包帯だらけなんですよ!」
「みんなして階段から落ちちゃうなんて…」


どんだけ適当なうそついてるんだリボーン…!!
もう、ニヤリじゃないよ!それを信じちゃう京子ちゃんがすごく可愛いんだけど!


「早く元気になってくださいね!」
「また海行こうね!」
「ランボさんも行くー!」
「〜〜!」


うん、私も行きたい。またみんなで遊ぼうね。


「…何があっても、仲間のことは忘れるなよ。」
「………うん。」







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