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ついに本当の六道骸がいる建物に来ちゃった…!こ、怖いけど、頑張らなくちゃ…!六道骸だけは許せないよ…!
3階に上がってきて、映画館を覗いてみる。す、すっげー怖い…!!


「また会えてうれしいですよ。」
「ああ!!君は!!そ、それに名前さんも!?」


ステージのソファの上に誰かいるって思ったら、さっき森で会った黒曜生だった。び、びっくりした〜〜六道骸かと思った…。
そしてその隣には敵のアジト…つまりここに潜入したまま連絡が途絶えてしまった名前さんの姿が。よかった〜。きっとこの人と一緒に捕まってたんだ。


「ゆっくりしていってください。君とは永い付き合いになる。ボンゴレ10代目。」
「え?なんでオレがボンゴレって…?」
「ちがうわツナ!こいつ……!」


え…また、雰囲気が変わった……


「そう。僕が本物の六道骸です。」
「な…はぁーーー!!?」


人質じゃなかったのーーー!?ってことはオレ…あのとき六道骸と普通に話してたってこと!?ひぃーーーっ!!


バタン


「フゥ太!」


また新しい敵かと思ったら、入ってきたのはフゥ太だった。


「お…驚かすなよ。」
「無事みたいね。」


本当、無事みたいでよかった。人質っていうから骸に酷いことされてるかと思ったけど…傷は見当たらない。
…でも………なんか、様子がおかしい…?
そういえば名前さんもこっちを見てるはずなのに何も言ってこないし…目が合ってるのかもよくわかんないし……


「フゥ…」


ドッ


「ビアンキ!」



















「今日からお前達の世話係になったローサだ。」
「こんにちは。」


これは……夢の中…?この夢、何度も見たことがある気がする。私が、骸くんたちと出会ったときのこと。


私は家をなくして、アルビトロファミリーのボスに引きとられて……そこで、隠密部隊として働かされていた。
エストラーネオの禁弾実験を調査するように任務を言い渡されて、ここに来たんだ。
長期任務になるから髪を短く切って。名前ももちろん偽って。
でも科学のことなんて全然わからなかったあたしはとりあえずそこの研究室にいた子供たちの世話係として内部に潜入した。
子供たちの前で紹介されて、まず1番最初に目についたのが骸くんだった。
1番隅っこの目立たないところにいたけど、何故だかすごく目を奪われたのを覚えている。


「じゃあ任せたぞ。」
「はい。」


研究員の人はどうでもよさそうに言って、出ていった。子供たちは怯えた目で私を見ていた。かわいそうに…。
子供たちを見れば、今までどんな仕打ちを受けてきたのかなんてすぐわかった。
体中にやけど、打撲、切り傷のあとが残っている。その中には一生残ってしまうだろう傷も少なくはない。
ここから助け出してあげたい。そう思ったけど、そのときのあたしにそんな勇気も、力も、なかった。














「ローサ!トニーがオレのボールとった!」
「ちがうよローサ!犬が独り占めするんだもん!」
「じゃあ2人で一緒に使おうね。」


1週間もすれば、子供たちもだいぶ私に懐いてくれた。出会った時には見られなかった笑顔も見れた。
自分の子供ができたら、こんな感じなのかなあ、なんて。そんなことを考えた自分を自嘲的に笑った。
この子たちはきっとまだ、希望を見てないんだ。知らないんだ。ずっと…絶望の中で生きてきたんだから。
すごく、胸が痛くなった。まるで今の私みたいだと、そのとき思った。
生きる意味なんて考えてなかったけど、マフィアが好きだとは到底思えなかった。
あのときは何か目的があってマフィアになったわけじゃない。ただ、そうしなければ生きていけなかった。ただそれだけだった。
きっとこの子たちは、私なんかよりずっと若いのに辛い思いをたくさんしてきてる。
生きてほしいと、いっぱい笑ってほしいと、心から思った。













「ローサ、来い。」
「…?」


ある日、初めて実験室の中に呼ばれた。
私にはその理由が全然わからなくて、研究員の言われるがままに実験室に入った。
そして目の前に広がるのは、地獄のような光景だった。
額から血を流して倒れてる子に、手足が燃えて泣き叫ぶちーくん。
私はすぐにちーくんに駆け寄って、羽織っていた白衣でなんとか火を消した。


「なんてことを…!!」
「こいつらは実験用のモルモットだ。」


その言葉に、私は心臓を打ち抜かれたような気持ちになった。
本気で、言ってるの…?信じられなかった。


「…こっちに来い、ローサ。」
「……」


だけどここで反抗したら任務がだめになるし、子供たちにも被害が及ぶかもしれない。
私はぐっとこらえて研究員のあとに続いた。


「!」
「お前がスイッチを押せ。」
「!?」


ついていったその先にはベッドに拘束されて、口の中にたくさんのコードをつけられた犬ちゃんの姿があった。
目の前に見える赤いボタンは、きっと実験開始のボタン。そんなのを押したら、犬ちゃんが…


「……もういい!消えろ!」
「うっ…」
「ローサ!」


私が頬を殴られて床に倒れこんだのと同時に、犬ちゃんの叫び声が室内に響いた。
もう、いやだ。こんなのおかしい。大事なもの……奪わないで…!


ドンッ


「ぐっあ…!」
「何をする!」


気づいたら私は銃を抜いていた。







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